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冬場に多いウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)
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     (しろうジャーナルNO.18 2010年2月15日 配信)

     

     

    冬場に多いウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)

    杉並堀ノ内クリニック 小児科専門医 粂川好男

     


     毎年冬から春の時期に、嘔吐や下痢、発熱を主症状とするウイルス性胃腸炎が流行します。

    主に、ノロウイルスやロタウイルスが原因になります。

    アデノウイルスやエンテロウイルス等も胃腸炎の原因になりますが、これらは暖かい季節に多く、ノロやロタよりも症状が軽く済む事が多いようです。

    冬の赤ちゃんの下痢と言えば、昔からロタウイルスが有名でしたが、最近になってノロウイルスの存在がわかってきました。

    ノロとロタで名前が似ているためよく混同されますが、その特徴は微妙に異なっています。以下に、特徴を簡単に説明したいと思います。

    まずノロウイルスですが、秋の終わりごろから冬の中頃にかけて毎年流行します。

    現在、全国的に流行中で、すでにかかってしまった、という方も多いかもしれません。

    特徴的な症状として、突然の嘔吐で始まることが一般的です。吐き気は激しいのですが、半日位でおさまる事が多いようです。

    下痢を伴うこともありますが、ほとんどが軽い下痢ですみます。38度前後の微熱を伴うこともありますが、1日位で下がります。

    嘔吐が長引き脱水状態になれば、点滴や入院治療が必要になりますが、そこまで重症化することは比較的少なく、

    たいていは自宅でのケアで回復します。基本的には、数日で自力で自然によくなる感染症です。

    感染の仕方は、患者の便や吐物に含まれるウイルスが手などを介して運ばれ、周囲の人の口の中に入ることによります。

    ウイルスの付いた食物を食べたり、ウイルスの付着したおもちゃをなめたりしても感染します。
    したがって予防法としては、むやみに口の中に物を入れない、手洗いとうがい、と言うことになりますが、現実的には特に乳児の場合は難しいと思います。最低でも、外出後は手を洗ってあげる、

    不特定多数の人が触るようなものは口に入れない、なめさせない・・・等の対策が出来ればいいでしょう。

    家庭での治療法ですが、まず吐いたらすぐに飲ませない、と言うことを覚えておいてください。

    1回吐き始めると、数時間は周期的に強い吐き気に襲われます。

    脱水を恐れるあまりに、吐いた直後に水分をたくさん与えてまたすぐ吐く、と言う悪循環を繰り返し、救急を受診する方が多く見られます。あせる気持ちはわかるのですが、吐き始めたら数時間は何も与えずに熱を測ったり、背中をさすってあげたりして様子を見るようにしてください。
    数時間たつと、吐き気が少し落ち着いてきます。そうしたら、水分を少しずつ、一口ずつ位を飲ませてみてください。

    出来れば、市販の経口補水液(オーエスワン、アクアライト等)や病院で処方するソリタ顆粒などが吸収がよく吐きにくいと思います。

    夜中に急に吐き始めることが多いため、普段から自宅に買い置きしておく事をお勧めします。
    水分が少量ずつでも吐かずに飲めるようになれば、一安心です。

    30分〜1時間おきぐらいに顔色を見ながら、少しずつ飲む量をふやしていってください。

    嘔吐がおさまった後も、下痢が続くことがあります。

    1日数回の下痢ならば、水分がある程度とれていて、顔色がいいようならば心配ないでしょう。

    食事は無理に進めず、お粥ややわらかいウドン等、消化の良いものを少量ずつ試していってください。

    下痢の回数が減り、少しずつ固まってきたら一安心です。

     次にロタウイルスですが、ノロウイルスより少し遅れて、冬の終わり〜春先にかけて流行します。

    突然の嘔吐と下痢、発熱で発症します。ロタウイルスは、激しい下痢や発熱が長く続くのが特徴です。

    基本的には、1〜2週間ぐらいで自然に良くなる感染症ですが、特に3歳未満の小さなお子さんは脱水が進み点滴や入院治療が必要になることが多くなります。

    水分がまったくとれず尿が半日以上でない、顔色が悪くぐったりしてる、皮膚がシワシワと乾燥してくる・・・等の脱水症状に注意してください。

    感染の仕方、予防法や家庭での治療方法は、ノロウイルスと同様に考えていいでしょう。

    ノロウイルスにしてもロタウイルスにしても、毎年広く流行を繰り返す感染症であり、完全に予防することは不可能な感染症です。気をつけていても、誰もが小児期に何度かはかかってしまう感染症です。

    また、免疫がつきにくいため、成人でも感染することが多いのが特徴です。
    最低限の予防対策は、感染の機会を減らすのに有効ですが、それでもかかってしまったときにはどのように対応するかをよく理解しておくといいでしょう。Hibや麻疹のように、命にかかわるような重症な感染症ではありませんから家庭での適切な対応で充分乗り切れる感染症です。

    補足ですが、米国では数年前から、ロタウイルスのワクチンが定期の予防接種として始まっています。

    重い副反応も少なく、ロタウイルス胃腸炎で点滴をしたり入院したりする重症な乳幼児が、かなり減っているそうです。
    日本でも、早期の導入を期待したいですね。

     (しろうジャーナルNO.18 2010年2月15日 配信)

     

     

    | shirouiryo | ノロ・ロタウィルス | 09:00 | - | - | - | - |
    〈知っておきたい!嘔吐下痢のときに役立つ情報〉
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      (しろうジャーナルNO.18 2010年2月15日 配信)



      〈知っておきたい!嘔吐下痢のときに役立つ情報〉

       

      ☆胃腸炎などのときには脱水防止として「経口補水液」が効果的です。

      市販されている経口補水液(OS1など)でもいいし、自分でも作れます。

      講座でもよく話題になる、その作り方をご紹介します。

       

       

      〈経口補水液の作り方〉

      〆重40g(大さじ41/2杯)、塩3g(小さじ1/2杯)を湯ざまし1リットルによく溶かす。

      △き混ぜて飲みやすい温度に。

      2冥繊淵譽皀鵑筌哀譟璽廛侫襦璽帖砲鮨滴絞ると飲みやすくなり、カリウムの補給になる。

      い舛腓辰箸困帖⊃回に分けて飲ませる。5分ごとに510mlから。(吐かなくなったらそれほど慎重にならなくても大丈夫です。)

       

      ☆家族への感染予防

       

      塩素系の消毒液(キッチンハイターなど)を薄め、スプレー容器に入れ、嘔吐物を拭いた後に吹きかけます。

      ドアノブや子どもが触ったところも拭いておくと家庭内感染を防げます。

       

      ※嘔吐物を拭いたものは捨てるため、ぼろ布・使い捨て手袋が役立ちます。

       

      ※嘔吐物や下痢便などを処理した後はよく手洗いすること。

       

       (しろうジャーナルNO.18 2010年2月15日 配信)

       

       

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      どう違う?どう防ぐ? ノロ・ロタウィルス
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         (しろうジャーナルNO.3 2008年11月15日配信)


        <ノロウィルスとロタウィルス>

         

        感染性胃腸炎、俗に「おなかのカゼ」といわれるものは、小児期によくみられます。

        その代表である、ノロウィルスとロタウィルスについて、細かい医学的な部分は省いて、大事なポイントを少し述べてみましょう。

         

         


        『ノロウィルス』


        例年10月から12月にかけてピークとなる流行がみられます。ロタウィルスが小児に多くみられるのに対し、すべての年齢層に患者がみられます。

         

        感染経路

         ノロウィルスの感染経路は多彩ですが、主に三つに分けることができます。

         

        1)食べ物に由来する

        ウィルスに汚染された二枚貝や海産物を生や十分に加熱しないで食べたため、といわれてきましたが、実際は調理する人の手についたウィルスが食べ物を汚染して感染することが多いようです。食中毒として報告されます。

         

        2)感染者を介して

        感染者の排泄物(吐物、便など)にさわった手や衣服を介してうつったり、またウィルスを含む飛沫を吸い込んだりして感染します。

         

        3)水を介して

          ノロウィルスに汚染された飲料水やプールの水により感染します。

         

        症状

           通常1~2日の潜伏期を経て発病します。おもな症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛

           です。時に発熱や頭痛、筋肉痛をともなうこともあります。多くは2~3日で治まり

           ますが、激しい嘔吐や下痢が続くと、小さな子やお年よりは脱水になりことがあり

        ます。

         

        診断と治療

           診断の確定には、ウィルスそのものや、遺伝子を検出しなければならず、実際は困    

           難です。最近簡便な診断キットが開発されています。

           今のところノロウィルスに対する特効薬はありません。イオン飲料などで水分補給  

           を心がけて、もし嘔吐が続いて水分が取れなかったり、ぐったりする、あるいは

           排尿が少なくなる、などの症状が出始めたら早めに病院を受診して、必要なら点滴

           などの治療をしてもらったほうがいいでしょう。

         

        予防

           食中毒に対しては、ともかく食品の十分な加熱と手洗い、まな板など調理器具を清潔にすることが必要です。

           家族が感染した場合は、排泄物に多量のウィルスが含まれるので、吐物や便を処理するときに、直接触れないように手袋をするとか、また手洗いを十分することが一番大切です。汚れたものを捨てるときには、別扱いにしてビニール袋に入れる、また衣類などは漂白剤(ハイターなど)につけて消毒してください。

           家族内で二次感染をおこして広がることがよくみられます。

         



        『ロタウィルス』

        以前は12月から1月にかけて流行していましたが、最近は2~4月と遅れた流行が見られます。

        ほとんどが小児で、特に3歳未満の乳幼児が中心です。

         

        感染経路

           おもにヒトからヒトへの糞口感染で、便や吐物に入っているウィルスが、手などに

           ついて、口腔内に入ります。(ウィルスが空中に漂って入る場合もあり?)

         

        症状

        潜伏期は1~3日で、主な症状は、下痢、嘔吐、発熱です。

        多くは5日から一週間程度で軽快しますが、症状がひどくて脱水状態になると、点滴や入院が必要になることもあります。

        まれにロタウィルスはウィルス自体の影響と体の反応で、脳症、けいれん、筋炎、肝炎、腎炎などの症状を起こしたり、また虫垂炎、腸重責、血小板減少などの合併症も報告されています。

         

        診断と治療

        季節や流行状況などである程度の推測はできますが、便の中のウィルスを検出する検査をして陽性にでれば確定できます。他のウィルス性胃腸炎と同様に、直接の治療法はありません。脱水を防ぐよう、早くから経口補液(イオン飲料などを少しづつ飲ませる)が必要ですが、症状が激しいときは、点滴で補給します。

         

        予防法

        ノロウィルスもそうでしたが、とにかくよく手を洗うこと。便や吐物を処理したり、洗ったりするときに気をつけることにつきます。

         

         

        ウィルス性胃腸炎について、その他の注意点

         

        症状がある間は、便にウィルスが排泄されていますし、ウィルスによっては一週間以上ウィルス排泄が続きます。

        保育園の登園や集団生活は、発熱や嘔吐はもちろん、下痢などの症状が治ってからにしましょう。

        プールなどはもちろん全快するまで入れません。

         

        入院が必要な場合、病院によっては院内感染の問題から、個室にしたり、部屋を限定したりして制限することがあります。

         

        症状がひどいときや、食欲がないときには水分補給が中心になりますが、嘔吐がなく、少しよくなってきたら、早めに食事を開始しましょう。

        油の多いものや、お菓子などの糖分の多いものは避け、あたたかい消化の良いものを中心にすすめましょう。

         

         (しろうジャーナルNO.3 2008年11月15日配信)
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        ノロ・ロタウィルスについて質問
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          (しろうジャーナルNO.3 2008年11月 配信)

           

          ノロ・ロタウィルスについて質問


          まつしま病院 佐山圭子先生より

           

          Q1.入院できる施設が限られていると聞きました。本当でしょうか?まだ、どれくらい入院するのが一般的?

           

          A1.入院できる施設が限られているということはないと思います。
          たぶんお部屋の都合がつけにくい病気だからだろうと思います。
          とても感染力が強く、また、看護師さん経由で感染することもあるので、とても気を遣うのです。ただでさえ入院しているわけで病気なのに、ロタにまでかかって入院が長引くということもあるので。
          だから、基本は個室。ロタウイルスが増えてきたらロタ部屋などもでて、同じ子どもばかり入院するとか、状況によってロタ部屋が変わったり、とか、そういった煩雑な病院側の操作があります。
          だから、入院させたい子がいても、まず病棟にもどって、うーーーん、どの部屋に入れられる?どこを操作してロタ部屋にする?とか言ったものでした。

          入院は早いと数日、長引いても1週間内かな。


          Q2.入院で点滴での栄養補給になってしまった場合、完治して退院後、子どもが通常の食事に戻れず、(例 ご飯とヨーグルトしか食べない、とか。)苦労している話を2件聞きました。退院後の、食事のとり方で注意する点や、気の持ち方で何か助言(まあそのうち食べるとか(笑))があればお聞きしたいです・・・。

          A2.
          逆の話が多いと思っていました。
          食事制限がずっとあったし、お腹がすいても食べられなかった日が続いた後は、ものすごい食べる食べる!とよく聞いていましたから。私も自分の子どもではそういう経験をしています。体重なんかあっという間にもどりましたよ。
          もちろん、そのうち食べるようにはなると思います。
          ちなみに、点滴は栄養なんてほとんど入っていません。栄養になるほどの濃い液は手の細い血管なんかには入れられません。
          末梢血管からは補液です。脱水にならないためのものです。
          栄養を入れる管は太い血管にしか入れられず、首とか鎖骨の下の静脈に入れます。
          悪性疾患とかそういった状況でしかしません。
          病後の注意としては病気で好きになってしまったイオン飲料を常用しないことです。
          病気のときに勧められたんだから、体にいいものだろう、または好きになってしまったということで、病気の後よく飲むようになってしまったという話をたまに聞きますが、イオン飲料は甘みも強くペーハーも低く虫歯になりやすいからです。
          イオン飲料は病気のときだけでいいです。子どもの飲み物は水かお茶で。
          ここにもイオン飲料のことがありますよ。
          小児歯科学会
          「イオン飲料と子どものむし歯に関する考え方」
          http://www.jspd.or.jp/public/about_pediatrics_02.htm

           


          Q3.
          子供がかかってしまった場合、親にうつらないようにするにはどうする?

          A3.
          これは手洗いや、排泄物の取扱の注意、そういったことに注意するしかないですね。普段の健康ということも大事です。お母さんは一生懸命子育てをしていて、自分のことを後回しにするでしょう?
          たとえば、母乳育児で激やせになっているお母さんに私は時々注意します。
          ちゃんと食べてる?と。
          いつもはなんでもない風邪が長引いたり、中耳炎を併発したり、冬場に子どもから病気をもらったりしやすく長引きやすいです。
          普段から、きちんと栄養、きちんと睡眠、これって以外に大事だと思いますよ。
          お母さんが倒れることほど子育て中で困ることはないですからね。


          Q4.
          水分補給の仕方。少しずつってどれくらい?暖かい消化のよいものってどんなもの。野菜スープなどがいいとき聞いたことがあります。


          A4.水分補給の目安は、ティースプーン一杯が大体5ccくらい(小さじ1杯の方が正確)で一時間あたりの必要水分量は、体重の分だけティースプーン分の水を飲ませると大体取れる。10kgだと10杯といった具合。

          野菜スープやりんご果汁などが望ましいでしょう。(柑橘系は×です)

          おかゆをあげたり、離乳食に戻す気持ちで、というとわかりやすいのではないでしょうか。

           

          (しろうジャーナルNO.3 2008年11月 配信)

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