しろうジャーナル 掲載記事ブログ

子どもの飲食と放射性物質
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    (2011年5月15日 配信)

    教えて!ドクター 
    東日本大震災関連特別寄稿原発事故に際して、子どもの飲食と放射性物質

    兵庫医科大学病院小児科教授 服部 益治先生より
     
    原発事故の放射線(※1)による水道水や農産物の汚染が報道され、放射線は見えないだけに不安が高まっています。 水は健康の維持に不可欠だけに心配が拡大しています。
     
    (1)飲食物はベクレル値で放射線汚染物を口に入れる時に気にするのがベクレル値(※2)です。
    暫定規制値は放射性物質により様々で、飲料水ならば大人の場合、放射性ヨウ素は300ベクレル/kg以下、放射性セシウムは200ベクレル/kg以下となります。
    暫定規制値以下であれば問題ありません。
    またベクレル値が国の基準を超えている飲料水・農作物・魚は市場に流通されません。
     
    (2)乳児の飲料水の放射性ヨウ素の暫定規制値放射性ヨウ素暫定規制値は、1年間飲み続けた場合を想定して決定されます。
    乳児期(1歳未満)は、ミルクで育てた場合、たくさんの水を飲むことになりますが、1年間飲み続けても影響が出ない値です(乳児100ベクレル/kg以下)。
    1歳以上なら300ベクレル/kg以下とされています。
    母親が放射性ヨウ素300ベクレル/kg以下の汚染水を飲んだ母乳栄養児の場合ですが、母乳への移行は1/3以下と考えられていますので心配ありません。
     
    (3)ミネラルウォータの注意ミネラルウォータの一部の硬水では粉乳が十分に溶解しないことがあり、また多くのミネラルが含まれており、乳児のじん臓に負担を与えることがあります。
    この場合には水道水を用いる方が安全です。
    また代用水が確保できない時は、通常通り水道水を使用して下さい。
    水の制限したための脱水症の方が健康被害をもたらします。
     
    (4)水道水の保存や煮沸は?
    汚染水を保存すると半減期に伴い放射線は減退しますが、雑菌の繁殖が心配です。
    一般的な家庭用浄水器ですが放射性物質を減らす証明はされていません。
    また、煮沸はかえって放射性物質の濃度を高める可能性があり、おすすめ致しません。

    (5)胎児への影響は?
    妊婦から胎児への移行は非常に少ないです。
    子どもと同様に母体が水分を制限しすぎての脱水症の方が母胎に問題となります。
    飲食以外に、雨や風で運ばれたちりの放射線も気になるところですが、必要以上に恐れず、政府や学会からの見解に耳を傾けて冷静な判断をお願いします。

    参照:日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解「放射性ヨウ素が測定された水道水摂取」
    (PDF) http://www.jpeds.or.jp/pdf/touhoku_6.pdf

    ほ乳瓶が煮沸できない場合の対応は以下を参照下さい。
     参照:日本小児科学会HP「先進国における災害時の乳児栄養」(PDF)
    http://www.jpeds.or.jp/pdf/touhoku_5.pdf

    ※1 放射線とは 「放射線」を家の中の光に例えると、電球が「放射性物質」にあたり、その電球が出す光が「放射線」。
    光の強さ(能力)が「放射能」となります。
    放射線は、粒子線(α線、β線、中性子線など)と電磁波(γ線、X線、紫外線、赤外線など)に分けられます。太陽光線のうち波長が短くエネルギーの高い光が紫外線で、皮膚や目に問題となることはご存じと思います。
     
    ※2 ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)とは ベクレルは放射線を放つ側の強さ(放射能量)の単位で、主に飲食時に問題(内部被ばく)となり、もし汚染水なら1kg(=1L)当たり(ベクレル/kg)と表示されます。シーベルトは放射線を受けた側の放射線の量(被曝線量)で、1時間当たりの量(ミリSv/時)で表示されます。
    ベクレル値(ベクレル/kg)を体への影響を見るためのシーベルトにするためには換算が必要です。
    例えば1kgあたり15020ベクレルのヨウ素が検出されたホウレンソウを15g食べたとしても、係数計算すると約0.0049mSvと非常に小さな値になります。
    急病とケガに対する家庭の常備薬、そして感染症対策 あわてず、日頃からの備えが大事 災害による停電やガソリン不足など、病気や怪我でもすぐに受診できない状況が発生することもあるかと思います。あわてることなく、家庭で最低限対処できるよう日頃から順備しておきましょう。

    A.常備薬について
    まずは急病に対する薬が中心となりますが、災害時のケガに対する備えも含め、急病とケガの2点からまとめます。

    1.発熱は、首・わき・股を冷やす(体温計は常備) 発熱:解熱薬がなくても、太い動脈がある首・わき・股を冷やすだけ熱は下がります。
    高熱がつらそうで解熱剤を使うのであれば、アセトアミノフェン系解熱薬がおすすめで、下がり方が緩いのは身体に優しい証拠です。
    座薬は胃の負担なく確実に投薬でき、飲料水も不要で重宝します。おでこに冷えピタ(R)では解熱しません。気持ち良いようなら使う程度です。
     ひきつけ(けいれん):熱性けいれんは子どもの7〜10%が経験します。
    数分以内にほとんど自然に止まります。
    舌を噛むことはありませんので、口の中に指や箸を入れたりするとかえって危険です。
    また吐物がのどにつまらないように顔を横向きに寝かせましょう。

    2.総合感冒薬は不要で、鼻水吸い器は重宝。
    かぜ薬に含まれる鼻水止めの抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は乳幼児にひきつけを誘発するとの注意勧告がされています。
    また咳止め薬とともに、かえって痰が出しにくくなることもあります。
    鼻が通ると寝やすく、中耳炎にもなりにくいのですが、鼻をうまくかめないのが子どもです。
    鼻水吸い器で対応下さい。
     
    3.痛みが“お腹”なら浣腸を(浣腸は不可欠)
    子どもは、はげしい腹痛を時々経験しますが、まずは便秘を考えましょう。
    排便がないなら浣腸です。
    コロコロ便が出てケロっとなります。
    万一、血便ならば医療機関を受診して下さい。
    頭痛や打撲痛は原因の検索が優先されます。軽度ならアセトアミノフェン系解熱薬で鎮痛可能です。

    4.脱水症の回避に経口補水液 高熱時の発汗、嘔吐、下痢で脱水症に陥りやすいのが子どもと高齢者です。
    塩分と少々の糖分を含む経口補水液「オーエスワン(R)」でまずは自宅対応を。
    吐き気止め、下痢止めは使用しない。

    5.虫さされ用薬(かゆみ止め)
    かゆみは辛いので、虫さされ用薬(かゆみ止め)はあると便利。

    6.すり傷、切り傷、やけど、まずは流水で
    災害時を含めケガは子どもにつきものですが、消毒薬はなくても流水で十分です。
    傷からの出血がひどい時は、清潔な布で圧迫して下さい。
    出血部より心臓に近い部分をしばったり、心臓より高い位置にする方法もあります。
    そのためにも絆創膏、包帯、ガーゼなどは常備しているといいでしょう。

    B.感染症対策について 保育所はじめ学校などの集団生活では感染症が問題となります。感染様式には、
    (1)空気(強い感染力のはしか、水ぼうそう)
    (2)飛沫(水しぶき;インフルエンザ、かぜ)
    (3)接触(かぜ)
    (4)経口(感染性胃腸炎;ロタやノロウイルス、病原性大腸菌)
    (5)動物を介する(蚊による日本脳炎)もの があります。

    避難所は密閉と混雑な状況上に、清潔環境の維持が困難のため感染症が広がりやすいです。
    東日本大震災でも、インフルエンザ、感染性胃腸炎、肺炎の流行が問題となっています。
    感染症の対策は手洗いやうがいとともに予防であり、日頃から予防接種で予防できる病気は予防対策を忘れずにしておいて下さい。

    (2011年5月15日 配信)
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