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お父さんお母さんが子どものためにすべきこと 〜検診のすすめ〜
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    (しろうジャーナルNO.20 2010年4月15日 配信)

    『お父さんお母さんが子どものためにすべきこと 〜検診のすすめ〜』

     

    内科医 金澤信彦先生より

     

    皆さんはじめまして。

    内科医の金澤と申します。専門は消化器内科で、特にウイルス性肝炎など肝臓の病気が専門です。

    自慢ではありませんが小児科のことは全く分かりません(^^;

     

     そんな僕が今回みなさんにお話しすることは、お父さんお母さんの健康管理、特にがん検診についてです。

     

     ところで僕は現在どこの施設にも所属していません。過重労働が耐えがたく、このままでは子供(2歳、7歳、8歳です)にかえって悪い影響が出るのではと思い急性期病院での常勤を辞めました。

    辞めたついでに、色々な施設を見たくてあちこちで働きましたが、なかにはとりあえず小児科も診てくれと言うところもあり困ることもありました。

    キャリア転換は自分の子どものためでしたが、医師としては子どもには役立たずな僕でした。

    そうした中で子どもを大きく意識した出来事がありました。

     

    ある人間ドックの施設で勤務したときのことです。

    僕は胃カメラを担当しました。午前中に20数名を検査しなくてはならない多忙な施設でしたが、その中の30代中盤の女性の問診票には珍しい事が書かれていました。

    「既往歴:大腸がん」?どうせ、ポリープに癌が混ざっていた、といった、たまたま取ったら見つかったものだろうと思いました。

    しかし、なんと進行癌だったそうです。

    前年のドックで便潜血陽性からの精密検査で見つかり、早い時期だったので比較的負担の少ない腹腔鏡による手術で済んだとのこと。

     

     僕はよかったですね、と言っていいやら迷いながら胃カメラを開始しましたが、その綺麗な胃粘膜を観察しながらとても幸せな気持ちになっていくのを感じました。

    もし去年大腸がんを見つけていなければ、進行して抗がん剤治療が必要となったかもしれません。

    それでも1年後に見つかればまだしも、見つからずに放置されていれば手遅れとなっていたかもしれません。

    そうしたらご本人だけでなくご両親やご兄弟・友人はきっと落胆されたでしょう。

    ましてやもしお子さんがいれば、世界でたった一人のお母さんを失うことになります。   

     

     がんにかかったことは不幸かもしれませんが、適切な時期に適切な対処ができたのであれば、それは人生経験の1ページでしかありません。 僕はその1ページに関わることで、間接的に子どもを幸せにすることにも関わっているのだなぁ、と自分に都合のいい解釈をしたのでした(^^)

    (でも家族構成は聞きませんでした)

     

     さて、それでは日本の検診受診状況はどうでしょう。

     実は他の先進国と比べて受診率は低率で、40歳以上の各がん検診受診率は20-30%にすぎないと言われています。

    もちろんがんは高齢者に多いので、若いお父さんお母さんまで闇雲に検診をすればいいわけではありません。

     

     しかし、乳がんの罹患率(りかんりつ:新しくかかる割合。死亡率とは違います)をみると20代後半から上がりピークは40代です。

    子宮頸がんは20代前半からはじまり、30-40代がピークです。

    (参考:国立がんセンターがん対策情報センター

    http://ganjoho.jp/pro/statistics/graph_db_index.html )

     思ったよりも若いと思いませんか?僕は恥ずかしながらそんなに若いとは知りませんでした。

     

     そもそも若い方の死亡原因で多いのは不慮の事故と自殺ですが、女性は30代後半からがんがトップになります。

    男性の死亡原因は30代では自殺が多いのですが、40代後半にはがんがトップになります。

    しかしメタボ健診ほどの話題にはなりません。

    (そもそも自殺がこれだけ多いことさえ話題に乏しく、慣れてしまった感があります)

     

     確かに糖尿病や高血圧のような身近な病気で、検査結果の変化が数値で一喜一憂できるメタボ健診と違い、がん検診は変化に乏しく継続して受けるモチベーションが保ちにくい面もあります。

     もちろんメタボ健診も非常に重要で早期の対処が重要なのですが、がんの多くも早期の対処で治ることも知って頂きたいと思います。

    そしてがんは必ずしもお年寄りだけの病気ではないことも。

     

     何よりも検診は自分だけのためのものではありません。

     仕事のために、ご家族のために、そして何よりもかわいいお子さんを守るために検診が必要であることを、

    この場をお借りして強調したいと思います。

     

     (しろうジャーナルNO.20 2010年4月15日 配信)

     

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