しろうジャーナル 掲載記事ブログ

べんぴのお話
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    (しろうジャーナルNO.89 2016年1月15日配信)

    べんぴのお話 小児科医 早川依里子先生
     
     
    先日のNHKニュースで、最近「重い便秘」に苦しむ子どもが増えていると報道されていましたが、確かに日々の外来でも増加していると実感しています。
     
    「便秘」を訴えて受診する子ども以外にも、風邪などで受診した時についでに聞くと「実は小さいときから便秘で・・・」と話が始まることが時々あります。
     
    中には隠れた病気が見つかることもありますが、ほとんどが日々の生活との関連が強い傾向にあります。今日は特別な病気に伴わない『慢性機能性便秘症』について述べさせていただきます。
     
    【便秘ってなに?】
    いわゆる便秘とは、「便が滞った」または「便が出にくい」状態をいいます。「滞った」の目安は週に3回より少なかったり、5日以上でない日が続く場合です。
     
    「出にくい」というのは、出すときに痛かったり、力んでもなかなかでない状態、肛門が切れて血がでる状態です。時にはコップ満杯のお水がこぼれるように、少量ずつ漏れるような便を認めることもあります。
     
    便秘に気づくタイミングとしては、離乳食期、トイレトレーニング期、小学校低学年が多い傾向にあります。
     
    排便時に痛いとどうしても力めず我慢してしまいがちです。しばらく我慢すると、便意は遠のいてしまいますので、便は残ったままでだんだん固くなってさらに排便時の痛みが増す悪循環に陥ります。
     
    そのため、治療によりなるべく辛くない排便をすることで、「排便後のすっきり感」を体験することが、悪循環を断ち切るために大切となります。また便秘に気づいたらなるべく早期に受診し治療を開始するほうが、長期的に見て便秘が改善する可能性が高くなる傾向にあります。
     
    【どうやって診断するの?】
    受診時にはまず日々の生活環境を詳しくお聞きします。食事内容、運動、排便習慣、特に2〜3歳時ではトイレトレーニングの状況把握が必要です。食事に関しては、栄養バランスだけでなく全体の食事量が適切かどうかも重要です。
     
    症状・病歴聴取、診察所見から基礎疾患の存在が疑われる場合は検査が必要ですが、『慢性機能性便秘症』と考えられる場合は、食事・生活・排便習慣指導を行い、必要に応じて薬による治療を開始します。
     
    【どうやって治すの?】
    生活習慣では「早寝早起き」「バランスの取れた3食」「適度な運動」が柱となります。最近は夜更かしをしたり、外遊びはあまりせず部屋でゲームなどをして、体を動かすということが少ない子どもが多くなってきています。まずは生活を見直し、無理のない範囲で改善していくことが大切です。
     
    排便時の辛さを経験すると、子どもたちは排便しないように我慢しようとしますので、幼児期のトイレトレーニングでは、無理強いはかえって排便の拒否感を増大させたりします。
     
    反抗期とも重なり養育者側としてはとても大変ですが、焦らず叱らず、褒めて進めていくことが大切です。まずはトイレに着衣のまま座るなどからはじめ、段階に応じてシールなど子どもが好む「ごほうび」をその都度与えることも効果的です。
     
     食事についてはその効果に個人差もありますが、「バランスのとれた食事」は便秘だけでなく健康維持のためにとても大切です。乳児期では離乳食、年長児ではダイエットによる食事量の不足がないか、また同時に水分量は十分かどうかをチェックします。
     
    野菜、海藻、果物、芋類、豆類が食物繊維を摂取するのに適していますが、含まれる繊維量に差がありますし、便秘に対しての効果も個人差があります。まずは日常生活でどれくらいの量が摂取できているか把握することです。可能なら、1週間の食事内容を記録し、健診や受診に合わせて栄養士に相談することをお勧めします。
     
     薬による治療はまず、受診時に便の溜まり具合を確認することから始まります。「腸が便で詰まってしまっている」状態では、まずはその便塊を排出させてから、日々の下剤治療を行います。
     
    辛くない排便に到達してもその状態を維持するためには、すぐに薬を止めないで、排便の様子を確認しながら長く継続することが大切です。「排便は辛くなく、便を出すのは気持ちいい!」という経験を重ね、排便の記憶を塗り替えることが目標なのです。
     
     
    さて皆さん、今日はうんちをしましたか?それはどんなうんちでしたか?下記のうんち分類ではどれに当てはまりますか?うんちをした後はすっきりしましたか、それともまだ出し切れてない感じがしましたか?
     
    うんちは健康のバロメーターですので、流す前に必ずうんちを確認する習慣をつけてくださいね。
     

     
    こちらのサイトに小児の便秘症について詳しく解説してありますので、ご参考にしてみてください。
    (日本小児栄養消化器肝臓学会と日本小児消化管機能研究会が共同で作成)

     

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    | shirouiryo | 嘔吐・下痢 | 06:23 | - | - | - | - |
    保護者が知っておきたい!経口補水療法について
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      保護者が知っておきたい!経口補水療法について

      『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会 代表 阿真京子



      (2012年6月15日 配信)



      6月 2日(土)は日本小児救急医学会学術集会でした。

      この中のシンポジウム「小児脱水治療と経口補水療法(ORT)のこれから」にて小児医療の活動と経口補水療法の普及について、発表いたしました。



      先生方から発表のあったことについて、特に保護者の皆さんと共有したいことについて

      触れたいと思います。(シンポジウムの登壇者・詳細は http://2zj1k.tk



      小児は、一日の体重あたりの水分必要量が高い

      乳児 100ml/kg 成人 30ml/kg そのため、脱水を起こしやすい



      西神戸医療センターの上村克徳先生のお話では



      米国の調査では

      点滴をした子、経口補水(ORT)をした子、の、2時間後、4時間後の効果に有意差が見られませんでした。

      どころか

      ●入院率は ORT 30.6% 点滴 48.7%

      ●救急外来滞在時間 ORT 226分 点滴 358分

      ●保護者の満足度 ORT 77%が満足度が高い 点滴 38%が満足度が高い



      また合併症が少ない、というデータも出ている、とのことです。

      点滴をせずにこれだけ効果があれば、

      子どもにとっては

      ?痛くない

      ?長時間拘束されることない

      ?縛り付けられる怖さもない

      とてもいい療法だとのこと。



      点滴だけに頼らない文化、点滴だけが必ずしも良いわけではないということの考え方の普及が必要だというお話もありました。



      昨年の震災で、避難所ではお手洗いが衛生的でなかったり外にあったりで、

      水分を極力控える方が多くいたそうで、脱水症の発生が非常に多かったそうです。

      水に溶かすタイプは溶かす水がないということで、ペットボトルタイプがすごく喜ばれたとのこと。

      病院に搬送しようと思った中等度の脱水があった避難所のお子さんもしばらく医療者に見守られながら

      OS-1を飲み続けた結果、遠くの病院まで行かずに済んだということもあったとのことでした。



      上村先生からご発表のあったエビデンスシート 6sge3.tk

      当日の配布資料について、公開の許可をいただきましたので、こちらもご一読をおススメいたします。

      p18gm.tk



      協力医でもある鹿児島のみなみクリニックでは、点滴を年間276例していたが、ORTを導入したことで

      48.8%まで減少。現在、年間20〜30例まで下がってきているとのことでした。



      吐いている患者に飲ませる行為をするということで保護者への丁寧な説明が必要、

      そこが面倒なので、点滴をしているという病院が多いとのことです。



      もちろん重症のお子さんには点滴が必要なのですが、点滴をするにしても30〜40分ORTを試してから

      点滴をすることでスタートが早いため回復も早い(点滴を準備する時間にすぐに飲み始めることができる)

      ことと血管が太くなり点滴がしやすくなるということでした。



      吐いている子に飲ませることは無理?と思っている医療者もいまだ多いようですが、ごく少量からスタート

      しますので、待ち時間を利用し、待っている間に診察室に入る頃には回復してる、というお子さんも多い

      とのことでした。

      逆に点滴の場合は、待合室で待っている間に脱水が進んでしまう、ということもあるので、注意が必要ですし、

      点滴を打ちたい親御さんも経口補水をしながら待つということが必要だとのことでした。



      南武嗣先生からは親が覚えやすい飲ませ方についても説明がありました。



      10kgのお子さんには 10ml/5分・15kg 15ml/5分・20kg 20ml/5分

      つまり1時間で

      10kg 120ml ・15kg 180ml ・20kg 240ml を飲ませるのが目安だそうです。



      またこちらは広島・舟入病院の森看護師からのお話でしたが、冬場のウィル性胃腸炎では嘔吐のときには

      心配が募るもの・・・嘔吐を乗り越えてほっと一息。その後、下痢が始まりますよね。

      小児は頻繁な下痢をすると脱水に陥りやすいので、気付いた時には重症脱水、という子も多いそうです。

      下痢している子にはすぐに経口補水を、とありました。



      現時点ですと、病院側も点滴をすれば診療報酬の点数がつきますが、ORTを行なっても何もつきません。

      また患者側も点滴ですと無料ですが、OS-1は有料です。

      「点滴の必要はありません、おうちでOS-1で様子を見て」と医療者が伝えても、

      親に拒否されることも多々あるようです。(とにかく点滴を打って、とのことですね)

      また点滴をしないのは手抜き、と非難されることもあるそうです。



      私もこれまで点滴並みだと思い、使用をしたり、皆さんへ周知を呼びかけたりしてきましたが、

      正直ここまで効果があってここまでそのエビデンスまである、ということに驚きました。



      また、こちらはランチョンセミナーでの発表でしたが、手術前の経口補水療法もとても効果が証明されています。

      今月中にガイドラインができるそうなので、もっと普及が進んでいくことと思います。(現在は360程の施設で導入されているそうです。)

      詳しくはこちらをご覧ください。

      http://gakken-mesh.jp/info/wp-content/uploads/2011/03/1011.pdf





      | shirouiryo | 嘔吐・下痢 | 19:32 | - | - | - | - |
      食中毒について
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        (2011年6月15日配信)

        「食中毒について」

        朝霞台中央総合病院小児科部長 小林真澄先生より
         
        ユッケを食べたことが原因と思われる腸管出血性大腸炎の発生から、食中毒に対する関心が高まっているようです。
        あらためて、食中毒とは何か、そして日常生活でどのような注意をすればいいのかを考えてみたいと思います。
         
        *食中毒とは?・・・
        食中毒とは一般に、食べ物や飲み物を介して感染して中毒症状をおこしたものと言われますが、中毒症状は必ずしも嘔吐や下痢などの胃腸症状とは限りません。
         例えばボツリヌス菌などは神経症状が主なものです。
         
        一方、ノロウィルスのように、患者の吐物や便などからヒトからヒトへ接触感染で広がる場合は、幼稚園や学校などの施設で集団発生しても、食中毒とはいいません。

        食品衛生法では 「食品、添加物、器具、もしくは容器包装に起因して中毒した患者、もしくはその疑いのあるもの」 を食中毒患者としています。
         
        *主な原因  原因としてはウィルスが半分以上を占めます。
        有名なものはノロウィルスです。
        次が細菌性で30%くらいを占めます。
        サルモネラ、カンピロバクター、ブドウ球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどがあります。

        以下に簡単な特徴をのべてみます。
         
        1)ノロウィルス 
        食中毒の主要な原因で、特に冬季(11〜1月)に流行します。
        原因食品として、生カキ、刺身、寿司、パン、サンドイッチ、サラダなどがあります。
        カキのように食品そのものがウィルスを持っている場合もありますが、感染した患者さんが取り扱った食品から感染したものが多いようです。
         
        2)黄色ブドウ球球菌 
        どこにでも存在する菌ですが、その中の毒素が原因で起こります。
        発症までに1〜6時間と短いのが特徴です。加熱が不十分だったり、室温放置などをしていた食べ物で起こることが多いようです。

        3)サルモネラ腸炎 
        卵や鶏肉が原因の多くを占め、加熱が不十分だったり、生食によるものがあります。
        またカメなどのハチュウ類からの感染もあります。
        菌が血液の中に入ってしまう菌血症を起こすと、重篤な合併症を起こすことがあります。
        小児や高齢者は重症になりやすいので注意が必要です。
         
        4) カンピロバクター 
        毎年5〜7月にピークがあります。原因は肉類、特に鶏肉が多く、そのほか 牛レバーなど動物の内臓の生食による報告もあります。
         
        5 )病原性大腸菌  
        O−157,O−111に代表される腸管出血性大腸菌を始め、腸管毒素原生大腸菌など5つのグル)ープに分かれていますが、腸管出血性大腸菌が一番問題になります。

        特に小児、高齢者は重症になりやすく、溶血性尿毒素症候群という状態を起こして、毎年数人の方が亡くなっています。健康なウシの1〜2%の腸管内に存在していて、肉や内臓の生食、または汚染された水などで感染します。
         
        *気をつけること

        昔話になってしまいますが、私が子どもの頃、食中毒はこわい病気でした。
        母親は「生もの」に非常に気を使ったものです。
        夏の暑い時期はもちろんのこと、普段でも刺身など生の魚は注意しましたし、貝類は食べさせてもらえませんでした。
        生卵も幼児には使いませんでしたし、生の肉やレバー刺などは大人でも食べる習慣はそれほどありませんでした。
         
        近年、衛生環境がよくなり、また冷蔵や冷凍技術は進歩しました。
        流通も盛んになり、各地の食材が世界も含めてたくさん入ってきます。
        外食も増えて、世界中の色々な料理を食べる機会も多くなってきました。
        しかし、子どもの抵抗力が弱いことは変わりません。

        私の勤務する病院でも、昨年レバー刺が原因と思われるサルモネ腸炎が2例ありました。
        4歳と8歳でした。
        家族も一緒に食べていましたが、発症したのは子どもだけです。
        食中毒をおこす菌などはどこにいても不思議ではありません。
         
        子どもたちを食中毒から守るために、肉類は必ずよく加熱してから食べること、魚の刺身などは新鮮なもの、きちんと加工されたものを選ぶようにすること、生卵もできるだけ避けて、もし食べるなら、やはり新鮮できちんと処理されたものを使うようにしましょう。

        また家で調理するときは、まな板や包丁などを、肉類に使うものと生で食べる野菜などに使うものと分ける、または肉類に使ったあとはよく洗うなどの注意が必要です。

        もちろん手洗いをしっかりすることは言うまでもありません。
        大人のちょっとした注意が、子どもたちを病気から守る一番の手だてになるのです。
         
        (2011年6月15日配信)
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