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子どものこころ
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    子どものこころ

    〜小児医療基礎講座 3日目子どものこころ ダイジェスト版〜

     

    国立成育医療研究センター こころの診療部

    児童・思春期リエゾン診療科医長 田中恭子先生

     

     

    【自らは気づけない】

    子どもの心の病気について、心のストレスに自ら気づける子は多くない。

    なぜ外来に来たのか?子どもはわからないことも多い。

     

    自ら受診する子はいない。多くは連れてこられる。それがひとつの特徴である。

     

    一生懸命、言葉で説明しようと思っても、言葉の発達が未熟であったり、

    ものすごく緊張して不安だと、特殊な診察の場面で、何に困っているのかを自ら言うことは、難しい場合が多い。

     

    子どもは、性格・人格的な成長の途上である。

    成人の疾患のひとつである「パーソナリティ障害」は、子どもには、あてはまらない。

    18歳くらいまで、性格も発達していくものだから。

     

    子どもは、環境の影響をとても受けやすい。

    虐待は恐ろしいほど、子どもの発達に影響する。

    子どもは保護されなければならない存在である。とはいえ、意思はある。

    子どもの意思は、幼い頃から尊重して、関わっていく必要がある。

     

     

    【薬は第一選択にならない】

    子どもの心の病気で、保険適用になっていて、安心して出せるお薬は、片手で数えられるくらいしかない。薬物療法は効くことはあるけれど、基本的に、第一選択にならない。

     

    では、何をするか?環境調整をする。

     

    ご家族の中で、お子さんが過ごしやすい工夫をする。

    学校、幼稚園、保育園とコミュニケーションをとり、特徴を説明し、配慮をお願いする形で、

    医療と連携をとって、環境調整を行っていくことが大切である。

     

    例えば、発達障害を持つ子であれば、行動分析をして、行動療法、ソーシャルスキルトレーニングなど。幼ければ幼いほど、ペアレントトレーニング(親御さんへの心理教育)が効くこともある。

     

    トラウマをかかえた子どもたちは、言葉にすることがさらに難しいので、「遊戯療法」という、遊びを用い、その中でストレスや葛藤を表出していくセラピーもある。

    薬ではなく「心理教育」、「環境調整」、この両方が奏功する。

     

    治療には、時間がかかる。

    面談を続けていく中で子どもたちは成長する。

    話すことで情緒が不安定になることもあるが、それでも「これで生きていこう」となるステップを見ていくことが必要なので、時間がかかる。

    長い年月関わっていくと、変わっていく。適応がよくなっていく。

     

     

    【親の主訴は子どもの主訴ではない】

    最初は話してくれないことが多いが、自分の困っていることをちゃんと言えるようになるのが大切。

     

    子どもが大人にちゃんと伝えられるということが大切。大人がきちんと子どもの声に耳を傾ける、そういう社会を作っていかなければならない。

     

     

    【原因はひとつではない】

    疾患がひとつの要因で説明できるとは限らない。そこが、からだの病気とは異なる。

    心の問題、特に子どもの場合は、原因がひとつではない。

     

    例えば、抑うつがある場合、抑うつに関わっている因子をいくつか見出さなくてはいけない。もともと子どもが持っている素因、家族歴は?

    もともとの病気は?

    誘発因子(就学や離婚などのライフイベント、親しい人の死、災害など)は?

    持続因子(不仲が続いているか、友人関係の問題、担任と子どもの関係)は?

    …などとみていく。

     

    保護因子(その子の持っている強み)が大切。

    好きなことや、やれていることなどがあるのは、とても大切である。

     

    電車が好きな子は多いが、電車をキーワードに、ひらがな、カタカナ、色、路線など、関連付けて、色々なものを覚えていくことができる。

     

    子どもの持っている強みが何なのか、同定していくこと。それを、いくつか見つけることで、治療のきっかけを作ることができる。

     

     

    【思春期の子には第三者の関わりも必要】

    塾の先生など、親ではない第三者が、話を聞いてくれたり、その子の立場に立ってくれることで、子ども自身が気付いて、変わっていく場合が多い。

     

    もちろん、子どもなので、成育歴は欠かせない。

    幼ければ幼いほど、親へのケアも必要だが、思春期になるほど、子ども本人に関わることが必要である。

     

     

    【ほめる】

    子どもをほめる。一緒に来ている親もほめる。

    「よく来たね」「上手に関われているね」「上手に育児されていますね」など、

    不安の高い親御さんの、次につながることをアドバイスする。

     

    できていないことを見つけるのではなく、できていることをいっぱい見つけることが大切である。そうすることで、できていないことも「やってみようかな」、と思える。

     

     

    【子どもの権利】

    子どもの権利は、子どもにかかわるベースの概念。子どもの権利が守られると、子どものメンタルヘルスのかなりの部分は、改善されるのではないか。

    子どもへの説明⇒ごまかさない、嘘をつかない

     

    エンパワメント(自らの力を自覚して行動できるよう、サポートすること)を併用する。

     

     

    【子どものアドボケイト(権利を護る人)に】

    子どもの意見を聞いていくことがとても大切である。

    子どもには、ちゃんと考えたり感じたりすることを決めていく力があるということを

    私たち大人が信じて関わっていく必要がある。

     

    どんなに幼くても、子どもには力がある。

    子どもは子どもの力を持っていると信じ、尊重しながら関わっていくことが必要である。

     

    子ども自身が意見を持っていて、それをどんな形でも出していい、ということを伝え、励ます。場合によっては、「それは違う」と異議申し立てができることを伝えていく。

     

    子どもが自分の人生の外側にいるのではなく、子ども自身が自分の人生の中心であるという感覚を持ち、その感覚を持ち続けることを、エンパワメントしていく。

     

    些細なことでも決めつけて、「大人の方がわかっているんだ」と、ぞんざいに子どもを扱うことは、人権侵害である。

    操り人形のように扱われていると、「何を言っても無駄だ」と、子どもは心にふたをして、身体症状、心身症の原因になっていく。

     

    心にふたをしないようにさせることが大切である。

     

    子どもの声は、簡単に大人にかき消されてしまうことを、私たち大人は意識する必要がある。

    あきらめずに子どもが話し続けられるということ、周りにもそのことを声がけしていく。

     

    子ども自身が語ることが難しい場合、援助しながら、大人が「こういうことかな?」「こういう風に考えているのかな?」「どう思う?」などと、言葉を添えていく。

     

    正直に話をしてくれる人、心のサポートをしてくれる人、情報提供をしてくれる人、

    そういう大人がいてほしいと、子ども自身が願っている

     

    子どもの権利を意識し、安心で安全な社会をベースに、子どもの関わる様々な場面において、子どもの主体的な参加を促し、子どもの意見を聴くこと。

    私たちの社会がそのようなものであれば、子どものメンタルヘルスの向上、輝かしい未来と社会につながるのではないかと、そう考えている。

     

     

     

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    | shirouiryo | 子どものこころ | 07:26 | - | - | - | - |
    子どものチックについて 
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      子ども 心と育ちのクリニック 院長 森享子 

       

       

      ■チックってなに? 

       

      「最近、目をぱちぱちさせたり、首や肩を傾げたりするしぐさが増えてきた。これは単なる癖なのか、何かの病気なのだろうか?」 

       

      このような状況に、悩まれた親御さんは少なくないのではないかと思います。これは、チック呼ばれ、子どもでは10人に1−2人と比較的よく見られ症状です。特に3−10歳ごろから発症することが多く、男の子に多いことが知られています。 

       

       

      症状と経過について 

      チックの症状は、様々な種類があります。まばたきや、首ふり、顔をしかめるといった運動チック。「アッ」「ンッ」など短い声を出したり、咳払いや鼻を鳴らしたいという音声チック。 

       

      症状が複雑になってくると、何度も手を伸ばして物に触ったり、物を蹴ったり、飛び上がったりしたり、言葉を繰り返したり、汚い言葉を何度も言ったりという症状が出ることがあります。 

       

      症状は、緊張した時に出やすかったり、逆にリラックスした時に増えたりと、その子によってさまざまです。 

       

      症状は、自然によくなったり悪くなったりと波があります。1年以内におさまる場合がほとんどですが、一部の人は、大人になっても続いて慢性化します。症状が強く、慢性的に続く場合には、トゥレット症候群いう診断がつくこともあります。 

       

      思春期の後半になると、落ち着いてくることが多いのですが、別の強迫症状がでてくることもあります。 

       

       

      原因について  

      かつては、親が厳しくしつけすぎたとか、本人が神経質で気にしやすいとか、入学や転校、いじめのストレスなどといった心理的な要因が注目されてきました 

       

      しかし、近年の研究によってドーパミンという神経伝達物質が関係した神経の病気であることが分かってきました。また、家族にチックの人がいると、症状が出やすいといった遺伝的な要因や、環境の要因など様々なことが関係していることも分かってきました。 

       

      これらのことから、チックになりやすい素質を持った子どもに、心理的要因も含めてさまざまな原因が影響した時に、症状がでると考えられています。 

       

       

      ■治療について 

      初めのうちは病気にみえにくいので、変な癖だと思い注意したり、わざとやっているのではないかと誤解したりということもあるようです。 

       

      必要以上に周囲が気にしたり心配することは、かえって症状を悪化させる場合あります。まずは、チックに対する正しい理解が大切です。 

       

      症状が比較的軽くて、本人も気にしていないようであれば、そのままのんびりと様子をみてよいでしょう。もし症状も目につき、本人や周囲にしているようであれば、環境調整や心理サポートを行います。 

       

      チックが原因で、自信を無くしたり、いじめにならないよう周囲のチックへの理解と適切な配慮重要です。症状が重くて、日常生活や勉強に支障をきたしたり、心理的に不安定な場合は、薬物療法を考えることもあります。 

       

      チックは、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、広汎性発達障害、学習障害などに合併していることが少なくないので、生活や勉強といったそのほかの面で、難しさを感じていないかということを注意してみることも大切です 気になる場合は、近くの小児科や、児童精神科に相談するのがよいでしょう。 



      【森先生とのQ&A】
      Q.子どもにチックかもしれない、という症状があります。
      あまり気にしない方がいいとは思うのですが、受診するとしたらどのようなタイミングでしょうか?
       

      A.受診のタイミングは以下を目安にするといいでしょう

      1.本人が気にしている場合
      2. 症状が重い場合
      3.症状が長引く場合
      4. 他の症状を伴う場合
      5. 親御さんの不安が強い場合
       
      チックの症状だけで、わざわざ受診するのも…と、ためらいがある場合は、風邪などで受診したついでに、相談してみるのもよいでしょう。


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      | shirouiryo | 子どものこころ | 07:00 | - | - | - | - |
      新入学・新入園の方に向け、その子らしいスタートを応援して
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        (しろうジャーナルNO.80 2015年4月15日 配信)



        新入学・新入園の方に向け、その子らしいスタートを応援して

        〜知っておきたい子どもの心のケア〜



        子ども 心と育ちのクリニック 小児科医・院長 森 享子先生



        すっかり暖かくなり、いよいよ4月が始まりました。街は花々が咲き乱れ美しい季節です。皆様は、保育園、幼稚園、小学校、中学校など、それぞれのスタートを切り、まだまだ落ち着かない毎日を送られていることと思います。新入学、新入園は、子どもにとって、今までの慣れ親しんだ環境から、新しい未知の世界への第一歩。 子ども達も、親も、期待と不安で胸がいっぱいです。新しい生活にスムーズになれ、その子らしく楽しい毎日が送れるように、今回は、新入学、新入園のお子様の子どもの心のケアについて考えてみたいと思います。



        1. その子のペースを尊重して

        環境の変化に、すぐに適応できる子と、慣れるのに時間がかかる子がいます。早く慣れるように焦る必要はありません。大切なのは、その子のペースで、しっかりと適応することです。今日は何をしたのか、友達は出来たのか、勉強はどうなのか、気になることは山積みでしょう。ここはぐっとこらえて、子どもから出てくる言葉を待ちましょう。たくさん話してくれる子には、ゆっくりと目と耳を傾けましょう。あまり話さない子は、無理に聞き出そうとせずに暖かく見守りましょう。楽しくご機嫌で帰ってくる日もあれば、浮かない表情で帰ってくる日もあると思います。どんな日であれ、家で親がどんと安定して構えていてくることは、子どもにとって何よりの安心感です。日々の様子を注意して見守りつつも、一喜一憂しないでのんびりと構えましょう。



        2. 家ではリラックスを最優先で

        新しい先生に、新しいクラスメート、新しい教室に、新しいスケジュール、新しい環境全てに、子どもはたくさんのアンテナを出して情報を受け取り、一生懸命です。たとえば、外国の英語しか話さないクラスに急に転入した時の自分をイメージしてみてください。それと同じように、子ども達も、キンキンに気持ちを張りつめ、ヘトヘトに疲れて帰ってきています。だからこそ、お家は、安心してのんびりリラックスできる安全基地であってほしい。絶対に守られている安全基地で、しっかりと休み充電するからこそ、また明日も頑張ろうという意欲がわいてくるのです。家で、課題を作ったりして、頑張るのは、しばらくして新しい生活が慣れてきてからでも遅くはありません。



        3. 規則正しい生活習慣を

        新しい生活のリズムがつかめるまでは、気が付いたら明日の準備で遅くなっていたとか、朝バタバタでご飯を食べる時間がなくなったということは少なくありません。睡眠不足や不規則な食生活で、身体のリズムが崩れると、イライラしたり、やる気が出なかったり、集中力が落ちたりと、心も不安定になってきます。心が不安定になると、さらに生活のリズムも乱れるという悪循環に陥ってしまいます。 子どもも親も、時間に余裕をもって一つずつのことを丁寧に取り組むためには、あれもこれもと欲張らず、やることをシンプルにして、優先順位(プライオリティー)をつけることが大切です。



        4. 週末はゆったりと

        4月の初めから、GW前までは、緊張感と気分の昂揚感でなんとか乗り切ります。GWの休みをはさんで、5月明けになると、急に疲れが出てきて、身体も気持ちも乗らない子が出てくることがあります。これは、新しい環境への適応として、ごく自然な経過でもあります。この沈んで乗らない時期を乗り切ってからこそ、本当の意味での安定期に入るのです。季節もよく、お出かけにちょうど良い季節ですが、あまり欲張りすぎずに、無理のない計画をたて、週末はゆったりとすごしましょう。



        5. 自分で考え、行動する力を育てよう

        子どもが困ったり、悩んでいたりすると、ついつい「こうすればいいんじゃない」「それはこういうことじゃない」などと、自分の経験や知識から解釈をしたりアドバイスをしがちです。問題にぶち当たった時に、すぐに周囲から解決方法が示されることに慣れてしまうと、子どもは自分自身で考え解決しようとする前に、誰かに頼ってしまうようになります。それを繰り返すうちに、自分でものを決められなくなってしまったり、自信がなくなったりすることがあります。失敗を恐れずに、失敗を糧にして進んでいく力強さを育てたいものです。そのためには、先回りはせずに、子ども自身で考え、自分で決める姿勢を応援しましょう。





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        | shirouiryo | 子どものこころ | 08:39 | - | - | - | - |
        親子で身につけたい!子どもが病院での体験を乗り越えるために
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          看護師 横内瑠里子

           昨年は、国連で「子どもの権利条約」が採択されて25周年のメモリアルイヤーでした。マララ・ユフスザイさんが全ての子どもの学ぶ権利を訴え、ノーベル平和賞を受賞したのは記憶に新しいですが、子どもはたくさんの権利に守られた存在です。

          医療や社会保障を受ける権利があるのはもちろん、親と引き離されない権利、知る権利、意見を表す権利、病院での治療や扱いがその子にとって良いものであるか調べてもらう権利などが条約には明記されています。

           私は、小児科の看護師として子どもたちと接する上で、この「子どもの権利条約」を最も大切にしてきました。子ども達には、これから自分の体に起ころうとしていることを知る権利があり、またその先のことについて決定していく中で、自分の意見を言う権利もあるのです。

           何だか難しい話になってしまいましたが、今日ご紹介することは、子どもの権利と深い関係にあります。

          小児科病棟で働いていると、時々こうおっしゃるパパやママがいらっしゃいました。検査や処置、あるいは手術について「怖がるといけないので本人には何も話さないでください」。

          どのご両親もお子さんを思っての対応だったと思いますが、ここには大きな誤解があります。子どもは、これから自分に起こることを全く知らない状態より、より具体的に知って理解し、心の準備を整えてから臨む方が、軽い不安で頑張れるのです。これは多くの看護研究でも明らかになっていることです。

          手術や採血、あるいはレントゲンひとつにしても、子どもにとって大きなストレスになることは間違いありません。しかし、それらに対して事前の心の準備〜終わった後に恐怖心を解消するまで、しっかりと周りの大人が関わってあげることで、それらの体験を自分にとってプラスにすることができるのです。

           では、実際にどのようなことを意識して子どもと関わっていけばいいのでしょうか。

          例えば、子どもにとってしっかりとした心の準備がご家庭で必要なのは、
          ・手術や検査入院など、予定されている入院に対して
          ・予防接種や採血、レントゲン、心電図など、外来での予定された処置や検査に対して
          ・定期健診、歯科検診
          などです。子育てしていく中では、何度も経験することも含まれていますね。


           具体的にはどのように関わっていけばいいか、順番を追ってご説明します。

          1. 病院に行く前、検査・処置・治療の前の関わり

           まず、「病院に出かける」ということをしっかりと伝えましょう。間違っても「お散歩にいこうね」などと嘘をついてはいけません。病院に何をしに行くのか、なぜそれが必要なのかを子どもの理解力に合わせて説明してあげます。

          ほとんどの場合はここで「いやー!」となって泣き出してしまうと思いますが、まずはそのいやだ、と思う気持ちをしっかり受けとめてあげましょう。「いやだよね、ママだって病院なんか嫌いだもん。消毒のにおいもくさいよねぇ。」なんて調子でしょうか。

          そして、落ち着いてきた時を見計らって、例えば注射の何が一番嫌なのかを聞き、子どもが知りたいと思うことを質問させてあげます。それにできるだけ詳しく答えてあげているうちに、どうしたら頑張れそうかな?ということを一緒に考えられるようになります。

          そこで出てきた子どもの要望に対して、病院スタッフの協力が必要な場合は、来院時に相談してみても良いと思います。時間があれば関連する絵本を読んであげたり、おもちゃの注射器などを使って、ママやパパと一緒に練習したりするのも良いでしょう。

          もしも兄弟やお友達で経験者がいる場合は、その子に説明してもらうと、子ども目線でとてもイメージしやすい説明が出てきたりもします。

          また、多くの子供は「泣いたらダメ」と思っていますので、泣いても大きな声出してもいいんだよと伝えることも大切です。

           こうして、自分が頑張って乗り越えることを繰り返しイメージしていくうちに、「いやだ、やりたくない、でも頑張ってみようかな」と思えるようになっていくのです。準備に必要な時間はそれぞれ違うと思うので、はじめはしっかりと時間を取ってあげましょうね。

          2. 検査・処置・治療中の関わり
           
          検査・処置・治療などが行われている時、気持ちを紛らわせてあげることも大切です。可能な限り、ママやパパが一緒に付き添ってあげることが大切なのは言うまでもありません。

          例えば赤ちゃんならキラキラ光るおもちゃや鏡、パラパラ漫画のような動きのある絵本を見せていると終わってしまうこともあります。幼児以降は、安心できるおもちゃを抱かせてあげるのも良いですね。

          「すぐ終わるよ」という声掛けは、「すぐ」という感覚が大人と子供で違うことが多いですので、「何秒で終わるかな?」と一緒に数えるのが効果的です。また、子どもはこの時、すでに最大限の頑張り中ですので、その時に「頑張って、頑張って!」と声をかけるよりは、「頑張ってるね、上手だよ、その調子!」というような声掛けの方が良いでしょう。

          3. 検査・処置・治療が終わった後の関わり
           
          検査・処置・治療が終わった後は、子どもがそれを乗り越えた達成感や満足感が得られるように、とにかく頑張った子どもに「褒め言葉のシャワーを浴びせる」ことが大切です。言葉だけでなく、シールや手作りのメダル、賞状などを作ってあげるなど、形にして伝えることは、より達成感や自信につながるといわれています。

           また、大きな治療や、短期間に繰り返し医療行為を行わなければいけない場合など、子どもにとってトラウマとなり得るつらい体験は、その後に自分の感情を表出することが大切です。子どもとの会話や病院ごっこなどを通して一緒に振り返り、子ども自身がお人形に注射をしたり、治療する側になったりしてストレスを解消するということも大きな効果があります。

          大切なのは、とにかく『子どもに嘘をつかない』、『気持ちに寄り添って安心感を与える』ということです。かかりつけ医のスタッフにも積極的に協力を依頼して、家族と医療者が力を合わせ、子どもの不安を減らせるようになっていけたらと願っています。


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          | shirouiryo | 子どものこころ | 08:00 | - | - | - | - |
          子どもの心のケア−外傷後ストレス障害(PTSD)
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            (2011年5月15日 配信)

            教えて!ドクター 東日本大震災関連特別寄稿

            兵庫医科大学病院小児科教授 服部 益治先生より
             
            子どもの心のケア−外傷後ストレス障害(PTSD)
            被災地以外の子どもにも「外傷後ストレス障害(PTSD)」を考えておく

            今回の東日本大震災、津波の映像や様々な悲劇の報道により、子どもの心が大きく傷つき、不安感を募らせています。
            明るく、無邪気にふるまっているような子どもでも、心の傷から4週間を過ぎた頃から「外傷後ストレス障害(PTSD)」を発病することがあります。
             まずは、保護者が、子どもにとって一番安心を与える存在であることを自覚し、注意深く観察し、きめ細かい対応をとる必要があります。

            1.外傷後ストレス障害とはこのたびの東日本大震災や不慮の事故など命の危険を感じる体験はじめ、虐待、いじめ、暴力、犯罪などが心の傷となり、不安や不眠、恐怖や悪夢、無気力感などを慢性的に感じる病気で、長期間続きます。また直接の体験だけでなく、TV映像や話などの間接的な関連でも発病します。
             2001. 9.11.の米国同時多発テロでニューヨークの世界貿易センタービルに飛行機が突っ込むTV映像が繰り返し流されたため、後に精神科医や心理カウンセラーを訪れる人が増えました。
            子どもは感性豊かですので、悲惨な映像を見せるのは避けてほしいです。
             
            2.外傷後ストレス障害の歴史「不安障害」の一つですが、これはベトナム戦争でトラウマ(精神的な傷)を経験した軍人達が米国に戻った時に社会に適応できず、様々な精神症状を示したことが始まりです。
            日本で有名になったのは、1995年の阪神淡路大震災後の時です。

            3.子どもにどのような症状がいつ頃から出現するのか心の傷(トラウマ)後、数週から数ヶ月後にみられますが、時には数年経ってから発症することもあります。
            指しゃぶりをしたり、母親から離れないなどの「赤ちゃん返り(退行現象)」が起こったり、急に無口や元気がなくなったり、逆に理由なく暴れたり、暴力を振ったりという行動が現れるなどです。
            この背景には、追体験(フラッシュバック)、回避(心の傷に関する出来事を避ける)、過覚醒(神経が高ぶり)があります。
            症状のチェックシートもあります。
            参照:文部科学省HP「子どもの心のケアのために」(PDF) http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/kokoro/06041905/001.pdf

            4.外傷後ストレス障害の子どもへの対応

            (1)子どもに安心感を与える:赤ちゃん返りを叱らない。
            子ども一人にしない。
            家族で一緒に食事をしたり、遊んだりする。
            抱きしめるなどのスキンシップをする。
            悲しみ、怒り、不安を感じることは普通のことと教える。自分を責めている子どもには「あなたが悪いのではない」と話す。
            「頑張って」「我慢して」ではなく、「守ってあげるよ」「大丈夫だよ」と言葉をかける。
             
            (2)子どもが混乱している内容を整理する:子どもが同じことを繰り返し質問しても、丁寧に答える。

            (3)子どもの気持ちを受け止める:目を見て、相づちを打ちながら、話を聞く。
             
            (4)子どもに気持ちを表現させる;自由に震災の絵を描かせる(アートテラピー)、作文させるなどで心の内面を外に出させることは心の傷を過去形にできることになります。

            (5)子どもに活動の場を与える;コミュニケーションの場に参加させ、負担にならない程度の手伝いをさせる。子どもに活動の場を与える:コミュニケーションの場に参加させる。
            絵かき、作文などで自由に気持ちを表現させる。
            負担にならない程度の手伝いをさせる。
             もちろん、大人も無理せず、孤立せず、周囲の皆さんとともに問題を解決しましょう。

            (2011年5月15日 配信)
            | shirouiryo | 子どものこころ | 09:00 | - | - | - | - |
            子どもに嘘をつかない−インフォームドアセント−
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              (しろうジャーナルNO.31 2011年2月15日配信)

              子どもに嘘をつかない−インフォームドアセント−

              自由が丘メディカルプラザ小児科 高嶋能文先生より

               

              いつも思っていることがあるのですが、外来診療をしているとどうしてもお母さん、お父さんとのお話が主になってお子さんとお話しする機会が少なくなりがちです。
              今日は自らの反省
              も踏まえて、「診察時にお子さんとお話しすること」について書きたいと思います。


              1989年に国連で採択(日本は1994年に批准)された「子どもの権利条約」の第12条では子どもの意見を表す権利、第13条では表現の自由が認められています。
              医療の中でも子どもは自分の症状や気持ちを訴えたり、自分の病気や必要な治療について知ったりする権利があるということです。

              私は20103月まで静岡県立こども病院というところで白血病や小児がんの子どもさん達と接してきました。
              白血病を含めた小児がん全体では最近は7割くらいが完治するようになりましたが、中には命を落とすお子さんもいました。

              その中で特に大切だと思ってきたことは「子どもと話す」「子どもに嘘をつかない」ということでした。

              静岡県立こども病院では、たとえ悪性の病気であっても本人に告知をするのを原則としています。
              だいたい3歳以上であれば病気のことをお話しします。
              もちろんその子の年齢や理解度に応じて、自作の紙芝居を使ったり絵本を使ったりしますが、
              基本的に「告知」をするということです。

              また、病気のことだけでなく、これからする注射などの処置や内服が必要なこと、
              だいたいの入院期間やしばらくお友達と会えないことなども伝えます。
              入院や治療は辛いけど、親御さんも医療者も皆であなたのことを応援するよ、とお話しします。


              この時に大切にしていたことは「子どもに嘘をつかない」ということでした。
              注射は痛い、痛いけれど病気を治すためには必要なことなのだとお話しします。


              また、痛みをやわらげるために我々も最大限努力すること、10の痛みが5くらいに減るかもしれないけれど0にすることはできない、と伝えます。

              そうして、子どもにも納得して治療をうけてもらうようにしてきました。
              十分な説明をした上での同意をインフォームドコンセントといいますが、小児には大人のように法制上の義務はないのでインフォームドアセントと呼んでいます。

              アメリカ小児科学会ではインフォームドアセントには以下の4点が必要であるとしています。


              1
              )子どもたちが自分の症状について発達段階に適した理解が得られるよう支援する

              2)なされる検査や処置の内容とその結果について子どもに説明する

              3)子どもの状況理解や反応に影響を与える要素について臨床的に査定する

              4)提案されたケアについて自発的に子どもが納得しているか否かを表現できるよう工夫する


              ちょっと難しいですが、要は子どもと話をして、納得して検査や治療を受けてもらうということです。

              よく予防接種のときに「痛くないから大丈夫」と声をかける親御さんがいますが、そう言われても注射は痛いものです。
              注射が終わった後に「痛くない」と言われたのにだまされた、と思ってしまうお子さんもいるかもしれません。
              「ちょっと痛いけどとても大事な注射なのよ。すぐ終わるからね。痛かったら泣いてもいいのよ、お母さんがついているからね」と声をかけてあげたほうが子どもに嘘をつくことにならないと思います。

              そしてがんばった後は、「泣いてもよくがんばったわね、大事な注射をがんばってくれてお母さんもとってもうれしいわ」と多少大げさと思うくらいたくさんほめてあげましょう。
              外来という限られた時間の中では毎回、十分なインフォームドアセントを得ることは難しいかもしれませんが、なるべくお子さんのお話を聞き、お子さんに嘘をつかない医療をしたいと願っています。


              (しろうジャーナルNO.31 2011年2月15日)

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