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『ステロイド』について〜はらこどもクリニック 医院長 原朋邦先生による解説をもとに〜
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    しろうジャーナル 99号  2016年11月15日号配信

    『ステロイド』について

    〜はらこどもクリニック 医院長 原朋邦先生による解説をもとに〜             阿真 京子

     

    今回、お伝えしたいのは、『ステロイド』について。

    予防接種と並んで、さまざまな意見をお持ちの方がいらっしゃるテーマですが、空気が乾燥し肌のトラブルも多くなる

    この時期にぜひ取り上げたいと考えました。

     

    小児科医・原朋邦先生は、「患者さんを診ていて悲しくなる時がある」と話します。

     

    「先日も、ある赤ちゃんが、ほっぺの両側を真っ赤にただれさせた状態で10ヶ月健診にみえました。

     健診なので、患者さんとしてこられたわけではないのですが、頰の状態が気になったので聞くと、生後2ヶ月ごろからよくなったり悪くなったりしているとのこと。アトピー性皮膚炎と診断されたそうですが、治療にはステロイドホルモン含有の軟膏を一切使わず、非ステロイド性の抗炎症剤の軟膏、ゲンタマイシン軟膏、抗ヒスタミン剤の連続投与が行われていることがわかりました」(原医師)

     

    この状態がなぜ問題なのか、原先生はこう話します。

    「まず、生後2ヶ月ごろからアトピー性皮膚炎を発症することは非常に稀であり、このケースは脂漏性湿疹(皮膚炎)と考えられます。脂漏性皮膚炎の場合、マラセチア フルフル(Malassezia furfur)という真菌が因子になっていることもあるため、『抗真菌軟膏』を使用することで短期間に好転することがありますが、この症例ではそのような治療方針もとられておらず、非ステロイド性抗炎症剤が処方されているだけでした

    仮にもし、アトピー性皮膚炎であったなら、ステロイドホルモン含有の軟膏を使うべきでしょう。実は、非ステロイド性抗炎症剤の薬は、抗炎症作用は弱く、おまけにかぶれを作りやすくかえって子供に使うべきではないのです。おそらく、医師かお母さん自身、あるいは双方の『ステロイドは怖い』『ステロイドは使いたくない』という思い込みのもと、このような処方が行われていると考えられます。

    医療の場を頻回nに渡り受診しているようなのにまったく実りを得ておらず、しかも子どもへの使用が懸念される薬の処方が行われている。こうした状況に置かれているお子さん、お母さんは少なくないのです」

     

     会では毎年5回程、子育てに関するメッセ(子育て支援活動をしている団体や行政等が一堂に会し、子育て中のパパママに情報や体験を提供します)に出展し、子どもの病気について書かれたプリントを参加者の方に配っています。その中で、ステロイドを怖がる親御さんとお話する機会が時々、あります。
    『どうして怖いのですか?』とお聞きすると、
    名前の印象、なんとなく・・・、やめられないと聞くから、・・・
    どれも明確な理由はない方ばかりです。


    過去に何か悪いことがあった方には、今の所お会いしたことがありません。根拠はないけれど、なんとなく、イメージが怖そう、そんな回答が多いように感じられます。


    それでも通常の小児科に行けば、必要な場面でステロイドが処方され、きちんと説明していただいて、理解して使用して、良くなり、もう必要ない……という道筋をたどる方がほとんどかと思います。
    しかし、行った病院がたまたま、ステロイドを避ける医療機関(ごくわずかですが存在します……)だったりして、とてもひどい状態になってしまっていることもあります。

     

    原先生はこう続けます。

    「ステロイドを避けたいと考える方は、『使っていると次第に効果がなくなり強いステロイドホルモン剤でなければ効かなくなる』、『皮膚の萎縮などの強い副作用がある』、『やめるとリバウンドがあってかえって悪くなる』といったことを理由にされる方が多く見受けられます。これは一部正しく、一部は誤解のある非常にむずかしい問題です。

     

    まずご存知のとおり、そもそも副作用のない薬はありません。しかしそれをできる限り速やかに少なくする使い方を目指すのも、処方する医師と(用法・用量をきちんと守るという意味で)処方された患者双方の大切な役割であり、『副作用があるから使わない』というのは善ではないのではないでしょうか。

     

    そしてステロイドは、効果が得られないくらい弱いものを長期間処方するよりも、むしろ強めのものでまず短期間に効果を得て、レベルダウンしていくと結果として使用量が少なく済みます。やめるとリバウンドがあるというのは完全なウソではありませんが、だからこそリバウンドの出ないようにレベルダウンしながら使うということがよいでしょう」

     

    ステロイドを怖がって使わなければ、『副作用』というリスクは避けられる代わりに効果も得られず、むしろ二次的なリスクが生じることもある、と原先生。

    「例えば、このときの患者さんなら、ほっぺに強い炎症を起こしたままにしておくことで、皮膚のバリアー機能を失わせて二次的なアレルギーを起こしやすくしていることになってしまいます」(原医師)。


    私は医療者ではないので、メッセのブースでも、いつも当会のメルマガや、きちんとした専門家が書かれたものをご紹介することにしています。
    以前も、
    『ステロイドと文化包丁』のメルマガ

    http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=4 )

    をその場で読んでいただいたら、「安心しました!」とおっしゃり、「考えたら、私、なんで悪いのかも知らないのに避けようとしていました」とニコッと話してくださいました。


    調べ抜いて、考え抜いて、その結果、たどり着いた先が、ステロイドを使用しないこと、にあるのならば、その方の考え方ですし、それはそれで良いのかなと思います。
    でも、なんとなくイメージで避けたり、ちゃんと効果も知らないのに避けてしまうことで、間違ったものを引き起こしていたりすることが、あるんですよね。

    ステロイドを避けていたわけでもなくて、ただ単に最も近くにある小児科が、そんな医療機関だった、なんていうこともありました。
    その親御さん、「なんかおかしい、なんか変だと思っていたんです」とお話くださいました。

     

    医療には「うちが正しくて、あとは全部ダメ」ということはありません。

    また「これさえやれば、絶対安心」もないのです。

     

    見分けるのも選ぶのも、むずかしいものですが、妥協せず、焦らずにみていけるといいなと思います。そのためにぜひ、会を利用してください。

    子どもが小さいうちに『迷いつつ、選ぶこと』の練習ができていると、その先に、もっと迷うときにも、きっと助けになるはずと、考えています。

    ちなみに現在、この赤ちゃんは原先生による診察・処方を受け、約2週間でスベスベのお肌になったそうです。よかったですね。(編集 玉木美企子)

     

     

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