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NICUにお子様を預けることになったら 〜親として知っておいたほうが良いこと〜
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    NICUにお子様を預けることになったら  〜親として知っておいたほうが良いこと〜
    看護師  佐藤 孝子
     
    【はじめに】
    私は、NICUで看護師を続けながら、自分自身も妊娠・出産・育児を
    経験することができました。
    そこで、NICUに赤ちゃんを預けることになったとき、
    親として知っておくと良いことをまとめてみました。
    何かのお役に立てれば・・・と思いますが、正解はなく、
    あくまで私の想いだということはご理解下さい。
     
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    【NICUとは】
    • 新生児集中治療室のことをNICUといいます。 
    • 様々な赤ちゃんが入院してきますが、大きく分けると以下の通りです
      •  予定より早く小さく生まれる赤ちゃん
      •  胎外生活に適応が難しい赤ちゃん
      •  母体疾患により影響を受けていると考えられる赤ちゃん
      •  先天性疾患・奇形をもつ赤ちゃん
      •  体重が小さい赤ちゃん、大きい赤ちゃん 
        ご自分のお子さんが、どれに当てはまるのかを理解してもらえると良いと思います。

    【お子さんのことを理解する】
    • 入院生活の中でお子さんのことを理解することは、
      ご両親にとっては、とても大切なことです。
      以下の内容を網羅できれば十分にお子さんのことを理解できると思います
      • 病気・具合(症状)
      • 予測される入院期間と課題
      • お子さんが獲得すべき能力

    ○病気・具合(症状)
    • どんな病気なのか、その病気で現れる症状はどのようなものなのか、
      具合の程度(重症・軽症)を医師からの説明を聞いて理解できると良いです。
      医師の説明が難しい場合は、看護師がサポートすることもできます。 
    • お子さんをNICUに預けて、すぐに説明を受けることになります。混乱していて、疲れていて、悲しくて上手く理解できないこともあると思います。すぐに理解できなくても大丈夫です。 

    ○予測される入院期間と課題
    • 予測される入院期間は、早く生まれたお子さんか、
      妊娠期間が正常範囲内で生まれたお子さんかによって考え方が異なります。 
    • 早く生まれたお子さんは、予定日を目標に様々な課題を達成していきます。
      そのため、入院期間も予定日を越えます。 
    • 妊娠期間が正常範囲内で生まれたお子さんは、病気が治る、
      具合が良くなることが大切で課題となります。 
    • どちらの場合も個人差が大きいです 

    ◯お子さんが獲得すべき能力
    • 赤ちゃん自身は何も出来ない存在、お世話される存在と捉えられることが多いのですが、赤ちゃん自身の能力は素晴らしいものです。
      • これらの能力をもって、退院してもらいたいと思っています 
      • 呼吸を上手にできる
      • 洋服や掛物で体温を保つことができる
      • うんち・おしっこをしっかり出すことができる
      • おっぱい・ミルクを口からしっかり飲むことができる
      • 体重がしっかり増える
       
    【ご両親と医療者のこと】
    • お子さんは、言葉で表現することが出来ませんが、表情やしぐさなどで様々なことを表現してくれます。
      その表現を一緒に捉えて、お子さんにとってご両親・ご家族のことを私たち医療者はパートナーであると考えています。 最善のケアや環境を提供していく必要があります。
    • 医療者が読みとれないサインをご両親が読み取ってくれることは良くあることです。お子さんの代弁者として、医療者に教えて下さい。 
    • NICUは治療の場でもありますが、育児・生活の場でもあります。
    • 医療者のケアだけでは、お子さんの健やかな成長はありえません。上手くできないと悩まれるご両親もすぐに上手にできるようになります。それは、私たちがトレーニングを重ねることと同じことです。お子さんにとっての最適なケアを見つけ身につけることができます。ただ、すぐには出来ないというだけです。 良く聞く言葉です。「看護師さんが抱っこすると泣き止む」「看護師さんがケアした方が辛くなさそう」。確かに、そういうことはあります。それは、私たち看護師は、大切なお子さんをお預かりするためにトレーニングを重ねているからです。 
    • でもお子さんにとって、看護師のケアが最適でしょうか?テクニックが上手ではなくても、安心できる声が聞こえることは、何にも代えがたいことです
    • 医療者も1人の人間です。能力も考え方も異なります。相性が悪い医療者に出会うこともあると思います。無理しないで下さい。相性の合う医療者を見つけることは、とても大切です。
    • ご自分を犠牲にしたり、辛い思いをしてまで人間関係に悩まないで下さい。 ご両親が思い描いていた育児や家族としての在り方をNICUの場でも実現して欲しいと思っています。入院しているから「出来ない」と諦めることなく、希望を教えて下さい。 実現可能であるかどうかを一緒に考えましょう。
     
    【ご両親・ご家族のこと】
    • NICUにお子さんを預けるご両親は、
      「自分のせいでお子さんが辛い目にあっている」
      「お子さんが辛いんだから、自分も頑張らないと!」と思われる方がとても多いです。 
      お子さんの病気や状態は誰のせいでもありません。
      ご両親が過度に頑張っても何も解決しません。
      それより、ご両親が元気でいてくれることが何よりお子さんにとって
      大切なことです。

       
    • 産後であることを忘れずに、母体の身体の回復を優先させましょう。
      ご家族全員が想像以上に疲れていることを理解して、
      社会資源・友人に助けてもらいましょう。 
     
    • サポートについても一緒に考えることができます。 

    【退院】
    • お子さんと離れている期間があっての退院は不安なことも多いです。
      医療者はご両親が安心して育児できるかどうかも見守っています。 
    • 通常通りの育児準備だけではなく、中には医療機器や材料、
      お薬を持って退院することもあります。その場合でも、
      退院して大丈夫かをご両親と一緒に考えます。
     
    • 地域にサポートしてもらえる人(保健師や看護師、ヘルパーなど)
      がいるのは心強いことです。

    【おわりに】
    • ご両親に知っておいてもらいたい事は何だろう?と
      考えながらまとめましたが、結局、特殊なことは何もないのだと思います。 
    • NICUという場を特殊に感じることは仕方のないことですが、
      その中で行われていることは、家でお子さんを育むことと変わらない
      のだと思います。
      お子さんにとって必要なケアを提供すること、それが人工呼吸器であるか抱っこ紐であるかの違いだけです。 
    • それでも、「知っておいた方が知らないより良いよね」
      ということをまとめたつもりです。
      何かのお役に立てれば、嬉しく思います。


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