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保護者と子どもの『安心』のため、日本にもっとホームケアの知識を
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    小児救急医・井上信明先生
    「保護者と子どもの『安心』のため、日本にもっとホームケアの知識を」
    編集 玉木 美企子

     

     

     

    【適切な処置に「不可欠」な存在とは・・・】

     

     

     

     

    国立国際医療研究センター 国際医療協力局 人材開発部研修課 

     

    小児救急医・井上信明先生

     

     

     

    アメリカで小児救急医療を学び、いわゆるER型救急と呼ばれる、
    重症度や原因に関わらず「すべての子どもをまず受け入れる」救急を、
    ここ日本でも、以前の職場である都立小児医療センター救命救急科で実践されていました。

     

     「私達は内科や外科などの専門診療科や臓器にこだわらず、
    急を要する医学的問題を抱えた子ども達全員をまず診察していました。
    その上で、本当に専門医が必要な子だけ専門医に診てもらうようにし、
    それ以外は自分達で継続して診療することもあります」。
    井上先生がそう話す通り、
    「小児救急」とひとくちに言っても内科、外科、外傷、
    ときに精神疾患の分野の問題まで、どんな症状でも診察するのがER型救急の基本。
    このような現場で、一人ひとりの患者を適切な治療へと導くためには、
    膨大な知識と経験、そして「保護者との丁寧なコミュニケーションが欠かせない」と言います。

    【まずは子どもの「ふだん」を知ること】

     「診療でまず確認するのは、心拍数や呼吸数といったバイタルサイン。
    生理学的な兆候は、症状の重さをみる上で大切なデータとなります。
    これと同じくらい大切なのが、保護者の方からの『ふだんと比べて状態はどうか』
    という情報提供です。熱が高くても、ふだんと変わらず元気ならば、何か処置をしなくても
    よくなることがほとんどです」と、井上先生。
    加えて、予防接種歴についても、
    「保護者の方に把握しておいていただくか、母子手帳をお持ちいただくとよいですね」
    と話します。
     また、家庭で保護者が病気や怪我をした子どもと向き合い、
    家庭でできるケアを行うことを、「ホームケア」と言いますが、
    小児医療の分野では重要視しています。

    そして井上先生も日々診察室で、ホームケアの知識を広める実践を行っていると話します。
    「例えば、嘔吐という症状なら、薬剤や点滴に頼らないで済むように、
    どのような水分をどのように摂るとよいのか、具体的にしっかりと伝えることにしています」
     一分一秒を争う、というイメージのある救急の現場ですが、
    それでも井上先生が密なコミュニケーションを心がける理由は
    「次に子どもが同じような状態になったとき、保護者の方が
    薬や点滴を求めて慌てて病院を受診するのを予防することにつながるから」。
    「安易に薬を投与して診療を済ませ、再受診のポイントを伝えるだけでは、
    『予防』という観点からは不十分だと考えています。子どもの状態をしっかりと見極め、
    自宅でできる限りのケアができるようにすること。
    このホームケアの基本さえわかっていれば、冷静に子どもの体調と向き合うことが
    できるはずなんです」(井上先生)

    【親の不安は誰のせい?】

     私達の「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」が設立した当時、
    小児救急に訪れる患者の約9割が入院を必要としない軽症者だといわれていました。
    専門医不足の問題も依然解決していません。
    それでも井上先生は「軽症の患者さんがたくさん受診しているという発想ではなく、
    一人一人が重症患者ではないということを確認する、そのためにしっかりとお話を聞き診察を行う。
    そういった発想で診療に取り組むことが、見逃しを減らすためには必要だと考えています」と話します。
    「むしろ、親の不安をあおっているのは、実は(不勉強な)小児科医じゃないかと感じる時さえあります。
    例えば、熱で受診したとき、『じゃあお薬だしときますね』で終わったとする。
    そうするとご家族は、これくらの熱が出ると薬を飲まないといけないと
    思ってしまうのではないでしょうか。
    あるいは吐いて、しんどそうだと『点滴しましょう』と言われる。
    この経験で、ご家族は『嘔吐したら点滴しなければならない』と思い込んでしまう。
    そういう意味では、どうしてこんな軽い症状で受診したんだ、
    と保護者にいうだけじゃなく、自分達も勉強しなきゃいけない、と思うわけです。
    しっかりと判断ができれば、小児救急に訪れる患者さんには薬はおろか検査さえも不必要なことが多いんです。
     しかし、これも小児科医が悪いのではなく、子どもの救急医療を専門にする人が少ないことが問題。
    また限られた時間で多くの患者さんを診なければならないという問題もあります。
    小児科を専門にする人が育ち、ホームケアの知識が普及し、
    正しい医療が提供できるようになれば、世の中は変わっていくと思うんです。
    そして子どもの病気をきっかけに、その家族が子どもを中心に向かい合い、
    共に育っていく機会にしてくことができればと思います。」

    【お母さん、熱に気づいてくれてありがとう】

     どんな激務の中にあっても、大切なのはまず、受診された方の不安をまず受け止めること。
    そして「これからも不安なことがあったらいつでも来ていいよ」、
    とメッセージを伝えること。そんな井上先生の患者への姿勢は変わりません。
     「子どもを大切に思う気持ちは、私達も保護者も同じなんですよね。
    多くの保護者が、子どもを思う気持ちのあまり受診されていることに気づいたとき、
    夜中の2時、3時に来てくれる患者さんに対して、むしろ感謝の気持ちで接することができるようになったんです。
    お母さん、お父さん、こんな時間にお子さんの熱に気づいてくれてありがとう。
    明日も仕事なのに、お母さん、お父さん、付き添ってくれてありがとう。
    タクシーの運転手さんも、ここまでこの子を運んでくれてありがとう。
    受付の方も、迅速に対応してくれてありがとう、って」
     

     
    そんな井上先生をはじめとする医師から、よりよい医療の提供を受けるためにも、
    私たちがホームケアを学ぶことには大きな意味がありそうです。
    「子ども達は日本の未来です。ならば子どものホームケアも救急も、
    未来に命をつなぐ仕事と言えるでしょう。私は小児救急医として、
    この嬉しさや楽しさを、小児医療を目指す若い医師や看護師達に伝えていきたいと考えています」

     「現在、私は開発途上国における人材育成に関する仕事をさせていただいています。
    前職の都立小児総合医療センターには、有能な人達が集まってきてくださり、
    同じ方向を向いて理想を実現していく体制が整った。
    それで、昔からの夢だった、現在の仕事を始めました。
    でも、実はその先に日本の地方の小児救急医療のことも考えたいと思っています。
    途上国が抱える課題と日本の地方が抱える課題に共通点があることに気づきましたし、
    何よりも『東京だからできるけど地方ではできない』と言われないように、
    すべての子ども達が最善の小児救急医療を受けることができるように、
    自分がさせていただけることを全力で取り組みたい、そう考えています」

    内容につきまして、メディカルノート
    より許可を得て、一部転載しております。
    尚、メディカルノートには、井上先生による、
    親が知っていて役立つ嘔吐の見極めや対処も掲載されておりますので、
    ぜひご一読ください。

     

     

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    | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 07:00 | - | - | - | - |
    予防接種がいやだな・・・という方へ(連載4回シリーズ)
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      ( しろうジャーナル NO.81 2015年5月15日 配信)


      ひだまりクリニック 小児科医 ・佐山圭子先生


      第3回

      5.メリットとデメリット

      予防接種を受けるメリットとデメリット・受けないときのメリットとデメリットを比較すると、せっかくの現代医療の恩恵を拒否するのはあまりにももったいないと私は思います。自然に罹って起こることと、ワクチンによって起こることを比べると、自然に罹ることの方が、取り返しのつかない出来事が起こります。その程度も率もずっと高いのです。

      医療は、病気や死に対して人為的に何かできないかということで起こってきましたし、先人のたゆまぬ努力と継承によって、今の医療があります。予防接種は、人間が本来持つ免疫力をうまく利用している、とても良質の医療だと思います。もちろん、予防接種による副反応はありますが、受けないでいるために起こってしまうことよりも、ずっと軽くすむように継続して工夫されてきました。ワクチンそのものの改良やスケジュールの工夫など、これからもよりよいものになっていくでしょう。

      もし今、予防接種がなくなったら、とても大変なことになります。予防接種のメリットは見えにくいのですが、麻疹が流行しなくなったのは予防接種のおかげです。接種率が低くなると流行してもおかしくないのです。今も先進国で宗教上などの理由で接種率が低い集団での流行があります。最近、アメリカで麻疹が流行しているとのニュースを聞いたことがあるのでは?接種率が低くなっている州で 親子連れが集まるレジャー施設で感染したとみられています。

      「予防接種を受けなくても私の子どもは罹りません、私はきちんと手当をして食養生も頑張っているから」とおっしゃる方に出会ったことがありますが、それは間違っています。周りの人が接種してくれて、接種率が高く維持されているので流行にさらされないからこそ病気にならないでいるのです。

      予防接種は、自己防衛(自分が病気にならない・軽く済ませることができる)と同時に、社会で予防する・流行を減らすという社会防衛にも大きな意味があります。社会防衛(みんなが免疫をもつこと)により、予防接種のできない年齢の子を守る、親が子どもに感染させない、基礎疾患やその治療のために予防接種ができない状態の人・あえて予防接種をしない人を守るということになります。

      昔、予防接種がないとき、麻疹は20年に一回大流行しました。(という古い文書が残っています)流行後には「命定め」で生き残った人が接種率の高い社会にいました。年々免疫を持つ率が減って再び大流行があったのです。麻疹の流行と飢饉が重なった時は数人に一人が亡くなったという記録もあります。

      今の世界でも内戦状態などで衛生環境が悪かったり予防接種ができなかったりする地域では、しばしばVPD(予防接種で防げる病気)が流行して、多くの感染者がでて、死亡や後遺症も増えます。

      予防接種の研修で100人ほどの小児科医が集まった時の話です。「麻疹でお子さんをみとったことのある方は?」と司会者が挙手を求めました。半数以上の小児科医が挙手しました。私は経験がありません。でも、その多さに私は驚きました。
      と同時に、そうであろうとも思いました。麻疹の死亡を経験したことはないですが、とても重い病気だということは知っていますから。

      予防接種など必要ないという考えをネットで書いている人は無責任だと思います。不安な人々を煽って面白がっているのではないかと思うこともあります。そういう人は、何かあっても決して責任はとりません。責任は接種しない親にあるからです。
      必要ないという人は、重い状態の麻疹を診たという経験がある人でしょうか? 重い状態の治療をする人でしょうか? 重い状態の患者を診る立場の医師は口々にいいます。「予防接種をしてほしい」と。亡くなった子どもを前に「どうして予防接種をしなかったのだろうか」と嘆き苦しむ保護者の姿を知っているからです。たった数千円のワクチンを接種しておけば防げた死亡なのです。その防げた幼い子の死と嘆き悲しむ親の現実を知っているからこそ、予防接種を受けてほしいと小児科医は願っているのです。

      ネットを不安な気持ちで検索するのは危険かもしれません。どんどん不安な気持ちになるページを見てしまいます。ネットはそういう仕組みにできています。
      先月ご紹介したKnow! VPDの会は、正しい情報を伝えていてお勧めです。


      医師の利権が・・・などと言う意見もありますが、医師自身も受けない怖さを知っていますので、せっせとわが子に接種しています。もちろん自分も接種しています。

      ※次回は「接種しないとどうなるか」についてです

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      | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 07:00 | - | - | - | - |
      こどもの病気との向き合い方 〜防げるものは防いだ上で病気になるのをどう前向きに捉えるか〜
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        埼玉県所沢市 くさかり小児科  草刈章


        「かぜ」の意味論
         こどもの病気でもっとも多いのは発熱、鼻水、咳が出る「かぜ」、上気道炎といわれるものです。この病気を中心に、症状の意味や対処の仕方について、私が普段、患者さんやお母さん方に話していることを述べてみたいと思います。


        発熱はお子さんをウルトラマンにする
         「熱がでると辛そうだし、夜も眠れないし、けいれんも心配。早く下げなくちゃ。」と思うお母さんも多いかもしれません。しかし発熱こそ、病気が治るためには是非とも必要なものです。

        体温が高くなるとウイルスや細菌などの病原体の増殖が著しく抑えられます。逆に体の免疫力は5倍から10倍以上も強くなります。発熱しているお子さんはウルトラマンのように病原体にたいして強力なパワーを持つのです。

        ですから安易な解熱剤の使用は勧められません。むしろ保温に注意すべきです。頭痛や不機嫌、不眠などを訴えている場合は浣腸がよく効きます。市販のイチジク浣腸の使用が便利です。解熱剤を使用する前に浣腸をしてみましょう。


        かぜは自然に治る、でも怖い病気も
         「かぜ」の原因はほとんどウイルスです。ですから特別な治療をしなくても自然に治ること多いのです。しかし稀ながら命にかかわる病気もあります。

        インフルエンザは毎年、12月から3月くらいまで流行しますが、脳炎、脳症、肺炎を起こすこともあります。ワクチンはこのような重症化を防ぐ効果があり、乳幼児には必ずワクチン接種を推奨します。

        また一夜でけいれん、意識障害を起こし、不幸な転帰をとる細菌性髄膜炎などもあります。病気のはじめは発熱や不機嫌などの症状しかないので、病院で「かぜですね。」と診断されて、お薬をのませていても翌朝には急変したということがあったのです。

        今ではヒブや結合型肺炎球菌のワクチン(プレベナー)の接種により、こうした細菌性髄膜炎は大変少なくなっています。この二つのワクチンは、生後2ヶ月から接種できます。是非、受けて下さい。


        注意しなければならない病気の見分け方
         また39℃以上の高熱が続く時、発疹やリンパ節腫脹(リンパ節の腫れ)があるとき、呼吸困難や嘔吐下痢が頻回のときは重症の病気のこともあります。私はこのような場合では必ず血液検査や迅速抗原検査を行って、どのような病気なのか判断することにしています。

        高熱の場合は、なるべく検査で原因を確認し、それに合う治療をすることが何より大事です。検査もしないで抗生物質を処方されたら、医師を替えた方がよいかもしれません。


        鼻水、鼻づまりは新たな病原体の侵入をブロックするもの
         「かぜ」をひくと小さな子ども達が困るのは鼻水、鼻詰まりですね。これも辛い症状の一つですが、意味なく起こっているわけではありません。

        「かぜを引く」ということは体に好ましくない侵入者、ウイルスが入ってきて体の細胞を壊しながら増殖することです。かぜの病原体はほとんどが鼻から入ってくるので、鼻を狭くして抗ウイルス作用をもった成分を含む鼻水を出して新たな病原体の侵入を阻止しようとしているのです。

        ですから無理に薬で止めようとするのはよくないことです。鼻水は優しく吸引してあげてください。また風呂に入れ、部屋を加湿して暖かくすると軽快します。


        咳は命をつなぐための不可欠の症状
         咳もお困りの症状の一つですが、かぜにともなう咳はかぜから回復するために絶対に必要なものです。ヒトが生きて行くために、休みなく呼吸をしなければなりません。わずか3分間でも中断すると重篤な脳障害を起こすか死んでしまいます。

        呼吸をするときの空気の通り道、鼻や咽、喉頭、気管、気管支を気道と言いますが、かぜのウイルスは気道の上皮細胞に感染し、それを壊しながら次々と増殖していきます。

        体の免疫細胞であるリンパ球は感染細胞を破壊し、抗体を作ってウイルスを攻撃します。好中球やマクロファージなどの細胞もこの戦いに加わり、炎症という状態が起きて大量の分泌物、痰が生じます。

        このままですと呼吸ができなくなり、細菌の二次的な増殖が起きて肺炎も起こります。このような事態を防ぐために、強い気流を作って分泌物をはき出す、それが咳なのです。

        ですから「かぜ」を引いているときは咳止めのような薬を与えてはいけません。痰のはき出しを楽にするような去痰薬であればよいかもしれません。

        気道が修復されて呼吸が普通にできるようになるには1週間から10日かかるのは普通のことです。それ以上続いたり、鼻汁がひどいようであれば急性副鼻腔炎などの合併が疑われます。

        自然治癒力を最大限に高めるには?
         このように私たちヒトは病気を自力で治すための様々な仕組みや機能、自然治癒力をもっています。発熱や咳、鼻汁はその力が働いていることを示しています。

        ですからそのような症状を薬で抑えるのではなく、その力が十分に発揮できるよう安静と保温に充分注意することが重要です。そして元気なときはなるべく外遊びをし、過剰に清潔にしないように気をつけ(入浴時は石鹸をあまり使用しないOR使用しすぎない)、バランスの良い食事をすることです。


        万が一の重症の病気を防ぐ頼もしい味方、それはワクチン
         多くの病気は自然に治りますが、それでも場合によっては脳炎、脳症、肺炎などの重篤な合併症を起こすこともあります。あるいは病気自体が治療困難ということもあります。

        このような病気は少ないものの、いつ誰がなるか予想もできません。万が一の病気や合併症を防ぐにはワクチンで予防できる病気はしっかりと予防接種を受けることが大事です。

        この数年、日本でも接種できるワクチンが増えてきました。特に生後2ヶ月から接種するヒブ、肺炎球菌ワクチンはもっとも恐ろしい病気の一つ、細菌性髄膜炎を防いでくれます。

        これらの二つのワクチンが広く接種されるようになってから、明らかに髄膜炎や重症細菌感染症が減ってきています。ワクチンに関する情報が様々なところから提供されています。これらをよく理解して、スケジュール通りの接種を行いますよう、強くお勧めします。

        「かぜ」こそヒトを丈夫にする

        1歳で保育園に入ったお子さん、最初のころはしょっちゅう熱を出して、
        度々保育園から呼び出しの電話を経験したお母さんも多いことでしょう。そのようなお子さんも年中、年長児になると滅多に熱を出さなくなり、丈夫になります。それは国に国民の安全と安心を守るための自衛隊、警察、海上保安庁などの組織があるように、私達の体の中にも免疫という仕組みがあるからです。最初にかぜのウイルスの攻撃を受けたときは、
        有効な抗体をすぐには造りだせず、発熱や鼻水、咳などでなんとか病原体を撃退しようとするのです。これは自然免疫という働きです。その間に病原体を調査、分析し、確実に有効なウイルスを攻撃できる抗体(特異抗体)を造りだして病気を治すのです。これは獲得免疫ともいわれています。このときの調査結果(抗原情報)はしっかりと記憶され、二度目に同じ病原体が入ってきたときは素早く対応し、熱や咳などがひどくなる前にウイルスを撃退するのです。1〜2歳ころにしょっちゅう「かぜを」をひくのは、けっして無駄にひいているわけではありません。人間集団のなかに必ず存在しているウイルスに対してしっかりと免疫をつくり、大きくなってさまざまな活動をしなければならなくなったときに、体を病原体から守ってくれるのです。「かぜ」を引くことは我が子が将来、元気で活躍するための「体造り」とご理解いただきたいと思います。

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        | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 08:00 | - | - | - | - |
        子どもの病気は避けられない! 親だからこそ出来ることは?
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          (2012年4月15日配信・2016年3月改訂)

          子どもの病気は避けられない! 親だからこそ出来ることは?
          ひだまりクリニック院長 佐山圭子先生

          「親のこころがまえ」

          病気になるというのは親にとっては心配なことで、できれば軽く早く治るといいなとはどの親御さんも考えることですね。そして、できたら避けて通りたいことでもあるでしょう。

          会の年度末恒例の「復職前講座」でも、どうしたら子どもの病気の予防ができますか?というご質問をしばしばいただきます。

          けれど、子どもが成長するまでにかかる病気に何回もかかるということは避けられないのです。ときには、入院を必要とすることもあります。

          避けられないことであるけれど、病気になることで身体を丈夫にしていく側面もあります。だからこそ、稀な部類に入る予防できる病気に関しては、その予防法、つまり予防接種を適切な時期に受けるということをお勧めします。たとえば、細菌性髄膜炎の予防接種は2か月から、三種混合は3か月からと心がけると、より早くから予防してあげられるのです。細菌性髄膜炎は月例の小さい赤ちゃんにも起こりますし、小さいほど症状がはっきりしにくいことが多いのです。また三種混合で防げる百日咳は赤ちゃんほど重症化しやすいのです。

          予防できないながら、病気のサインに気付きやすい親だからできることがあります。それは生活リズムをきちんとつけてあげることです。

          「早寝早起き・朝ごはん」ということですね。

          これは、意識しすぎということはないほど大事なことだと長年乳幼児健診をしてきて、子どもの生活を聴くほど強く感じます。

          生活リズムのいい子は、よく眠る・よく食べる・活発に遊ぶ・便秘になりにくい・ぐっすり眠る傾向があります。そして、病気のサインに気付きやすいです。「あれ?この時間に寝ることはないのに?」とか「いつものように食べないな・・・好きなものなのに。」とか、です。

          生活リズムは大事だよと聞いてもそれを工夫してやっていく日々の積み重ねは親にしかできないことですね。

          こどもの生活というものを考えてみてください。

          集団生活は、保育園にしろ幼稚園にしろ小学校にしろ、一番大事な時間帯は午前中です。

          その子のベストの状態が午前にくるように生活を整えてあげると(たっぷり寝て早起きして余裕をもって朝ごはんをすませ、排便もすませておくと)とても楽しく集団生活を過ごせます。逆に、夜遅く寝て朝ギリギリで起こされてぐずる子どもの口にご飯つっこみ慌てて駆け込む・・・と、たぶん集団生活はうまくいきにくいです。眠くておなかがすいてる状態ではその子の良さが発揮できません。ぐずったり泣いたり・・・初めての集団生活がうまくいくように、生活リズムを整えましょう。

          集団生活が始まるとおそらく一年間ほどは病気に次から次へとかかると思います。

          出席停止が決められている病気もあります。麻疹風疹はもちろんのこと、水痘やおたふくかぜは、集団生活に入る前に予防接種を受けた方がいいでしょう。予防接種を受けてもかかることはありますが、確実に軽くすみます。また、おたふくかぜによる難聴は最近の調査で、思われていたよりも高い確率で起こってくることがわかってきました。(1000人に一人ほど)

          予防接種率が高いほど、流行が抑えられ、受けられない事情のある子を守ることもできます。こどものいる集団での病気の流行状況は診断の参考になりますので、なるべく情報を診察時には伝えてください。集団生活では水痘・おたふくかぜ・胃腸炎・インフルエンザ・ヘルパンギーナ・手足口病・プール熱などはしばしば流行します。

          情報の共有という視点からは、自分の病気の状況・感染者との接触を保育者に伝えることも大事です。多くの病気に特有の潜伏期間があり、発症の数日前から感染力があることが知られています。
          流行の情報を保育者(園の保育士など)から得て、受診時に医師に伝えることも大事です。

          病気になるのは、避けられない部分も多いし、感染症を克服していくということはそれだけ、免疫力をつけるということにもなるのです。

          また、子どもの病気を看るというのは、それ自体が子育て経験となり、次の病気での対応が変わるはずです。そうやって、少しずつ自信をつけていければいいのです。

          子どもが一番安心するのは、大丈夫だよと自信を持って慰めてくれる親だろうと思います。

          さらに、親御さんに伝えたいのは、自分に罪悪感を持たないこと。

          何かと原因を見つけたいものかもしれませんが、病気は単純なことです。

          病原体が体に入った+それに対する抵抗力がない(または弱い)、その結果の感染症なのです。

          だから、私がもっときちんとみていたら・・・とか、余裕がないから病気になるの?とかは考えないことです。むしろ、一つ免疫力がついた、元気になった、くらいに考えましょう。親御さんがくよくよするのはよくないです。

          もしも、保育園の入園に伴って断乳するか迷っている方は、ちょっと待ってみてはいかがでしょうか。

          保育園は子どもにとっては環境の変化という一つのストレスですから、同時に断乳というストレスを加えるのは子どもにはより負担ではないかと思うからです。

          できたら、保育園に慣れるまでは見合わせた方がいいのでは?慣れて楽しくいけるようになってからでいいのでは?と思います。

          ちなみに哺乳瓶で飲めない子に慣れさせてきてくださいといわれたら・・・お母さんでなく、お父さんおばあちゃんおじいちゃんが練習するようにしてください。それも、お母さんは姿を消して。

          でないと、おっぱいがそこにあるのに、なぜくれないの?と赤ちゃんは怒ってしまうからです。

          子育て仲間が周りにいっぱいいるといいですね。

          元気なときも病気のときも、気軽に助け合える仲間がいて、悩みも相談しあえる仲間がいると、子育てはより楽しくて、分かちあえるものになります。

          そして、そういう仲間作りをして楽しんでいる親を見て、子ども達も親の知らないうちにいろいろなことを学んでいるのだと思います。

          (2012年4月15日配信・2016年3月改訂)
          | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 09:00 | - | - | - | - |
          お医者さんともっとコミュニケーションを上手にとるために
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            (2011年11月15日 配信)

            お医者さんともっとコミュニケーションを上手にとるために

            ひだまりクリニック院長 佐山圭子先生より

            最近家族が病院にお世話になることがあり、改めてコミュニケーションは大事だなと思いました。

            そして、医療者であっても患者の立場になると質問を上手にすることは結構難しいことなんだと思いました。忙しそうとか、当たり前すぎてバカみたいなんじゃないかとか、気になることはありますよね。

            でも、診察している側にすれば、忙しいときに長々といつでもよいようなことを繰り返されると本当に嫌になることはあって、遠慮して質問できない人もいる一方、何も考えない人も中にはいるのです。

            医者はいろんなタイプの人相手に次々と診察するので、ゆとりのないときは「何か聞きたいことはありますか?」と言えないこともある(そんなときの方が多いかも)でしょう。そんな状況でも、こころがけておくとコミュニケーションアップ!となる技?を考えてみます。



            /濃,スムーズにすすむようにいろいろ工夫する。

            たとえば体温表を作っていって、さらに医師が聞きたいであろうことをそのグラフの下に書き込む。

            (小児科の体温表はhttp://www.fukuoka-med.jrc.or.jp/sinryou_annai/kamoku/childhome/taion.pdfでダウンロードできます)

            おしっこの回数とか、嘔吐下痢、咳込の具合とかをグラフ下の余白には記入したり、上には、解熱剤を使った時刻に↓で印をつけておくとか。

            喘息の治療中で発作の時に使う薬を使ったら、その印をつけておくとか。

            そうすることで小児科医師が問診で(診察前に情報を得て診断のとっかかりにする質問)使う時間が減らせ、さらに「このお母さんよく見て看病してる。」と普通よりも信頼を得られると思います。

            脱ぎ着のしやすい服も大事だし、なるべく泣かないようにいいきかせておくのもいいと思います。お母さん自身も緊張しないでできるだけ和やかな雰囲気で。お医者さんも実は普通の人なんですよ。野球好きもサッカー好きも映画好きも宝塚好きも漫画好きも・・・

            そして、普段から医者を怖いもの、悪いもの、痛いものというイメージをつける言い方はやめましょう。
            たとえば「そんなに悪い子だったら、病院行ってチックンだよ!」とかもってのほかですよ。

            ∧垢たいこと、お願いはあらかじめ忘れないようにメモをすること。
            簡潔にわかりやすく聞けるようにメモするといいと思います。

            お薬をシロップに変えてほしいとかも、薬局に行ってしまってからだと面倒なので、診察室で言い忘れのないように。質問が苦手な人は、健診で聞けることは健診で聞いて、質問する練習をしておくといいかもしれません。健診は質問に答えることも大切なことなので、質問を嫌がることはないと思いますから。

            診察室では混み具合や状況によっては質問を嫌がられることもあるかもしれません。

            本当はそんなのはよくないと思います。が、やっぱりすご〜く混んでいるときは、病気のことで心配なことにとどめておいた方がいいと思います。

            K棆擦鯤颪澑さず言う方が医師も診察しやすいのです。

            薬が心配できちんと飲ませたいのか、なるべく飲まさない方がいいのか、そういうことも処方の参考になるのです。

            何でも要求が通るというのではありません。(ここは誤解しないでほしいのですが)

            医師はプロの目でみて、どうしても飲むべき薬は説明して飲んでもらうようにするし、飲まなくていいくらいの薬なら、飲まないで様子見てもいいでしょうといいます。

            本当は小児科の一般外来では絶対に飲ませないといけない薬というのはあまりないのです。ウイルス性の疾患であるいわゆる風邪には特効薬はありません。

            鼻水や咳の薬も飲まなくても治ることは多いし、ピタっと止める薬はありません。

            ぞ児科医師でなくても答えられる質問は看護師さんや保育士さんに聞くのも手です。

            最近、見学させていただいたある開業医さんでは、看護師さんがホームケアや治療について薬について、また、予防接種のスケジュールや副作用まで、なんでもお答えしてました。医師の「母を育てる」という意識が看護師にまで浸透していたクリニックでした。看護師の答え方で医院のレベルがわかってしまうということにもなるのだと感心しました。

            ヅえられない質問をしないこと。

            いつ治りますか?いつまで熱が続きますか?
            絶対に大丈夫ですよね?(悪くなりませんよね?)
            小児科医師はその時の状況でそのときできる判断をするだけです。

            だから、熱が出て一日二日、では判断しきれないこともありますし、絶対に悪化しないとは断言できません。
            多くの場合、それほど重症でなくて「あと一日二日すれば下がってよくなってくると思いますよ。」とはいえても、絶対治るよとは誰にも言えないと思います。

            でも、もちろん、こうなるであろうという見通しを聞いておくのは大事なことだと思います。そうすれば、余計な不安がなくなるし、見通しと違って治らなかったら、それは受診するタイミングだというわけですから。



            Υ擬圓里任ることは、勉強すること。

            身体について。そのしくみについて。
            病気について。
            治療について。
            薬について。
            軽い鼻水や咳は、薬を飲まなくても治るし、ピタッと止める薬はありません。

            でも、症状を軽くしたり快適に過ごせるようにするケアはありますから、こういうところは勉強!です。
            自分の子どもの病気のときの特徴についても。これについては子どもが病気になればなるほど、プロになります。

            だから、最初はなかなか大変です。
            勉強しないとどこがどうわからないかもわからないままです。
            小児科医師、看護師、保育士に聞くのもいいですし、本を読むのもいいです。

            もちろん、「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会の講座はお勧めです。


            Г笋呂蝓⊃祐峇愀犬任△襪箸いΔ海箸世ら、双方の努力というものが大事です。

            日常のコミュニケーションが上手な人は、医者との関係も上手かもしれません。
            上下関係を感じる人はいるかもしれません。
            学校という場での先生と生徒という関係で考えてはどうでしょうか?
            教え導くという役割は先生にはありますが、上下関係では決してないと思います。
            医師と患者も上下関係でなく、ある役割が医師にはあるのだと思います。
            医師には、正しい医療知識を正しく伝える役割。よい医療を実践する役割です。
            患者には、医師が正しく判断するための協力をするという役割があります。
            ストレスのない関係の方が良い医療を受けやすくなり、双方によいでしょう。
            上下関係でないというのは、素晴らしい医師が同じことを言うことからもわかります。

            「多くの患者さんから学んできた。」

            「今の私は多くの患者さんが教えて導いてもらったからこそある。」本当にその通りだと思いますし、そのような医師は決して上に立っているものとして持ちそうな驕りもないし、自分が常にわかっていなければならないという縛りによるストレスもないです。

            そういう発想の転換が必要な医師はいるかもしれない。
            そうすれば、自分も楽になるのに・・・・と思いますが。
            私自身も小児科医師として働くときには常にこころがけたいことです。

            COMLという団体の活動をご存じですか?
            まさに、私がいいたいことをすでに17年も前から頑張ってつたえてくれています。

            「賢い患者になりましょう

            私たち一人ひとりが『いのちの主人公』『からだの責任者』」
            とトップにあります。

            http://www.coml.gr.jp/

            もっともっとコミュニケーションについて考えたいという方にはとってもお勧めです。

            (2011年11月15日 配信)
            | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 09:00 | - | - | - | - |
            小児科医からお母さんに伝えたいこと
            0
               (しろうジャーナルNO.22 2010年6月15日 配信)

              「小児科医からお母さんに伝えたいこと」

              第一回 東京・杉並区 まつしま病院小児科医 佐山圭子先生

               

              協力医の佐山圭子です。
              いつも、お母さんに伝えたいなぁと思っていて、

              いつも言いそびれてしまうということがあります。


              電車の中などで出会うんですよ、悲しいなぁ〜と思っちゃう親子に。
              なんだかぐずっている子どもが、たとえば、やりたくないことを

              お母さんにやれといわれているとか、かな?

              またはお母さんに、きちんとこっち向いて!という気持ちなのかもしれないけれど、

              「お腹がいたい〜」と訴えてる子どもをみかけたりします。


              それ自体はなんの問題もない、よくある風景です。
              その返事でお母さんが言っている言葉にしょんぼりします。


              「そんなに痛いの!そう!なら病院に言って注射してもらうよ!」
              そんなこと言わないで!日常で病院はお仕置きする場所、

              痛いことをして子どもを苦しめる場所だよ!と教えないで、お願いします。

              と、切に思ってしまいます。


              病院は病気のときに行くところ。

              お医者さんは子どもを苦しめるのが好きなのではない。怖い人ではない。
              子どものことを大事に思っていて、子どものことをむしろ好きなんだよ。
              病気の子どもが治るように、楽に治るように、

              何か予防接種とか痛いことをするのも必要だからするんだよ。
              そう言いたいです。


              注射一つでも、お母さんが納得できているかどうか、

              そういうことって子どもにも影響すると私は思う。
              痛いね、頑張ったねと寄り添うことは必要だけど。
              言葉が通じても通じなくてさえ、これは必要だから、やるんだよ。

              そういうことを子どもに真剣に伝えると、子どもは納得して我慢できると感じます。


              私は今、ほとんど子どもに処置をすることはなくなってしまいましたが(健診ばかりで)、

              処置をするとき、必ず、必要なことなんだよ、と伝えます。

              先生もできるだけ痛くないように頑張るから協力してね、と。


              すると、子どももすごく頑張ってくれる。早い子は2歳で、3歳の子どもには必須でした。

              だって、処置のしやすさが全然違うんですから。

              そういうとき、聞く耳をもってくれない子どもって、普段から母さんに、

              病院や医者を悪いことしたら連れていって罰をしてもらう場所、って

              言われているのかなぁ〜と考えてしまいます。


              子どもはお母さんがどう考えているかわかっています。

              また、普段の言葉もしっかり残りますから、是非、このことを心に留めておいていただきたいなと思います。

               

              (しろうジャーナルNO.24 2010年7月15日 配信)

              | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 09:00 | - | - | - | - |
              お父さんお母さんが子どものためにすべきこと 〜検診のすすめ〜
              0
                 

                (しろうジャーナルNO.20 2010年4月15日 配信)

                『お父さんお母さんが子どものためにすべきこと 〜検診のすすめ〜』

                 

                内科医 金澤信彦先生より

                 

                皆さんはじめまして。

                内科医の金澤と申します。専門は消化器内科で、特にウイルス性肝炎など肝臓の病気が専門です。

                自慢ではありませんが小児科のことは全く分かりません(^^;

                 

                 そんな僕が今回みなさんにお話しすることは、お父さんお母さんの健康管理、特にがん検診についてです。

                 

                 ところで僕は現在どこの施設にも所属していません。過重労働が耐えがたく、このままでは子供(2歳、7歳、8歳です)にかえって悪い影響が出るのではと思い急性期病院での常勤を辞めました。

                辞めたついでに、色々な施設を見たくてあちこちで働きましたが、なかにはとりあえず小児科も診てくれと言うところもあり困ることもありました。

                キャリア転換は自分の子どものためでしたが、医師としては子どもには役立たずな僕でした。

                そうした中で子どもを大きく意識した出来事がありました。

                 

                ある人間ドックの施設で勤務したときのことです。

                僕は胃カメラを担当しました。午前中に20数名を検査しなくてはならない多忙な施設でしたが、その中の30代中盤の女性の問診票には珍しい事が書かれていました。

                「既往歴:大腸がん」?どうせ、ポリープに癌が混ざっていた、といった、たまたま取ったら見つかったものだろうと思いました。

                しかし、なんと進行癌だったそうです。

                前年のドックで便潜血陽性からの精密検査で見つかり、早い時期だったので比較的負担の少ない腹腔鏡による手術で済んだとのこと。

                 

                 僕はよかったですね、と言っていいやら迷いながら胃カメラを開始しましたが、その綺麗な胃粘膜を観察しながらとても幸せな気持ちになっていくのを感じました。

                もし去年大腸がんを見つけていなければ、進行して抗がん剤治療が必要となったかもしれません。

                それでも1年後に見つかればまだしも、見つからずに放置されていれば手遅れとなっていたかもしれません。

                そうしたらご本人だけでなくご両親やご兄弟・友人はきっと落胆されたでしょう。

                ましてやもしお子さんがいれば、世界でたった一人のお母さんを失うことになります。   

                 

                 がんにかかったことは不幸かもしれませんが、適切な時期に適切な対処ができたのであれば、それは人生経験の1ページでしかありません。 僕はその1ページに関わることで、間接的に子どもを幸せにすることにも関わっているのだなぁ、と自分に都合のいい解釈をしたのでした(^^)

                (でも家族構成は聞きませんでした)

                 

                 さて、それでは日本の検診受診状況はどうでしょう。

                 実は他の先進国と比べて受診率は低率で、40歳以上の各がん検診受診率は20-30%にすぎないと言われています。

                もちろんがんは高齢者に多いので、若いお父さんお母さんまで闇雲に検診をすればいいわけではありません。

                 

                 しかし、乳がんの罹患率(りかんりつ:新しくかかる割合。死亡率とは違います)をみると20代後半から上がりピークは40代です。

                子宮頸がんは20代前半からはじまり、30-40代がピークです。

                (参考:国立がんセンターがん対策情報センター

                http://ganjoho.jp/pro/statistics/graph_db_index.html )

                 思ったよりも若いと思いませんか?僕は恥ずかしながらそんなに若いとは知りませんでした。

                 

                 そもそも若い方の死亡原因で多いのは不慮の事故と自殺ですが、女性は30代後半からがんがトップになります。

                男性の死亡原因は30代では自殺が多いのですが、40代後半にはがんがトップになります。

                しかしメタボ健診ほどの話題にはなりません。

                (そもそも自殺がこれだけ多いことさえ話題に乏しく、慣れてしまった感があります)

                 

                 確かに糖尿病や高血圧のような身近な病気で、検査結果の変化が数値で一喜一憂できるメタボ健診と違い、がん検診は変化に乏しく継続して受けるモチベーションが保ちにくい面もあります。

                 もちろんメタボ健診も非常に重要で早期の対処が重要なのですが、がんの多くも早期の対処で治ることも知って頂きたいと思います。

                そしてがんは必ずしもお年寄りだけの病気ではないことも。

                 

                 何よりも検診は自分だけのためのものではありません。

                 仕事のために、ご家族のために、そして何よりもかわいいお子さんを守るために検診が必要であることを、

                この場をお借りして強調したいと思います。

                 

                 (しろうジャーナルNO.20 2010年4月15日 配信)

                 

                | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 09:00 | - | - | - | - |
                「ママ・パパが主治医」という観点から親ができること
                0
                   

                  (しろうジャーナルNO.19 2010年3月15日配信・2016年3月改訂)

                   

                  一歳半までには理想のリズムを作りたいものです。だいたい子どもは10時間くらい眠るとすっきり起きられますので、朝7時までに起きるためには、9時までには寝てほしいと思います。

                   

                  メリハリのある生活であると、食事の問題も少なく、よく食べよく遊び、しっかり寝るし、排便の習慣もきちんとつきやすいようです。

                  (これは子どもの健診をして、一日のことを丁寧に聞くと実感します。)

                  昔から『快食・快眠・快便』といいますが、重要なことだと思います。

                   

                  21時に寝たら、朝7時に起きる。23時に寝たら、朝9時、など生後6ヶ月を過ぎるとある程度リズムがついてきて、夜10時間ほど寝てすっきりと目覚めます。

                  (不思議なことに、夜中に授乳で何回起きたかは、余り関係ないのです。)

                   

                  もちろん夜中に遊びだしたりしたら話は別です。その分朝起きるのが遅くなります。

                  だから、夜中に遊びだす子どもの相手は決してしないように、電気をつけて明るくするのもやめて、親は寝たふりして静かにしましょう。

                   

                  1歳半までにかなりしっかり生活のリズムはつきます。早いこどもは生後一カ月で昼と夜がわかっています。

                  赤ちゃんにとっての昼は、飲んだばかりでもぐずる、という時間帯。赤ちゃんの夜は基本的に寝ている時間帯です。

                   

                  おなかがすくので3時間くらいで泣くけれど、おっぱいやミルクを飲んだら、また眠くて寝てしまうというのが夜です。

                  夜ぐずる子というのは、だいたい昼間寝ていることが多くて、これを『昼夜逆転』といいます。

                  夜は暗く静かに、昼間は明るくうるさい位でいいのです。朝の光をあててあげるのもよいです。

                   

                  普通の生活のリズムが作れれば、親も子もストレスの少ない生活になりやすいのです。

                  目覚められないときは、何かおかしいかな?熱があるかな?…と、子どもの不調にも気づきやすいです。

                  いつもと違う時間に昼寝してまうなども、調子が悪いサインです。

                   

                  しっかり寝て、しばらくするとおなかもすいてきて、朝ごはんをきちんと食べられることが大切。

                  午前中は一番楽しく元気に遊べる時間帯。しっかり遊んでお腹がすくのでお昼をよく食べる。

                  すると眠くなりお昼寝。お昼寝が午後一番なら夜は遅くなることがない。

                   

                  夕方お昼寝をしてしまうと、ご飯を食べて目がキラキラ、パパが帰ってきて遊んでしまい、夜寝るのは23時、0時…などということにも。

                  すると、翌日の午前中は、子どもにとってはまだ夜なので、起きられないし、無理に起こしても活動できないのです。

                   

                  子どもの集団生活は何歳になっても午前中が中心。

                  だからこそ、早寝早起きをし、その子の頂点を午前中に持ってきてあげるようにするといいのです。

                  空腹だったり眠ければ、誰でも機嫌が悪くなります。そうすると保育園幼稚園や小学校にあがっても、お友だちとうまく遊べなかったり集中できなかったりする。それはその子の「性格」ではないのです。

                   

                  午前中機嫌よく過ごせるというのは、とても重要なこと。生活リズムが整っている子は、発育・発達面でも問題がないことが多いです。

                   

                  では、夜12時に寝て朝10時に起きるリズムになっている子はどうすればいいのでしょうか?

                  8時に寝かそうとしても寝ませんし、朝7時に起こしてもおっぱいやミルクを飲んだら寝てしまうと思います。

                   

                  眠くない子どもを寝かすことくらいストレスのたまることはないと思います。

                  一番の理想は、寝てほしい時間に眠くなるようにすることです。作戦としては、『少しずつ早起きにさせる』こと。

                  毎朝10分ずつ起床時間を早めていく方法などは有効です。

                  1日ごとに早めるのが難しければ、一週間単位で、少しずつ起床時間を早めていってもいいですね。

                   

                  早寝早起きは子どもにとって大事な習慣だということ、1歳から1歳半までにはだいたいの子はきちんとしたリズムがつけられるということ、そのためには、起床時間をコントロールして早起きにしてあげて、午前にしっかり活動できるようにすることが大事、ということを意識してください。

                   

                  【体をさわる】

                  子どもの体をさわることで、体の変化に敏感になれます。肌の張り具合なども感じられます。

                  脱水のときは、お腹がペタンとへこんで、いつもの張りがなくなります。

                  お腹をさわって、硬い腫瘤が見つかることもあります。(重大な病気の発見にもつながる)

                  体温も、日々さわっていると、いつもと違うなという感覚がでてくると思います。

                   

                  【事故予防】


                  環境を整えるということは、事故予防の観点と、親のストレスを減らすことからも重要です。

                  死亡原因として家庭内での事故は、0歳児では低いのに、1歳過ぎるといきなりトップになる。

                  子どものその時々の興味や、できることにあわせた注意が必要です。

                  できなかったことが突然できるのが赤ちゃんですから、その点も注意です。

                   

                  重心が高いので転びやすいのも特徴です。ベッドの柵をあげていても、つかまり立ちする子は落下する危険があります。

                   

                  子どもが興味あるものに手を伸ばすのは当たり前。環境を整えることで親のストレスもなくなります。

                  手に届くところに大事な物や、触られたくないものを置かないようにしましょう。

                  「大切なものなのに」というのは、子どもには通じないのが当たり前です。

                  環境という点では、禁煙が望ましいですね。子どものためにも自分の健康も管理したいものです。

                   

                  もしも、気道をふさぐようなもので窒息したら、息ができないのですから、とにかく出さないといけません。

                  異物の出し方はこちらにありますので、確認しておいてください。

                  (↓コチラをご覧下さい↓)

                  http://www.wds.emis.or.jp/docs/kodomo1-08.pdf

                   

                  叩くときは後ろから強く。肋骨が折れてもかまわない位の気持ちで、最初の5分間が勝負です。

                  早ければ早いほどよいです。

                   

                  【親のゆるがない態度】

                  泣くからジュース、泣くからジュース…で、肥満で来院した子がいました。

                  泣いたらもらえるとわかれば子どもは必死に泣く。子どもが泣くから、と子どものせいにしていましたが、そうではないですね。

                  子どものためには何が必要か、どうしたらいいかを考えない親に責任があると思います。

                   

                  泣いたって、ぐずったって、薬も歯みがきも、子どものためなんだから「やるだけ」です。

                  親が納得できているかどうかは、子どもは微妙に見分けていたりします。「まぁいいか〜」という態度は、見抜かれます。

                  親のゆるがない態度が大事です。


                  【食生活】


                  日常の食生活で大切なのは、無理強いはしない、楽しく食べる、家族で食べる、食卓を囲む…ということ。

                  手づかみで食べさせる、外で食べるなども工夫のひとつです。やはり、リズムをきちんとつくってあげて、メリハリのある生活ができるようになると、食べることが楽しくなる子がでてきます。

                   

                  離乳食に少し慣れたら、あまり堅苦しく考えないで、大人の分から取り分けられるものをあげる方が、よく食べたりします。

                  後期になったら、あまり「薄味に」と気にしないでもいいと思います。

                  食べることだけが目的ではないですし、ママ・パパのストレスを赤ちゃんも感じることがあると思います。

                  食べることが楽しみでなく、ママやパパが怖い顔して迫ってくる、試される…というような経験にしないようにしましょう。

                   

                  あとは、子どもが自分で食べられるようにすることも大事。子どもが遊んでいるところに口に食べ物を入れるのは止めましょう。

                  また、バランス良く、ということは大事ですが、一食でではなく、一日、むりなら数日で、バランスをとれればよい、

                  と考えるようにすれば、ストレスが減るかもしれません。少し大きい子どもには、一緒にお買いものしたり、料理を作ると食べることもあります。

                   

                  【メディアとのつきあい方】


                  テレビやビデオでは、言葉のトレーニングはできません。会話はできるようにはなりません。

                  一方向からの刺激であり、コミュニケーションができるわけではないのです。

                  むしろ会話が遅くなったり、コミュニケーションの障害が出ることもあるので、小児科学会からも注意するように、という提言がなされています。

                   

                  忙しい時間帯にTVなどを見せ、子どもに静かにしてもらいたいという気持ちはわかりますが、程ほどにしましょう。

                  理想は、テレビやビデオは親と見る、時間を決めてみる。理想は理想として、やはり育児生活の中では便利な面もあり、私だって偉そうなこと言えないのです。

                  でも、そういう心配もあるものですから、何となくつけるのはやめる、ご飯のときはつけない…など、おうちでのルールを決めてはいかがでしょう。

                  特に、言葉やコミュニケーションの心配がある場合は、メディアとの付き合い方を考え直してみてくださいね。

                   

                  【病気・病院との付き合い方】


                  「病気=悪いこと」、「病気にしてはいけない」、と考えないようにしましょう。                       

                  子どもが風邪をひいたのは親が働いているせい、○○したから、●○しなかったから、なんて考える必要はない。
                  風邪をひいて、免疫がついて良かった!ぐらいに思っていたらいいのです。

                  すぐに病院に駆け込む“コンビニ受診”がダメと言うことではないです。誰でも初めてのことには焦って心配になってしまうと思います。
                  初めはそれでいいんです。でも、だんだん経験を積んで、自信をつけていけると自分も子ども安心ですよね。
                  そして、子どもが病気の時、親が自信を持っていられれば、子どもも安心して早く良くなりやすいです。


                  【予防接種について】

                  予防できる病気は予防してあげましょう。

                  子どもの命にかかわる病気を防ぐことができるのですから。

                  knowVPD!」というサイトでもワクチンのことが分かります。(↓コチラをご覧下さい↓)

                  http://www.know-vpd.jp/

                  VPDVaccine Preventable Diseases)というのは、『ワクチンで予防できる病気』という意味です。

                  予防接種の制度は、ここ数年で格段に良くなってきました。(2016年現在)
                  こんなに受けなきゃいけないの?と思うかもしれませんが、予防接種で守れる病気は、わずかなのです。
                  子どもの命や健康にかかわる重大な病気から順にワクチンはできています。
                  せめて予防できる病気は、ワクチンで守ってあげたいものです。


                   

                   (しろうジャーナルNO.19 2010年3月15日配信・2016年3月改訂)

                  | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 09:00 | - | - | - | - |
                  早産予防のために妊婦ができること
                  0

                    (しろうジャーナルNO.4 2008年12月 配信)

                     

                     

                    早産予防のために妊婦ができること

                    松が丘助産院 院長 宗祥子先生より

                     

                    女性には本来、自分の力で自然に赤ちゃんを産み出す本能が備わっています。
                    しかし現代の劣悪な環境の中で、この野性的な「本能」を取り戻したお産をするには、
                    生活の上で様々な点に注意しなければなりません。
                    自然出産とは何もしないでお産に臨む事ではなく、
                    妊娠期間中に自分の体を見つめ直し、自分でその本能を引き出す努力をする事によって可能になるのです。

                     

                    ☆安産のために心がけたい5つのこと…


                    1 規則正しい生活をする

                    2 散歩をする

                    3 目を疲れさせない

                    4 体を暖める

                    5 野菜中心の和食にする

                     

                    ※もっと詳しく知りたい方は、松が丘助産院のHPへ↓↓↓

                    http://www2.odn.ne.jp/~cdk23230/index.html

                    『助産院での出産→出産のお話→自然出産のためにできること』をご覧下さい。


                    安産のための過ごし方はまさに早産予防につながると思います。

                    今のお母さんたちは妊娠しても、今までと生活を変えようとしない方も少なくありません。
                    遅くまでデスクワークをすることをやめないと、早産につながってくると感じています。これらのちょっとした心がけで、妊婦が早産を予防できれば、NICU(新生児集中治療室)がいっぱいになることを防ぐことができます。つまり、医療崩壊を防ぐひとつの手段でもあるのです。
                     

                     

                    (しろうジャーナルNO.4 2008年12月 配信)

                     

                     
                    | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 09:00 | - | - | - | - |
                    医師も普通の人間です
                    0
                      (しろうジャーナルNO.1 2008年9月15日配信) 

                       「医師も普通の人間です」

                      まつしま病院 小児科医 佐山圭子先生より

                      医師って、世間では特別視されていて、「楽してあくどく大もうけ」「医は算術
                      」と
                      いう悪徳医者か、離島や僻地で頑張るDr.コトーや赤ひげのような熱血先生を
                      思い描く人が多いです。
                      イメージがひんこーん!と思って笑っちゃうくらい、普通の医師像と
                      かけ離れています。
                      医師を目指す人はそのほとんどが、病気の人の役に立ちたいと考えている
                      普通の人でしょう。

                      そして、医師も人間です。おごることもあるし、間違いに気づき改める人もいる

                      人をふみにじった態度をされれば腹がたつし、32時間労働すればいつもより
                      怒りっぽくなるでしょう。
                      なにより、お礼を言われれば素直に嬉しいです。

                      普通の人間関係としてあたりまえのことをする、大事に思いあって付き合う、
                      それだけでいいのですよね。
                      ミスをしないようにいろいろなシステムを改善していくことも大事だし、
                      そのための予算をきちんと配分してもらうことも大事。
                      そして納得できる医療行為が受けられるよう、あらかじめ医師との
                      コミュニケーションを大事にして、よく説明をしてもらうことですね。

                      (しろうジャーナルNO.1 2008年9月15日配信)
                      | shirouiryo | 医師からのメッセージ | 09:00 | - | - | - | - |
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