しろうジャーナル 掲載記事ブログ

第一回 小児医療基礎講座レポート
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    第1回小児医療基礎講座レポート

     

    会が発足してからの10年間、各地でパパママが小児医療について学ぶ講座を開催してきました。全国どこの自治体でも当たり前のように、子どもの病気や医療のかかりかたを学ぶことができるようになるという未来のために、「自治体向け医療のかかり方講座実践マニュアル」を発行したのが2015年。マニュアルをご購入いただいた自治体の方々からご相談、ご感想が寄せられました。

     

    痛感したのは「小児医療を伝える」仲間がもっともっと必要ということ。診断に関わることなど、医師にしか伝えられない内容もありますが、医師以外にも伝えられることはたくさんあり、さらに言えば、講座という形にも限りません。

    そこで、親子の日常に寄り添って支援する立場の方々と共に、小児医療を伝えるために必要な知識を学びたいという思いで「小児医療基礎講座」を開催することになりました。

     

    今回のこの講座は、多くの方のお力添えで実現しました。講師を務めてくださるのは、会の活動に縁のある素晴らしい先生方。そして地域医療を振興する活動ということで、公益財団法人杉浦記念財団様より助成をいただいた他、株式会社富士通総研様より会場をご提供いただいています。そして会員の皆さんによる資料印刷や、講座のご紹介などの支えも・・・。

     

    参加者の皆様も熱意を持って参加してくださった方ばかり。ここから小児医療について伝える輪が広がっていくことを期待しています。

     

     

    ◎全3日間のこの講座、まずは2017年9月23日(土)に開催された 第1日目の様子をダイジェストでレポートします。

     

    午前の部

    1.子どもの病気

    (1)    小児の救急とホームケア・小児科の現状

    朝霞台中央病院 小児科部長 小林真澄先生

     

    発熱、嘔吐、下痢、けいれんなどよく見られる症状のホームケアと受診のタイミングの見極めについて、小林先生が日頃診療に当たる中で感じることも交え、解説くださいました。

    親にとって最も大切なことは「子どもの普段」を知っておくこと。そして、医療者や支援者に大切なことは、親御さんたちにより具体的に方法や目安を伝えること。母乳と鉄欠乏性貧血についてや、生活のリズムを作ることの重要性、そして親の子への関わり方など、今の時代ならではのトピックスが満載の講義でした。

     

     

    (2)    見落としてはいけない病気・支援者がおさえておきたい病気

    聖徳大学児童学部児童学科 原田正平先生(小児科医)

     

    まず原田先生が示してくださったのは、この講座で学んだことを実践に移し、実際に伝えるために必要となる、学び方、情報との向き合い方でした。そして稀ではあるけれども、見逃してはいけない病気について、先生の実際のご経験も交えながら、教えていただきました。「小児科医の頭の中をのぞいてみよう」という視点で、日頃の診療の中で、小児科の先生は、何に留意して、外来診療をされているのかを解説いただき、とても濃厚な講義となりました。

     

     

     

    午後の部

    2.子どもの事故

    (1)    防げるものを防ごう!子どもの事故と対策

    子供の安全研究所 所長 鈴木徹郎先生(小児科医)

     

    日本の1-4歳の死亡率は他の先進国と比べて高いという衝撃的な事実。特に多いのは不慮の事故ということで、事故事例と、その対処方法について写真を交え、具体的に教えていただきました。防げる事故がなぜ繰り返されるのか、なかなか事故情報の共有が進まない日本の背景についても考えさせられました。事故予防のアプローチは大きく、教育と工学2つの側面があるとのことで、伝えることで防げる事故を減らせる可能性を感じる講義でした。

     

     

    (2)    子どもの年齢別の事故発生の現状と障害予防の取り組み

    東京大学大学院医学系研究科 地域看護学教室 博士課程

    本田千可子先生(保健師)

     

    0-5歳の子どもの事故について、現在ある様々なデータから読み取れる情報を分析し、発達段階に応じたリスクと事故予防の取り組みについて教えていただきました。特に0歳児の不慮の事故死のほとんどは窒息、最も多いのが就寝時環境下でした。赤ちゃんの発達と事故予防の環境づくりなどを解説いただいた他、救急搬送の原因について年齢別にデータを見ながら、対策や伝え方を学べる講義でした。

     

     

    3.子どもと薬

    (1)    小児の薬の基礎知識

    国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター

    松永展明先生

     

    小児科医でもある松永先生からは、子どもの薬の使い方全般について教えていただきました。まずは小児と成人の吸収・分布、代謝・排泄の違いに基づく、薬の使い方の仕組みや、治療域と副作用域についての解説がありました。また子どもによく用いられる薬や、飲ませ方のコツ、保育園での与薬についてなど、薬との付き合い方についてよくわかる講義でした。

     

     

    (2)    小児の感染症

    国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター

    具芳明先生

     

    最も多い感染症である「風邪」を中心に、免疫や、病原性微生物であるウイルスや細菌などのお話を詳しく解説いただきました。

    大きさの感覚で言うと、ウイルスが「アリ」ならば、細菌は「ゴリラ」。ウイルスは細胞に感染しないと増えない単純構造となっている一方、細菌は複雑な構造で単独で増えることが可能です。抗生物質は細菌にのみ有効なため、ウイルスによる感染症である風邪には効かないなど、違いを学びました。適切な診断と投薬につなげるための観察ポイント、そして休息と栄養、感染を広げない行動など、社会生活も含め風邪との向き合い方を考えさせられる講義でした。

     

    (3)    抗菌薬について知ってほしいこと

    国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター

    藤友結実子先生

     

    細菌を壊し、増殖を抑えるための薬である「抗菌薬」。抗生剤、抗生物質は「抗菌薬」と同義であること。明らかに細菌感染症が疑われ、抗菌剤が必要となる場合と、抗菌剤の正しい使い方。さらに中途半端に抗菌剤を使用することによって生じてしまう薬剤耐性菌について詳しい解説がありました。

     

    ウイルスが原因となる風邪やインフルエンザなどには抗菌薬は効かず、ウイルスに対しては予防が重要であること、その方法として有効な手洗いや咳エチケットなど、具体的なポイントにあふれる講義でした。

     

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    ◎10月7日(土)には、次のテーマで、第2日目が開催されました。

     

    午前の部

    1.予防接種

    (1)細胞と免疫

    慶應大学大学院医学部医学研究科(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)古市宗弘先生 

    (2)予防できる病気について、効果と副反応

    講師:国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 生体防御系内科部 感染症科 医長 宮入烈先生

     

    午後の部

    1.日本の医療の現状

    (1)日本の医療 各地域の医療の現状

    群馬大学医学部附属病院 集中治療部(小児科)助教(病院) 中林洋介先生(元厚生労働省 小児・周産期専門官)

    (2)小児の医療費、難病等小児医療政策

    厚生労働省 健康局がん疾病対策課長 佐々木昌弘氏(元同省 医師確保等地域医療推進室長)

     

     

    ◎最終日となる第3日目は10月28日(土)の予定です。

    午前には、国立成育医療研究センターの田中恭子先生をお迎えし、「子どものこころ」について学びます。

    午後は、「医療の伝え方」について、そのコツをお伝えした後、皆さんと「伝え方」についてシェアし合い、ワークショップを行います。

    半日単位の単発参加もできますので、ぜひお越しください。

    | shirouiryo | 小児医療 | 06:00 | - | - | - | - |
    災害時の備え 避難所の感染で命を落とすこともある
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      こんにちは。「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」代表の阿真京子です。

      昨年4月には熊本地震が、11月には福島沖で津波が観測され、

      津波警報や注意報が広範囲に発令されたことは記憶に新しいと思います。

      都内では30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率が47%といわれており、

      千葉市の85%、横浜市の81%と並び、「必ず起こる」として想定しておきたい現状です。
      子どもを持つ親にとって心配なのは、震災時に避難所で破傷風やインフルエンザが発生したという話です。

      先日、私達の会では「防災から考える感染症、予防接種」と題した講座を行いました。
      東日本大震災で産婦人科医として妊産婦や新生児の救護に携わった吉田穂波医師、

      熊本地震で世界の医療団 日本(MDMJ)として活動した早川依里子・小児科医を招いて

      行われた講座の模様をお届けします。

      災害時に起きたことを振り返りながら、子どもの感染症や予防接種について考え、

      必要性について改めて考えていきます。

      避難所で爆発的に広がる感染症は「嘔吐下痢症」
      まず登壇したのは、国立保健医療科学院 生涯健康研究部 母子保健担当 主任研究官の吉田穂波医師です。吉田医師は、東日本大震災で産婦人科医として石巻や東松島に駆けつけた経験から、災害時の妊産婦・乳幼児への支援体制の必要性を痛感。災害時母子救護プロジェクトの活動をしています。以下、吉田医師による講演です。

      ◆◆◆

       

       

       子どもを抱える私達にとってまず心配なのは、子どもの体調と健康状態だと思います。

      避難所で爆発的に広がる感染症は嘔吐下痢症です。

       原因は、避難所の衛生環境が整っていないトイレです。

      詰まって流れない、排水できずに下水があふれる、

      それを防ぐため新聞紙に用を足して捨てざるを得ないこともありました。

      そんな状態で、多くの人が土足で歩き回っている状態です。

      手洗いも十分にはできません。スマトラ沖地震やアメリカのハリケーン・カトリーナの災害でも、

      嘔吐下痢症で亡くなる赤ちゃんが多くいました。

       

      避難所暮らしのストレスで、不眠や腹痛・下痢、食欲低下、かゆみなどの皮膚症状、

      持病の悪化、おねしょ、おもらしなどの症状が現れる子も増えます

      心のストレスは、免疫状態を悪化させ、感染症にかかるリスクを高めることも分かっています。

      また、心の問題が起きても、災害時には医療の手助けを求めにくい部分もあります。

       

       東日本大震災のとき、岩手県では災害から1週間後にようやく避難所に小児科医の助けが来ました。

      被災地の小児科医や看護師はどうしても、病院内にいる病気の患者を守ることで精一杯で、

      避難所まで手が回らないのが現状です。

       

       医療が麻痺状態のなか、命に別状がない持病を持つ人や体調不良の人は、

      後回しになってしまいます。医療へのアクセスが悪いなかで、

      子ども達の健康を守るために、親には何ができるでしょうか?

      母子手帳・お薬手帳・緊急カードを常に携帯。母子手帳記録はクラウドへ

       

       

      普段からバッグのなかに、

      「母子手帳・お薬手帳・緊急カード・食物アレルギーがある子ならアレルギー対応の非常食」を、

      持ち歩いていてほしいと思います。

      東日本大震災のときは、予防接種の記録が書かれた大切な母子手帳が津波で流されてしまった人がたくさんいました。

      母子手帳やお薬手帳は写真を撮ってクラウドに上げたり、

      自分宛にメールを送ったり、コピーを取って持ち歩いておくのがおすすめです。

      予防接種や服用中の薬の記録など、自分の子どもの健康情報を肌身離さず持っておくことで、

      スムーズに医療を受けることができます。

       

      そして、子ども専用の非常持ち出し袋を作り、子どもが普段から使っている湿疹の塗り薬や風邪薬、

      安心できるタオル、おもちゃ、キャンディなどをまとめておきましょう

      「これがあれば子どもが安心する」というものを備えておくと、災害時にはなぐさめになります。

       

      食物アレルギーは命に関わる大切なことですが、避難所で対応ができないことも想定して、

      少量でもいいのでアレルギー対応の非常食を備えておくと安心です。東日本大震災の際には、

      「避難所でアレルギー対応を求めるなんて、わがままと思われるのではないか」と遠慮して、

      母乳だけを与え続けたり、水とお菓子だけでしのぐ、というお母さんもたくさんいました。

       

       

       以下のツールもぜひ活用してください。

       

       

      妊産婦さん、小さなお子さんを持つお母さんのための災害時の対策ブック
      助産師が伝える災害時の知恵ぶくろ
      http://www.midwife.or.jp/pdf/chiebukuro/chiebukuro_280420.pdf

      赤ちゃんとママを守る防災ノート
      https://cloud.niph.go.jp/fileshare/download?file=kg6X0Qc6Ey2ciLETz7Hy

       

       

       

       

      保育園ママの携帯・メールアドレスは交換しておく

       

       

       私自身の苦い経験からアドバイスをさせていただきます。

      東日本大震災のときまでは、私は保育園のママ友とは挨拶は交わすものの、

      個人的に電話番号やメールアドレスの交換はしていませんでした。

      震災のとき、私はすぐに保育園に子どもを迎えに行くことができましたが、

      そのとき、お母さんを待っている不安げな子どもがいました。

      私はその子のママの連絡先を聞いていなかったことを後悔しました

       

      多忙な保育園ママ同士、挨拶程度で深い付き合いをしていない人も多いかもしれませんが、

      災害時にすぐにお迎えに行くことができるとは限りません。

      ママ友同士のつながりがあれば、先に迎えに行ったママが子どもを連れて帰って、

      子どもは友達家族の家で安心して待つことができますよね。

       

      地域のコミュニティーを大切にすることは、

      災害時はもちろん、普段からも何かの助けになってくれるのではと思います。

      そういう関係を築いておくことも大切だと思いました。

       

       

                

       

      避難所で流行りやすい感染症とは? ワクチンで備えを

       

       

       次に登壇したのは、小児科医の早川依里子医師です。

      災害時に避難所で流行しやすい感染症を防ぐために、日ごろからできる備え、「予防接種」についてのお話です。

       

      ◆◆◆

       

      昨年夏に、関西空港から始まったはしかの流行がありました。

      海外では3回接種の国もありますが、日本は現在2回接種。夏の流行で罹患した人は、

      1回接種しかしていない年代の人達でした。

      日本は海外の人から「はしかの輸出国」と皮肉られていたなど、ワクチン接種に関しては諸外国から後れを取っています。

       

      「ワクチンは副反応が心配」という人がいます。

      もちろん副反応が起こるリスクはゼロではありませんが、病気になったときのリスクと

      副反応を天秤にかけて、ぜひ接種してほしいと思います。感染症別に解説します。

       

       

       

      はしか
      ワクチンの副反応としての急性脳炎は100万分の1の確率で起こるが、はしかにかかると1000人に1〜2人が脳炎罹患する、非常に怖い病気。

       

      風疹
      妊娠中のお母さんがかかると赤ちゃんの聴覚障害が起こる可能性がある。風疹にかかると、6000人に1人の割合で急性脳炎になる。症状が出ない不顕性感染は診断が難しく、感染者はかなりいると思われる。

       

      水ぼうそう
      日本では毎年約100万人が罹患し、4000人が重症化して入院、20人が亡くなる。2014年10月に定期接種化(2回)されたので今後は減少が見込まれる。1回接種だと不十分で、小学生くらいにかかる人が多い。

       

      おたふく風邪
      100人に1人が無菌性髄膜炎、500〜1000人に1人が回復できない片方の難聴に、3000〜5000人に1人が急性脳炎になる。ワクチン接種による急性脳炎の発症は25万人に1人。定期接種化が望まれる。1回接種では不十分。

       

      B型肝炎
      非常に感染力が強く、日本でも保育園で集団感染があった。日本でようやく定期接種化された。接種対象年齢外の人は任意接種が望まれる。

       

       国民全員がワクチンを受ける「ユニバーサルワクチネーション」という考えがあります。ワクチンを接種している人が多ければ、それだけ流行を防げます。世界180カ国以上、90%以上の国と地域でB型肝炎ワクチンはユニバーサルワクチネーションになっていますが、日本ではようやく2016年10月から定期接種化(3回)がスタートしたばかりです。新生児や持病があってワクチンが接種できない人のためにも、周りの人が接種することで予防することは大切です。

       

      インフルエンザ
      東日本大震災では小規模の流行が見られた。毎年50〜200人の割合でインフルエンザ脳症が起きる。

       

      破傷風
      ワクチンが定期接種化されている日本では、東日本大震災での破傷風の発症は10例、スマトラ沖地震では106例あった。日本では12歳のときに接種していれば10年程度は免疫があるが、その後は免疫が低下し、発症するケースがある。10年以内に接種していなければ、追加接種が勧められる。

       

       

      ロタウイルス胃腸炎
      日本では年間患者数が80万人、入院は7〜8万人、10人が亡くなる病気。嘔吐下痢の他、けいれんや脳炎・脳症の合併症も。症状が治まっても便中に3週間以上排泄され、感染することがある。経口生ワクチンによって感染を防いだり、症状を軽くすることができる。

       

       東日本大震災の被災地ではロタウイルスの流行が危惧されましたが、ワクチンの無料接種によって、ロタウイルス胃腸炎による入院患者数は85%減少しました。任意接種ですが、最近では接種する人が増え、目に見えて患者数が減ってきたのを実感しています。ちなみに、ノロやロタウイルス感染症にかかると、1カ月ほどは便にウイルスが排出されるので感染の可能性があります。登園・登校基準は「下痢・嘔吐が消失した後」なので医師は治癒証明書を書きますが、実際は感染の可能性があるので、トイレなどの後の手洗いは念入りに行いましょう。

       

       2011年の日本の乳幼児死亡率は1000人中3人ですが、ラオスでは5歳未満の乳幼児の死亡率は1000人中72人です。途上国の死因の多くは肺炎や下痢によるものですが、日本でも大規模な災害が起きて医療が供給できなくなれば、途上国のように死亡率が上がることが懸念されます。

       

       

      感染症を防ぐのは石けんを使った正しい手洗い

       

       

       被災地では十分な水の確保が難しいため、擦り込み式のアルコール消毒液や、

      少量の水で洗うことしかできませんが、

      普段の生活でも避難所でも、感染症を防ぐ有効な手段は「石けんを使った手洗い」です。

       

      ユニセフは10月15日を世界手洗いの日と定めました。(参照:http://handwashing.jp

       

      途上国のデータですが、石けんによる正しい手洗いによって、下痢疾患が37%減りました。

      特に、指先・爪の周りは菌やウイルスが付着しやすいので念入りに洗うことが予防には有効です。

      傷があると汚れや菌が付着しやすいので、ハンドクリームでこまめに保湿を行い、

      日ごろから指に傷を作らないことも大切です。

       

      このように、災害時に危険が増加する感染症はたくさんあります。

      なかには防げない病気もありますが、ワクチンで防げる病気もあります。

       

       

      「小さな子どもがいる人は自宅待機でもいい?」「携帯がつながらないときは?」参加者の疑問

       

       

       最後に質疑応答のコーナーがありました。参加者の疑問に、吉田医師、早川医師、阿真京子が答えます。

       

      Q.百日咳や破傷風の追加接種はしたほうがいいですか?     

       

      A. 追加接種が望まれます

       

       「この2つは、日本では4種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ)

      に含まれますが、大人になると抗体が下がってきてしまうので、30歳を過ぎたら追加接種が好まれます。

      百日咳は大人がかかっても咳がひどくなる程度ですが、乳児がかかると重症化しやすく危険です。

      避難所で流行して接種前の子どもにかかるのが最も怖いことです。

      追加接種の必要性については専門家が関係機関に働きかけているところです。

      破傷風菌は土壌に含まれるので、災害時に傷口から感染することがあります」(早川医師)

       

      「東日本大震災の際には、破傷風ワクチンをボランティアの人に無料接種していました。

      熊本地震の際も、地震直後にすぐにボランティアの人への接種に動き、流行が見られなかったと聞きます」(阿真)

       

      Q.乳幼児がいます。避難所の感染リスクを考えると、自宅が住める状態なら、

      なるべく家で待機したほうがいいのでしょうか?

       

       

      A.自治体の方針を確認して。自宅でも物資がもらえるか確認を

       

      「避難所はどこなのか、自宅が住める状態ならなるべく待機していたほうがいいのか、

      避難所は少しでも心配なら来てくださいというスタンスなのか、確認してみるといいと思います。

      お住まいの自治体で開催される防災講座に出るのもおすすめです。

       

      被災地の避難所では、周りに気兼ねをして避難所を出てしまった乳幼児のいる家族がいましたが、

      一度避難所を出てしまうと物資がもらえなかったと聞きます。

      避難所にいれば無料でもらえるものを、

      自宅にいると3時間コンビニに並んで買わなければならないということもあります。

      物資をもらえる権利を確保するために、昼間は家に戻り、避難所に席だけを置いていた人もいました。

      どこにいても、誰もが物資をもらえる拠点を作るよう働きかけているところです。

      不安・疑問に思ったことは、自治体にどんどん質問してみるといいと思います。

      住民からの問い合わせで初めて、対策について考え、動き出す自治体も多いです」(吉田医師)

       

      「私の住む杉並区では災害時の医療救護所に変更があり、

      災害拠点病院・災害拠点連携病院の中に緊急医療救護所を開設することになりました。

      災害時にはどこで医療を受けることができるのか、お住まいの自治体のHPで確認してみるといいでしょう」(阿真)

       

       

      Q.非常時にスマホがつながらないことも想定して、アナログ的な準備もしておくべきでしょうか?

      A.被災地から離れた遠方の親戚を連絡の中継地点に

       

       「東日本大震災のときに被災者同士が連絡を取るのに、被災地から離れた遠方に住む親戚や友人を中継拠点にして、

      伝言を頼んで連絡を取り合っている人がいました。被災地外の固定電話や被災地の公共電話は携帯電話よりもつながりやすいので、こうした拠点を決めておくと連絡が取りやすいと思います」(吉田医師)

       

      Q.親が子どもを助けられない状況では、どうしたらいいですか?

      A.普段から子どもと防災について話をしておきましょう

       

       「私は4女1男がいますが、2歳の子どもにも私と夫の携帯電話の番号を暗記させています。

      避難所の場所を教え、いざというときは周りの大人と一緒に行動して、頼るように教えています」(吉田医師)

       

      「私も子ども達と普段からシミュレーションしています。

      “もしこの時間に地震が起きたらどうする?”と質問を投げて、家族それぞれの居場所と避難場所を確認し合います。

      日ごろから子どもと話しておくことは大切だと思います」(阿真)

       

      ◆◆◆

       

      今回の講座でもお話があったのは、『平時にできていることこそが、災害時にできること』。

      日ごろから、身を守るために大切な手洗いや予防接種はきちんとおこなったうえで、

      怖がり過ぎず、少しずつ知識やツールを身につけたり、それを平時に活用したりしてみること。

      難しく考えず、できる工夫を日ごろから行っていくことが大切なのだと思いました。

       

       

      日経DUAL共働き家庭の子どもの病気講座
      『災害時の備え 避難所で命を落とすことも』より転載
      http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=9704

       

       

       

       

       

      | shirouiryo | 小児医療 | 07:00 | - | - | - | - |
      NICUにお子様を預けることになったら 〜親として知っておいたほうが良いこと〜
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        NICUにお子様を預けることになったら  〜親として知っておいたほうが良いこと〜
        看護師  佐藤 孝子
         
        【はじめに】
        私は、NICUで看護師を続けながら、自分自身も妊娠・出産・育児を
        経験することができました。
        そこで、NICUに赤ちゃんを預けることになったとき、
        親として知っておくと良いことをまとめてみました。
        何かのお役に立てれば・・・と思いますが、正解はなく、
        あくまで私の想いだということはご理解下さい。
         
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        【NICUとは】
        • 新生児集中治療室のことをNICUといいます。 
        • 様々な赤ちゃんが入院してきますが、大きく分けると以下の通りです
          •  予定より早く小さく生まれる赤ちゃん
          •  胎外生活に適応が難しい赤ちゃん
          •  母体疾患により影響を受けていると考えられる赤ちゃん
          •  先天性疾患・奇形をもつ赤ちゃん
          •  体重が小さい赤ちゃん、大きい赤ちゃん 
            ご自分のお子さんが、どれに当てはまるのかを理解してもらえると良いと思います。

        【お子さんのことを理解する】
        • 入院生活の中でお子さんのことを理解することは、
          ご両親にとっては、とても大切なことです。
          以下の内容を網羅できれば十分にお子さんのことを理解できると思います
          • 病気・具合(症状)
          • 予測される入院期間と課題
          • お子さんが獲得すべき能力

        ○病気・具合(症状)
        • どんな病気なのか、その病気で現れる症状はどのようなものなのか、
          具合の程度(重症・軽症)を医師からの説明を聞いて理解できると良いです。
          医師の説明が難しい場合は、看護師がサポートすることもできます。 
        • お子さんをNICUに預けて、すぐに説明を受けることになります。混乱していて、疲れていて、悲しくて上手く理解できないこともあると思います。すぐに理解できなくても大丈夫です。 

        ○予測される入院期間と課題
        • 予測される入院期間は、早く生まれたお子さんか、
          妊娠期間が正常範囲内で生まれたお子さんかによって考え方が異なります。 
        • 早く生まれたお子さんは、予定日を目標に様々な課題を達成していきます。
          そのため、入院期間も予定日を越えます。 
        • 妊娠期間が正常範囲内で生まれたお子さんは、病気が治る、
          具合が良くなることが大切で課題となります。 
        • どちらの場合も個人差が大きいです 

        ◯お子さんが獲得すべき能力
        • 赤ちゃん自身は何も出来ない存在、お世話される存在と捉えられることが多いのですが、赤ちゃん自身の能力は素晴らしいものです。
          • これらの能力をもって、退院してもらいたいと思っています 
          • 呼吸を上手にできる
          • 洋服や掛物で体温を保つことができる
          • うんち・おしっこをしっかり出すことができる
          • おっぱい・ミルクを口からしっかり飲むことができる
          • 体重がしっかり増える
           
        【ご両親と医療者のこと】
        • お子さんは、言葉で表現することが出来ませんが、表情やしぐさなどで様々なことを表現してくれます。
          その表現を一緒に捉えて、お子さんにとってご両親・ご家族のことを私たち医療者はパートナーであると考えています。 最善のケアや環境を提供していく必要があります。
        • 医療者が読みとれないサインをご両親が読み取ってくれることは良くあることです。お子さんの代弁者として、医療者に教えて下さい。 
        • NICUは治療の場でもありますが、育児・生活の場でもあります。
        • 医療者のケアだけでは、お子さんの健やかな成長はありえません。上手くできないと悩まれるご両親もすぐに上手にできるようになります。それは、私たちがトレーニングを重ねることと同じことです。お子さんにとっての最適なケアを見つけ身につけることができます。ただ、すぐには出来ないというだけです。 良く聞く言葉です。「看護師さんが抱っこすると泣き止む」「看護師さんがケアした方が辛くなさそう」。確かに、そういうことはあります。それは、私たち看護師は、大切なお子さんをお預かりするためにトレーニングを重ねているからです。 
        • でもお子さんにとって、看護師のケアが最適でしょうか?テクニックが上手ではなくても、安心できる声が聞こえることは、何にも代えがたいことです
        • 医療者も1人の人間です。能力も考え方も異なります。相性が悪い医療者に出会うこともあると思います。無理しないで下さい。相性の合う医療者を見つけることは、とても大切です。
        • ご自分を犠牲にしたり、辛い思いをしてまで人間関係に悩まないで下さい。 ご両親が思い描いていた育児や家族としての在り方をNICUの場でも実現して欲しいと思っています。入院しているから「出来ない」と諦めることなく、希望を教えて下さい。 実現可能であるかどうかを一緒に考えましょう。
         
        【ご両親・ご家族のこと】
        • NICUにお子さんを預けるご両親は、
          「自分のせいでお子さんが辛い目にあっている」
          「お子さんが辛いんだから、自分も頑張らないと!」と思われる方がとても多いです。 
          お子さんの病気や状態は誰のせいでもありません。
          ご両親が過度に頑張っても何も解決しません。
          それより、ご両親が元気でいてくれることが何よりお子さんにとって
          大切なことです。

           
        • 産後であることを忘れずに、母体の身体の回復を優先させましょう。
          ご家族全員が想像以上に疲れていることを理解して、
          社会資源・友人に助けてもらいましょう。 
         
        • サポートについても一緒に考えることができます。 

        【退院】
        • お子さんと離れている期間があっての退院は不安なことも多いです。
          医療者はご両親が安心して育児できるかどうかも見守っています。 
        • 通常通りの育児準備だけではなく、中には医療機器や材料、
          お薬を持って退院することもあります。その場合でも、
          退院して大丈夫かをご両親と一緒に考えます。
         
        • 地域にサポートしてもらえる人(保健師や看護師、ヘルパーなど)
          がいるのは心強いことです。

        【おわりに】
        • ご両親に知っておいてもらいたい事は何だろう?と
          考えながらまとめましたが、結局、特殊なことは何もないのだと思います。 
        • NICUという場を特殊に感じることは仕方のないことですが、
          その中で行われていることは、家でお子さんを育むことと変わらない
          のだと思います。
          お子さんにとって必要なケアを提供すること、それが人工呼吸器であるか抱っこ紐であるかの違いだけです。 
        • それでも、「知っておいた方が知らないより良いよね」
          ということをまとめたつもりです。
          何かのお役に立てれば、嬉しく思います。


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        | shirouiryo | 小児医療 | 08:52 | - | - | - | - |
        「ひきつけ」だ!どうしよう?・・・けいれんへの対処法
        0
          さとう小児科医院 佐藤雅久
           
          けいれん(ひきつけも同じ状態を表します)は、突然、意識が無くなり、目を開いて上方など一点を見つめ白目になります。ほぼ同時に手足が硬くなり(硬直)、ピクピク、ガタガタと手足が硬直したまま震えます。呼吸が荒く不規則になり、顔面蒼白から青くなり、いわゆるチアノーゼ(※)を生じます。こんな時にどうしますか。

          チアノーゼ…顔色や全身の色が悪く、特に唇や指先が紫色になる状態


          1 先ず自分が落ち着くことです。ほとんど場合は、5分以内に止まり、後は眠ったように静かになります。

          2 身につけた衣服、特にくびの周りの衣服を緩めて下さい。 衣服がくびに巻き付いて窒息する可能性があります。・・・極めて稀と考えられますが・・・

          3 その時に、くびは横に向けましょう。顔を横に向けるのは、けいれん時や止まった後に、嘔吐することがあり、上を向いたままだと、吐物が喉に詰まってしまうことがあるからです。

          4 叩いたり、大声で叫んだり、口に物を挟んだりしないで下さい。
          昔は、舌を噛まないように、口に箸などの硬い物を入れたことがあったようですが、それは止めましょう。

          私は、長い間けいれんの処置に当たってきましたが、けいれん時に舌を噛んでいた人を見たことがありません。そのような処置をすると、歯を折って、それが喉に詰まらせることがあります。

          叩いたりするような無用な刺激もいけません。けいれんを長引かせたりすることがあるからです。

          また、近くにいる人を呼んで、けいれんが長引いた時の手助けを頼むのは構いませんが、大声で大勢の人を集めるのは考えものです。けいれんが治まった後に、「あの子てんかんだ」などとうわさを立てられ、本人や家族が嫌な体験をする事があるからです。静かに見守るのが一番です。

          5 見守っている時に、熱を測りましょう。手首の親指側で脈拍を診て下さい。脈があれば心配いりません。けいれんの持続時間を計りましょう。・・・熱、脈、時間です。


          6 5分以上しても、ぴくぴくする全身けいれんがある時、意識が回復しない時は、救急車を呼んで、医療機関を受診する必要があります。

          7 脈がなく、チアノーゼが改善しないときも、一刻も早く救急車を呼んで下さい。


            けいれんが治まり、意識が回復したあとに、ダイアップ座薬などのけいれん止めの薬を使う必要はありません。その後意識障害が生じたときに、薬の作用によるものなのか、脳炎などの症状なのか分からなくなるからです。

           また、けいれん後に、意識がしっかりしていれば、救急外来に行く必要はありません。
          一刻も早く受診する必要があるのは、激しい頭痛や嘔吐が伴っているとき、けいれんが繰り返すとき、意識障害が5分以上続く時です。髄膜炎、脳炎・脳症も考えられます。

           てんかん発作であっても、熱性けいれんであっても、直ぐに処置する必要はありません。
           落ち着いてから、次の日に通常の外来を受診して下さい。

          このメルマガを読んで、けいれんについて知ることで、病院に行く必要がないと判断できれば、病院に行く必要はありません。でも、心配であれば、医療機関を直ぐに受診しても良いでしょう。子どものけいれんが、保護者に不安を与えるのは当たり前です。しかし、実際は、熱性けいれん等の、生命の危険を伴わないものが多いのです。心配し過ぎなくて良いのです。

           けいれんの原因で多いのは、熱性けいれん、てんかん、急性胃腸炎にともなうけいれん、泣き寝入りひきつけ、発熱による悪寒、戦慄などです。主治医にけいれん時の状態を伝え、診断、治療をしてもらってください。
           その中でも一番多いのは、熱性けいれんです。その対処法は、今まで医師により少し違っていました。しかし、小児神経学会から、「熱性けいれん診療ガイドライン2015」が出版されましたので、今後は、治療方針が統一されると思います。身近の小児科医に相談して下さい。

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          | shirouiryo | 小児医療 | 07:00 | - | - | - | - |
          子どもが病気、親にできること まず大切なことは『観察』
          0

            一般社団法人 知ろう小児医療守ろう子ども達の会 代表・阿真京子

            これまで会では100回以上の講座を開催してきました。
            講師として協力してくださった医師も、数多くいらっしゃいます。
            講座の中で、常備すべきものとして名前が挙がるのは、経口補水液、浣腸、カロナール…等々、医師によっても実に様々です。しかし、先生方のお話には共通していることもあります。その中で、親として知っていて良かったと思う大切なことを、今回はお伝えしたいと思います。

            まず、一番覚えておきたいことは、『熱の高さは、状態の悪さとイコールではない』ということです。
            熱が低くても、すぐに病院に行かなければならないときもありますし、熱が高くても様子を見ていて良い場合もあります。
            では、どこを見ればいいのか?それは、「全身状態を見る」とのことです。

            「全身状態」・・・?

            私は、講座を受けて初めて知った言葉でした。
            親ができる全身状態のチェックとは、どのようなものでしょうか。

            『食う・寝る・遊ぶ・出す』がいつも通りできているかを見ていきます。
            いつものように食べられているか、小さいうちでしたらいつも通りおっぱいが飲めているか
            いつものように眠れているか
            いつものようにご機嫌がいいか 遊べているか
            いつものようにうんち・おしっこが出ているか

            発熱だけなのか、またはプラスしてご機嫌が悪いということはないか?
            お咳が出ているだけなのか、またはプラスしていつものように眠れていないというようなことはないか?

            こうしていつものようにできているか、ということを見ていきます。

            そしてこの「いつもと同じようにできているか」ということを見るためには、『いつもを知る』 、子どもの普段の様子を知る、ということが重要だと気付きます。

            子どもが小さい間は、いつも抱っこしているので、子どもの普段の様子はわかっているような気持ちになりますが、先生から「肌の張り・お腹の張り・頭のかたさ、って知っていますか?」と尋ねられると、返答に困るかもしれません。
            意識して触ってみると、いいと思いますよ。

            特にオススメの方法は、寝かしつけのときです。
            おっぱいをあげながら、トントンしながら・・・時間をかけて寝かしつけるものだと思いますが(時間のかからない子もいるそうですね!うらやましい!)、
            その間に短い時間でも、その子その子の「普段の状態」を把握してみるといいと思います。

            ポイントは、神経質に目を光らせる、のではなく、その子の健康な状態が大体どんな感じか、つかんでおく、把握しておく、ということだと思います。

            「いつもを知る」ことで「違い」に気付くことができる・・・我が子の成長とともに、それができるようになってくれば、大したもの!けれど、違いに気付けなかったとしても、自分を責めないでくださいね。人の身体も、変化も、そんなにたやすいものではありませんから。

            特に子どもが小さければ小さいほどただ泣くばかりでお話して訴えてくれることはありませんし、親も親になったばかりですから・・・。
            子どもと一緒に親も成長していくことが大事!だと思います。

            さて、今回の『親にできること』のポイントは『子どもの病気の見方』として、こちらの動画にまとまっています

            こちらの動画を含め、『子どもによくある症状』(発熱、咳、嘔吐、下痢、脱水、けいれん)、『赤ちゃんのケア』、『子どもの事故予防』などについてのアニメーション動画は、<シルミルマモル>という子育て情報動画サイトで見ることができます。

            当会が全面協力して、株式会社メディアネットワークスが制作したものです。親になったら、妊娠したら、まず訪れてもらえるサイトになるようにと願い、大切な医療の情報を集約しておりますので、ぜひ時々ご覧になってください。
            (赤ちゃんが隣で寝ている間でも(通勤途中でも!)見ていただけるように、音声はつけていません)

            このメルマガでは不定期で「親にできること」シリーズを、お送りしていきたいと思っております。楽しみにしていてください。

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            | shirouiryo | 小児医療 | 07:00 | - | - | - | - |
            小児のケア 昔と今の違いについて
            0

              (しろうジャーナルNO.68 2014年4月15日配信)
              小児のケア 昔と今の違いについて

              小児科医 早川依里子

               

              医学に関わらず科学の進歩に伴い、以前は「これが常識?」と思われていたことが、「実は違うんです…」ということが
              よくあるのではないかと思います。今回は小児のケアで具体例をあげてみます。

               

              〈発熱時のケア〉

              私は小児科医になって20年ほどになりますが、以前、夜間救急で急な発熱のため受診されるお子さんのご両親に
              よく聞かれたことがあります。「高熱がでると頭が馬鹿になるのでしょうか?」

               

              これは昔の人が、髄膜炎や脳症など後遺症を残す可能性のある病気自体について、まだよくわからなくて、
              ただ『高熱イコール脳へのダメージ』と受け止めていたからなのではないかと思います。確かに熱の原因によっては、
              結果として脳への影響がでることもありますが、熱そのものは悪いものではなく、逆に病気をやっつけようとする
              身体の防御反応と言えます。

               

              最近、インフルエンザ脳症の時、強い解熱剤の使用は悪化要因になると報告されてから、小児科では一般的に、
              強い解熱剤は避け、弱い解熱作用の薬を使用するようになりました。熱が高くても機嫌がよく眠れるときは使用せず、
              高熱でつらくて眠れないときなどに使用してあげるといいのではないかと思います。

               

              また昔は熱があると、とにかく汗をかかせようと厚着をさせ、掛物をたくさん使用したほうがいいと言われていました。
              熱が一気に上がる時は寒がるので、そう思われるかもしれません。しかし小児は、特に体温調節がまだうまくできないので
              熱がこもりやすく、脱水症にもなりやすいので注意が必要です。熱がこもりやすい重ね着は控え、こまめな水分補給を
              心掛けてください。

               

              〈けいれんを起こしたときのケア〉

              昨年、スペインを旅行していた時に広場でけいれんを起こしている男性に遭遇しました。慌てて駆け寄りましたが、
              周囲のスペイン人達が「(舌をかまないように)何か口に入れろ!」と口々に叫び中には男性の口に棒のようなものを
              入れてしまう人もいました。私は「
              NoNo!」とさえぎり、押し問答となってしまいましたが、幸いにも駆け付けた
              お巡りさんがエアウェイ(気道確保するための器具)を渡してくれました。

               

              「けいれん時には舌をかまないように何か口に入れるべき」という考えは、いまだに世界中に浸透したままだと思います。
              しかし大切なのは気道確保ですので、空気の通り道をさえぎるようなものは口の中には入れず、嘔吐物で窒息する危険性も
              あるので、体は横向きに寝かせてください。

               

              〈鼻血のケア〉

              子どもはよく鼻血を出します。私も子どもの頃によく鼻血を出し、親に言われるままに鼻を押さえて上を向いて、
              首の後ろをトントン叩いたものです。でもそうすると鼻血がのどに垂れてくるのでつらかった記憶があります。
              これも昔の誤ったケアのひとつでしょう。

               

              鼻血がでたら、座るか寄りかかった姿勢で頭を体より高くした状態にし、頭は下を向かせ、のどに流れ込む血液は
              口から吐かせてください。また出血している鼻にティッシュなどを固くして挿入し圧迫してください。

               

               医療は今も日々進歩しています。全ての速度がとにかく早い現代に生きる私たちは、自分のもつ情報を常に
              アップデートしていく必要があります。また私たち小児科医はさらに発信をしていくべきだと思っております。


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              | shirouiryo | 小児医療 | 08:15 | - | - | - | - |
              どんなコミュニケーションが「納得」の医療のために必要なのか?
              0
                 (しろうジャーナルNO.29 2011年1月15日 配信)


                北海道・手稲渓仁会病院小児NIVセンター長 土畠智幸先生より
                NIVとはNoninvasive ventilationの略で,日本語では「非侵襲的換気療法」。)

                「非侵襲的」というのは、身体に傷をつけたり管を入れたりといったことをしない、という意味。

                気管内挿管や気管切開と違い、NIVでは鼻にマスクをつけてそこから空気を送り込む。従来の方法と違い,身体的な負担が少ないということで成人患者には多く普及しているが、
                小児の場合はサイズが合うマスクや呼吸器が少なく、まだあまり普及はしていない。

                手稲渓仁会病院では、2006年から使用開始したところ、患者さんに多くのメリットがあることがわかり、2008年にNIVセンターおよび専門の医療チームが土畠先生を中心として開設された。

                ちなみに学生結婚されたという奥様も、同じ医局に勤務されている小児科医。

                現在34歳の先生は、3人の娘さんのパパでもある。

                 

                先生は現在、訪問診療にも力を注がれているが、きっかけは受け持っていた重度の障害のある一人のお子さん。

                その患者さんは、昼夜呼吸器をつけなければいけない状態だったが、それでもお母さんはお子さんを在宅で看ることを望まれた。

                心配だったので、往診を申し出て診察に行ったが、病院の中で診察しているのと勝手が違い、最初は戸惑った。

                病院だと患者さんに対して「今日はどうしましたか?」と問えるが、訪問診療だとどう声をかけていいのかわからない。

                最初は何を話したらよいのか困ることもあったが、日を追うごとに変化があった。

                (患者さんの)お母さんのほうが積極的にイニシアティブを取って話してくれるようになってきた。

                病院の診察室の中では聞けなかった「本音」を話してくれるようになった。


                そして、これが本来あるべき医療の姿だと、考えるようになった。

                 

                重度の障害を持つ患者さんのお母さんは、とても不安が強い。

                「元気に産んであげることができなかった。」という罪悪感を抱えている人も多い。

                あるとき、そんなお母さん同士が互いに交流できるようになればいいと、一つの試みを始めた。

                最初は同じ病状の子どもを持つ患者さんの診察時間をわざと合わせて、お母さん同士が自然に交流できるようにした。

                その後、患者家族交流会を開いたところ、120人が集まった。患者さんは呼吸器がついているため24時間目を離すことができない。

                最初の年は、地域の学生やボランティアで患者さんをみたが、翌年からは患者さん全員を病院で預かり、
                お母さん達にはレストランでフランス料理を楽しんでもらうという企画を実行した。この企画はそれから毎年続けている。

                 

                 

                現在、土畠先生は北海道大学公共政策大学院に通う大学院生でもある。
                そのきっかけとなったいくつかの出来事がある。

                ◆「未熟児たらいまわし事件」


                2007
                年、札幌で妊娠27週の女性が早産し、自宅で未熟児(約1300グラム)の赤ちゃんが生まれた。

                女性は定期健診を受けていたが、かかりつけの病院は受け入れる設備がなかったため、救急車で搬送されることになった。

                しかし、市内の病院はいずれも「NICUが満床、担当医が別の患者を治療中」などで、計7か所の施設に受け入れを断られた。

                最終的に1時間40分後に手稲渓仁会病院で受け入れ、蘇生処置を行ったが、すでに心肺停止状態にあったこの赤ちゃんは10日後に死亡した。

                受け入れを受諾し、蘇生処置を行ったのが、土畠先生。

                赤ちゃんが亡くなった後、お母さんに「もしも今回のことに納得がいかなければ、どこかでお話(公表)されてもいいですよ。」と話したが、「一生懸命治療して下さったのでいいです。」と言われた。

                話が公に出たのは、それから1年も過ぎてから。「なぜ、こんなことになったのか?なぜNICUのない病院が受け入れたのか?」さまざまな議論が起こった。

                救急隊:「赤ちゃんをいち早く病院へ運びたかった」


                断った病院:「受け入れたくても、受け入れられる体制ではなかった」


                医学的には「28週であれば、NICUのある施設でなければだめ。」

                「悪いのはだれ?」「どうすればよかったか?」→医療者側が考える「べスト」と一般市民の目線で見た「ベスト」に乖離があると思った。

                 

                 

                ◆研修医のコミュニケーションに関わる問題


                先生は小児科医の教育担当もされている。

                そこで、研修医のコミュニケーション不足を実感することが多い。

                患者の家族や、看護師等周りのスタッフとうまくコミュニケーションを取ることができない。6年間医学のみを学ぶ教育、目の前に倒れている人がいたらどうするか、は学んでいても、倒れている人が複数の場合はどうするか、ということは学ばない。

                「この人はすぐ診ましょう。あの人は後でも大丈夫。この人はあなたが診てね。」

                全体を視野に入れて、複数の医療者とコミュニケーションを取りながら、複数の患者を診る、という術を学んでいない。


                また、「社会のベスト」と「医学のベスト」がずれている。医学とは「医学的な合理性」(科学)を追求すること。


                例えば、患者さんの「お腹が痛い」という症状を、知識を使って考える、医学的な言葉に翻訳して、医学的にはどういうことなのかということを突きとめる。

                しかし、患者側が求めていることは、「医学的な合理性」だけではない。


                「医学的には必要じゃないですよ。お母さん。」と言われても、「医学的にじゃなくて、うちの子にとってどうなのか?」ということが最も知りたいこと。

                つまり、それは、「生活者としての現実」。


                本当は医師がそのバランスを取ってさまざまな判断を下さないとならないのに、教わってないからわからない。


                「医学的には必要ないけど、以前使ったときにこうだったから、(この薬を)使った方がいい。」と説明できるかどうか?患者側がその医師の説明に納得できるかどうか。

                「医学的にいちばんベスト」=「患者側もいちばん納得」ではない。


                目指すのは、「医学的妥当性」。医療の中から生活者としての妥当性を見つけること。


                「一般的にこれがベスト」ということではなく、「この子の治療にはこれがベスト」ということ。

                 

                 

                ◆そもそもなぜ医療者側と患者側に軋轢が生じて来たのか?その溝はなぜ埋まらないのか?


                ・双方がうまくコミュニケーションが取れない。


                ・医師側の知識が足りない。


                ・その医師と長期的に関わりたい、という気持ちがない。


                ・診察室に入るだけで緊張する。壁を感じる。


                ・医療という「聖域」にいる医師。その「聖域」は要塞のような壁で囲まれているイメージ。


                ・「お医者“様”」


                医師は医学的な合理性だけを追求。

                医療者にとって最も合理的でないもの=「死」を避けたい。


                それが最も大切なことだと思っている。

                しかし、死ぬということは生きることの対極にあるのではなく、死も含めて「生きる」ということではないか?


                「延命治療」=「命を救う」ということではない。


                例えば「緩和ケア」・・死ぬことが前提。

                死を避けることを目的としていない。それを踏まえたうえで、どのように患者と向き合うのか。


                また、医師ひとりひとり自分なりの方針・ポリシー・哲学を持っているが、普段はそれをオープンにすることはないし、
                そもそも大きな組織の中にいれば、全ての事柄は権力差で決まってしまう。

                つまり、医療の世界の中でも実際にはお互いにコミュニケーションが取れていない。

                しかし、医療という聖域にいれば不安を感じまいとすることができる。

                自分達だけが理解できる言葉、自分達だけが共有する納得によって。


                その場所を壊されたくない。出るのが怖い。

                皆、表面的には同じような意見で同じような立場で「守られている」。

                居心地がいい。

                 

                「モンスターペイシェントント」

                その聖なる領域を破壊しかねない存在。

                それを防ごうとする人たちが、「あれは怪物だ、ということにしてしまおう。」
                なぜなら、自分達に理解できない概念・わからない存在は不安だから。


                名前をつけることによって、名前を共有することによって、その存在がわかったような感覚になって安心することができるから。

                そして、その「怪物」を排除することで「聖域」を守ろうとする。


                でも、実際は「モンスター」とかではなくて、不安がある、わからないから、医療者に向けて「どうしてですか?」と疑問を投げかけているだけかもしれない。

                そして、医療者側から医学的かどうかは別にして、市民側へ近づいてきて「関心」を示し、「わかりました。あなたのことを聞かせてください。」

                「何が心配ですか?」と言われたら、安心することができるかもしれない。

                 

                 

                ◆医療者と市民がよりよい関係を築いていくためには


                医療者と市民が、互いに関心を持って、互いに不安をもっている存在だということを前提にしてコミュニケーションを取っていくことが大事。


                また、患者から信頼を得ることができる医師とは・・・

                 

                ‐霾鷂開

                 

                関心 「AからEの選択肢があるけど、あなたにはBが一番いいと思う。」

                 インフォームドコンセント・・「AからEの選択肢があります。どれがいいか選んで下さい」ではない。

                考えうる治療方法を示したうえで、医学的かつその人にあったプランを提示できるかどうか。・

                 

                MΦぁ屬海譴鮓世辰燭藉擬圓気鵑砲匹思われるかわからない。」

                「それでもやはり言わなければ。」

                 「最期はどうしたいですか?」ということも聞かなければならないときがある。

                 

                 銑をひと言でまとめると、「誠実さ」と言い換えられるかもしれない。


                例えば、患者さんが亡くなった後も関わる。

                従来は医療とは死を避けるために行われるものであったから、医師が患者の葬式に行くことは禁忌とされていた。


                先生は、患者さんの家族とは亡くなった後も知り合いだから、お葬式にも行くし、その後も訪問して家族と思い出話をしたりもする。


                「忘れたくない。忘れて欲しくない」と患者さんの家族も思っているから。

                そして、患者側も医師に対して誠実でないとうまくいかない。


                患者も医師に対して思っていることをストレートに伝えてほしい。

                また、医師がもしうろたえたとしても、少し待ってあげて。


                「先生、はっきり言いますが、私はこうしたい。」「先生、はっきり言ってください。」

                 

                 

                 

                ◆訪問診療を通して見えてきたこと

                物理的にも白衣を脱いだことにより、医学の立場から一生活者へ。市民の側から物事を考えられるようになった。


                また一方で今までとは違った精神的なつらさが増してくることもあった。


                先生は、当初、在宅医療の受け持ちの患者さん全てに自分の携帯番号を伝えていた。

                NIVは特殊な治療法のため、患者さんが急変した時に、自分でないとうまく対処できないかもしれないと。


                しかし、30名を超えたあたりで限界を感じるようになってきた。毎晩いつ電話がかかってくるかわからない。


                「今から救急で行きます。」と言われれば、自分も駆け付けざるを得ない。

                しかし、自分が倒れたらどうなるか?


                そもそも、障害を持ち、このような治療をしている患者の親は、担当医が代わるのを好まない。


                転勤になった医師について、何十キロも離れた病院に通うケースもある。


                そこで、逆に考えた。

                自分がいなくてもこの地域のこの分野の医療がまわっていくようにしなければ、と。


                そこで、大学院へ通うことを決め、患者の親同士の交流会の日、最初の挨拶でその話をした。


                「これからは大学院へも通うので、今までのようにいつも自分が対処できないかもしれません。
                でも、他の先生にも入ってもらって、皆さんが困ることのないようにします。」と。


                場内はざわめいた。「信じていたのに見捨てられた。」みんなそう思っているかもしれない、と思い、席を立って会場を後にした。


                あとで話を聞いた。お母さん達は先生の言葉を受け止め、話し合っていた。


                「自分たちでできることは自分たちでしないといけないね。」等々。

                見捨てられた、と思った人は誰もいなかった。


                先生は、自分は本当はお母さん達を信頼しきれてなかったのだと思った。



                患者と医師との信頼関係。いいことばかりではなく、思ったことをズバッと言える関係。

                 

                現在の小児NIVセンター・・

                ・当直明けは休み。


                ・通常の医師(研修医も含む)は週1回休み。指導医になると週2回に。

                そうすることで、「自分も早く指導医になりたい。」と、そう思える職場の環境作りが大事。

                 

                自分も何人もの研修医を訪問診療に同行させる。

                →「楽しそうですね。もっと重苦しい雰囲気かと思っていました。」

                →在宅医療をやりたい、という医師の増加につながる。

                 

                医師も楽しいと思えないと続かない。そして、自分がいついなくなっても、この地域の医療が問題なく機能していく仕組みづくり。

                 

                 

                ◆佐山先生とのやりとりから(同じ小児科医として)


                ・医療拒否の親に対して(ホメオパシー信仰など)

                親がいわゆる「西洋医学」を否定しているから、子どもに医療を受けさせないというのは、間違っていると思う。


                子どもは親の所有物ではない。


                ただし、自分自身のことであれば、それは止められない。


                親自身が医療を受けない、ということは仕方のないこと。しかし、子どもには適切な医療を受ける権利がある。

                 

                 

                ◆阿真さん・会員とのやりとりより


                ・「私達の会の活動に否定的な医療者もいる」

                 市民側から「ワーッ」と近づいてきて、「医学の世界の人達、守ってあげなきゃ。」という思い。

                「白衣をぬいで、砦から出て、聖域から出て・・・」

                自分の領域から出たくない医者もいる。


                私たちの行っている活動

                「医療のデモクラシー」・・自分たちのことを自分たちで決める


                自立性・権利・主権を主張

                一部の医療者から見れば「何で(専門家である)僕たちの言うことを
                聞かないの?」

                つまり見方を変えれば「モンスター」


                私たち

                「医者も生活者」「こちらに出てきて、ともに医療について話しましょう。」

                ここでもやはり大切なのは、お互いがお互いに関心を持つこと。

                 

                ・お母さん達・医師・医療に携わる人達に向けて

                「コンビニ受診をやめましょうとは言っていない、言いたくない。」

                また一方的に、医師を守る、という活動でもない。

                「コンビニ受診」せざるを得ない、心の奥底にある不安を取り除きたい。

                そんな社会を変えていきたい。

                医療者とともに、医療の問題をより良くするために協力していきたい。

                (しろうジャーナルNO.29 2011年1月15日 配信)
                 

                | shirouiryo | 小児医療 | 09:00 | - | - | - | - |
                中原利郎医師 過労死裁判終了しました
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                  (しろうジャーナルNO.25 2010年8月 配信)

                   

                  中原利郎医師 過労死裁判終了しました

                  〜医師の労働環境を守ることは、未来ある子供たちを守ること〜

                   

                  中原のり子 さんより

                  小児科医師・中原利郎先生の過労死認定を支援する会

                  http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/

                                      

                   1999816日早朝、都内・佼成病院に勤務していた私の夫、小児科部長(代行)だった中原利郎は、月6回から8回の宿直等の勤務による過労からうつ病を発症し、ま新しい白衣に着替えて病院の屋上にある煙突の上から身を投げました。享年44歳。
                  私と三人の子どもが遺されました。
                  子どもが大好きで、夢は小学校の先生か小児科の医師になることと語り、仕事を誇りにして真面目に働いていた人が何故、死ななければならなかったのか

                  混乱の中で、部長室の机上に残された「少子化と経営効率のはざまで」を手に取り、初めて夫の苦悩を知りました。
                  そこには「国の医療費抑制政策」「小児科の構造的不採算」「頻回の当直による疲労蓄積」「増加する女性医師への社会的支援がないこと」など、様々な問題が提示されていたのです。この問題を世に問うことが私の役目と心に刻みました。

                   

                  2001年、新宿労働基準監督署に労災申請をしましたが、1年半後不支給決定を受けました。
                  当直は労働時間とは認めないというのです。

                  月に何十回当直しても、過重労働でも長時間労働でもないという監督官の説明には納得できず、
                  行政訴訟を起こしました。中原利郎の勤務状況は過重な負担があったと行政裁判判決で労働災害がようやく認定されたのは2007年でした。
                  同僚の女性小児科医師が当直の過重性を証言くださったおかげでした。
                  行政訴訟とは別に、勤務先病院の安全配慮義務違反の認定を求めた民事訴訟では、1審判決は過労も認めない内容でした。
                  高裁に控訴して、うつ病と業務の因果関係は認められましたが、医療ミスも無断欠勤もない医師が、死ぬほど疲れているとは予見できないとの判決が言い渡されました。

                  この判決を受け入れることはできず、最高裁判所に上告受理申立を致しました。
                  最高裁判所には毎月通って「公正な判決を求める」33千筆の署名と、「高裁判決に異議あり」という356名のメッセージを届けました。
                  応援してくださった中には、『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』代表の阿真京子さんほか、小児科医を守ろうという思いの会のお母さん達も大勢いらっしゃいます。
                  署名募集と同時に開始した「過労死から医師を守ろう」「医師や患者さんも自分の命を大切にしよう」という「いのち守る」ボールペン作戦も、多くの方のご賛同を得ることができました。
                  皆様のご支援の力が私の勇気を奮い立たせ、また、このような社会的な動きが後押しして、本年78日に最高裁判所に於いて「我が国におけるより良い医療を実現する」ために、前例のない和解が成立いたしました。


                  中原利郎の過労死裁判は終わりました。今回の和解内容を現場の改善に生かそうと、声明を出してくださった全国医師ユニオンのように、和解を日本の医療現場を変える一歩ととらえる動きも出ております。
                  父親の背中を見つめ、同じ小児科医師となった娘は「患者さんの命を守るには医師の心身の健康が必須だと実感している」と申します。
                  夫・利郎が亡くなった11年前に比べて、医師の労働環境が目に見えて改善しているとは思えない現在、「医師の労働環境を守ることは、未来ある子供たちを守ること」と訴える活動を、今後も続けたいと思っています。
                  『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会の皆様のこれまでのご支援に、心から感謝申し上げます。
                  これからの皆様のご活動のご発展を、心から応援しております。本当にありがとうございました。

                   

                   
                  参考資料:和解条項前文

                  「申立人らは、亡中原利郎医師(以下「中原医師」という。」の遺志を受け継ぎ小児科医の過重な勤務条件の改善を希求するとともに、労働基準法等の法規を遵守した職場の確立、医師の心身の健康が守られる保健体制の整備を希求して、本件訴訟を提起したのに対し、相手方は、相手方病院の勤務体制下においては、中原医師の死亡について具体的に原因を発見し、防止措置を執ることは容易ではなかったという立場で本件訴訟に対応してきたところ、裁判所は、我が国におけるより良い医療を実現するとの観点から、当事者双方に和解による解決を勧告した。 当事者双方は、原判決が認定した中原医師の勤務状況(相手方病院の措置、対応を含む。)を改めて確認するとともに、医師不足や医師の過重負担を生じさせないことが国民の健康を守るために不可欠であることを相互に確認して、以下の内容で和解し、本件訴訟を終了させる。(以下略)

                   

                   

                  (しろうジャーナルNO.25 2010年8月 配信)

                   

                  | shirouiryo | 小児医療 | 09:00 | - | - | - | - |
                  お父さんお母さんに知ってほしい小児医療の現状
                  0

                    (しろうジャーナルNO.17 2010年1月 配信)

                     

                    「お父さんお母さんに知ってほしい小児医療の現状」

                     

                    東京女子医科大学小児科(循環器) 名誉教授

                    日本小児科学会 小児医療改革・救急プロジェクト委員会委員長
                    中澤誠先生より

                     

                       子どもたちの病気は親にとってとても心配なものです。特に、急な病気の時にはなおさらで、すぐに医師に診て欲しいと思うのは当然でしょう。

                    我が国では子どもの人口は全体の14%位ですが、多くの施設では夜間や時間外の救急患者の半分くらいが子どもだと言う数字があり、親御さんの心配を表しています。

                    子どもの急患の95%は医師の側から見れば軽症なのですが、親御さんが重いか軽いかを判断するのは難しいものです。

                    そこで医師会や日本小児科学会は「小児救急とは保護者が救急と感じたら全て救急である」としました。

                    すなわち、この小児救急の定義は、子育てに不安のある保護者には極めて優しい定義です。

                    不安を生む要因として少子化、核家族化、情報社会(過多)などがあり、それに加えて医療政策の諸問題から、子どもの医療機関受診は今や完全に24時間365日化していて「コンビニ化」と呼ばれています。

                    (独り言:コンビニはスーパーより割高なのに医療はタダ。これってコンビニ?)

                    さらに、ご家族の専門医志向そして高度医療志向が強くなっていますので、子どもが急病になると診療所ではなく小児科医のいる病院に受診が集中し、それが夜などの時間外に多いのです。本来は入院患者に備えるはずの小児科当直医が、時間外に来る外来患者も診ることになりますので、当然労働時間が長くなってしまいます。

                    小児科医は概して、困った家族に優しく、病気の子どもたちが目の前にいると疲れた身体に鞭打っても診察を続けますので、結果的に50歳代の医師ですら過労死基準を超える勤務時間になっているのです(日本小児科学会調査)。

                    フラフラになった医師の診察態度が気に入らないと言って激しく怒鳴られて、ノイローゼになり、小児医療の現場から去って行った後輩がいます。必死になって頑張っていてもこれでは悲しいですね。

                     

                       我が国の病院で小児科を標榜している施設の約60%で小児科医は3人以下しかいません。

                    それらの病院では、その小人数で通常の外来と入院患者の診療を受け持ち、当直をして夜間救急に対応せざるをえませんし、その上、翌日も平常勤務が殆どです。

                    その結果、既に述べたような長時間勤務となるのです。

                    病院によっては、現場に居なくても自宅待機のオンコール制をとっているところもありますが、それでもゆっくり休むことは出来ません。皆さまの近くの病院は如何ですか?

                    平成13年に厚生労働省がPatient Safety Actionとして医療安全のための10の要点をあげていますが、その7番目に「自分自身の健康管理 医療人の第一歩」とあります。健康の源は何と言っても睡眠です。

                    医師の超過重労働による健康への影響が、医療安全を脅かし患者を危険にさらす可能性があることを認めている訳ですが、現状では大多数の病院勤務小児科医がこれを守ることは不可能です。

                    50歳近くで月に6〜8回の当直をしている小児救急医療では有名なバリバリ現役のある先生が、真夜中に診た患者の診断と治療が正しったかどうか、夜が明けて冷静に振り返ると心配になることがしばしばあると話してくれて、過労による集中力の低下が心配だと言っていました。

                     

                       そんな状況なので、病院勤めで疲労困憊してしまった小児科医が退職して開業してしまう傾向が続いています。

                    このため、小児科医がいなくなる病院では小児科そのものを閉めてしまわざるをえません。

                    事実、小児科の看板を掲げている病院は減少の一途を辿っている一方で、開業の小児科医院は増えています(厚労省統計)

                    以前、小児救急の話をいろんな所でしていましたが、ある時、出席していた開業の小児科医が「病院が患者さんを引き受けられなくなったので、自分も時間外診療を止めました」と言っていました。

                    外来医療が安心して出来るのは、後ろに入院施設があるからなのです。

                    皆さんも子どもがある程度重い病気になると、やはり、入院を考えるでしょう。

                    そして、それが自分の住んでいる近くにあって欲しいと願うでしょう。

                    でも、小児科医の数には限りがありますし、各施設に3人程度の小児科医しかいないとなると、そこは上に書いたような状況でやがては消えていくでしょう。

                    今、学会や行政では、近くの医療を守りながら継続あるシステムをどのように構築するのか、大いに議論をしている所です。

                    医療資源やそれを支える財源は当然限りがある訳ですから、それを有効に利用し、かつ、永続的に維持していくには、医療を受ける皆様の理解と協力が必須なのです。この会が、その理解と協力を推進する原動力になっていくことを期待しています。

                      

                     

                    (しろうジャーナルNO.7 2010年1月 配信)

                     

                     
                    | shirouiryo | 小児医療 | 09:00 | - | - | - | - |
                    お父さんお母さんに知ってほしい小児医療の現状
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                       (しろうジャーナルNO.17 2010年1月15日 配信)


                      「お父さんお母さんに知ってほしい小児医療の現状」

                      東京女子医科大学小児科(循環器)名誉教授
                      日本小児科学会 小児医療改革・救急プロジェクト委員会委員長 中澤誠先生より

                       

                         子どもたちの病気は親にとってとても心配なものです。特に、急な病気の時にはなおさらで、すぐに医師に診て欲しいと思うのは当然でしょう。

                      我が国では子どもの人口は全体の14%位ですが、多くの施設では夜間や時間外の救急患者の半分くらいが子どもだと言う数字があり、親御さんの心配を表しています。

                      子どもの急患の95%は医師の側から見れば軽症なのですが、親御さんが重いか軽いかを判断するのは難しいものです。

                      そこで医師会や日本小児科学会は「小児救急とは保護者が救急と感じたら全て救急である」としました。

                      すなわち、この小児救急の定義は、子育てに不安のある保護者には極めて優しい定義です。

                      不安を生む要因として少子化、核家族化、情報社会(過多)などがあり、それに加えて医療政策の諸問題から、子どもの医療機関受診は今や完全に24時間365日化していて「コンビニ化」と呼ばれています。

                      (独り言:コンビニはスーパーより割高なのに医療はタダ。これってコンビニ?)

                      さらに、ご家族の専門医志向そして高度医療志向が強くなっていますので、子どもが急病になると診療所ではなく小児科医のいる病院に受診が集中し、それが夜などの時間外に多いのです。本来は入院患者に備えるはずの小児科当直医が、時間外に来る外来患者も診ることになりますので、当然労働時間が長くなってしまいます。

                      小児科医は概して、困った家族に優しく、病気の子どもたちが目の前にいると疲れた身体に鞭打っても診察を続けますので、結果的に50歳代の医師ですら過労死基準を超える勤務時間になっているのです(日本小児科学会調査)。

                      フラフラになった医師の診察態度が気に入らないと言って激しく怒鳴られて、ノイローゼになり、小児医療の現場から去って行った後輩がいます。必死になって頑張っていてもこれでは悲しいですね。

                       

                         我が国の病院で小児科を標榜している施設の約60%で小児科医は3人以下しかいません。

                      それらの病院では、その小人数で通常の外来と入院患者の診療を受け持ち、当直をして夜間救急に対応せざるをえませんし、その上、翌日も平常勤務が殆どです。

                      その結果、既に述べたような長時間勤務となるのです。

                      病院によっては、現場に居なくても自宅待機のオンコール制をとっているところもありますが、それでもゆっくり休むことは出来ません。皆さまの近くの病院は如何ですか?

                      平成13年に厚生労働省がPatient Safety Actionとして医療安全のための10の要点をあげていますが、その7番目に「自分自身の健康管理 医療人の第一歩」とあります。健康の源は何と言っても睡眠です。

                      医師の超過重労働による健康への影響が、医療安全を脅かし患者を危険にさらす可能性があることを認めている訳ですが、現状では大多数の病院勤務小児科医がこれを守ることは不可能です。

                      50歳近くで月に6〜8回の当直をしている小児救急医療では有名なバリバリ現役のある先生が、真夜中に診た患者の診断と治療が正しったかどうか、夜が明けて冷静に振り返ると心配になることがしばしばあると話してくれて、過労による集中力の低下が心配だと言っていました。

                       

                         そんな状況なので、病院勤めで疲労困憊してしまった小児科医が退職して開業してしまう傾向が続いています。

                      このため、小児科医がいなくなる病院では小児科そのものを閉めてしまわざるをえません。

                      事実、小児科の看板を掲げている病院は減少の一途を辿っている一方で、開業の小児科医院は増えています(厚労省統計)

                      以前、小児救急の話をいろんな所でしていましたが、ある時、出席していた開業の小児科医が「病院が患者さんを引き受けられなくなったので、自分も時間外診療を止めました」と言っていました。

                      外来医療が安心して出来るのは、後ろに入院施設があるからなのです。

                      皆さんも子どもがある程度重い病気になると、やはり、入院を考えるでしょう。

                      そして、それが自分の住んでいる近くにあって欲しいと願うでしょう。

                      でも、小児科医の数には限りがありますし、各施設に3人程度の小児科医しかいないとなると、そこは上に書いたような状況でやがては消えていくでしょう。

                      今、学会や行政では、近くの医療を守りながら継続あるシステムをどのように構築するのか、大いに議論をしている所です。

                      医療資源やそれを支える財源は当然限りがある訳ですから、それを有効に利用し、かつ、永続的に維持していくには、医療を受ける皆様の理解と協力が必須なのです。この会が、その理解と協力を推進する原動力になっていくことを期待しています。

                        

                      (しろうジャーナルNO.17 2010年1月15日 配信)

                       

                       

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