しろうジャーナル 掲載記事ブログ

知って活かそう! かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師
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         東京大学 大学院薬学系研究科 育薬学講座  里子(薬剤師)

     

    お薬をもらいに薬局に行く機会はあるけれど、

    「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」って「正直なところあまりピンとこない・・」

    と感じていらっしゃる方もおられると思います。

    今回は、お子さんの「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」を作って活かすヒントをお伝えできればと思います。

     

    ★「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」ってなんだろう★

    お子さんが使っているお薬や病気のこと、お子さんの体質とお薬との相性などをよく知っていて、

    日頃の健康管理のことも相談にのってくれる存在、それが「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」です。

     

    ★薬局のかかり方、どうしたらいいの?★

    では、どのように薬局にかかるとよいのでしょう。

    薬局では、来局した患者さんごとに「薬歴」とよばれるお薬の情報

    (お薬の服用歴やお薬の調製方法、服薬インタビューの内容などを記録したもの)

    が保存されています。

     

    ですので、かかりつけの薬局を決めておくと、

    お子さんの体質(アレルギーなど)やお薬の好み(粉薬は苦手など)、

    生活習慣や環境(保育園に通っているので1日3回の薬は服薬しづらい)

    といったお薬の情報をひとつの薬局で管理してもらうことができます。

    お薬の専門家である薬剤師はこれらの情報をふまえて、

    処方されたお薬とお子さんとの相性をチェックしたり、飲み方の工夫を提案したりできるのです。

     

    例えば、以前に「うちの子、粉薬が苦手なんです・・」と相談したことがあれば、

    「今回、粉薬が出ていますが飲めそうですか?今回のお薬は同じ効き目成分でシロップのタイプもあります。

    お医者さんにお電話してシロップのお薬に変えてもらいましょうか。」

    ・・と言った具合に、ベター・ベストなお薬の提案につなげることができます。

     

    複数の病院やクリニックにかかっている場合には、

    お薬の重複や飲み合わせのチェックが漏れなく行えますので、安心です。

    親御さんとしても、かかりつけの薬局で顔見知りの薬剤師ができれば、

    わからないこと、気になっていることが相談しやすくなりますよね。

     

    「お薬を上手く飲んでくれない」「熱冷ましの坐薬がすぐに出てきてしまった」

    「食事をたべてくれないけど、食後のお薬はどうすればよいの」などなど・・

    お子さんのお薬の「困った!どうしよう」は、自宅に戻ってから起きることが多いと思います。

    そんなときもかかりつけ薬剤師は心強い見方です。

    薬局に電話をかければいつでも相談にのってもらえます。

    かかりつけ薬局であれば、お子さんの「薬歴」を確認しながら、

    よりお子さんに合ったアドバイスをしてもらえるでしょう。

     

    ★かかりつけ薬局をもつその前に★

    〜いつもと違う医療機関からもらった処方箋でも、持って行っていいのかな?〜

    大丈夫です。薬局では、どこの医療機関で発行された処方箋でも受け付けることができます。

    かかっている病院(小児科、皮膚科、耳鼻科などなど)ごとに違う薬局で

    お薬をもらっているという方も多いかもしれません。

     

    けれど、どの医療機関でお薬をもらっても、お住まいの近く等で、

    頼れる薬剤師さんがいる薬局ひとつに決めて、お薬をもらったり、相談にのってもらったりするのがおススメです。

     

    〜病院の最寄りの薬局の方が、薬が揃っているのかな?〜

    かぜ薬など一般的なお薬であれば、病院の最寄りの薬局でなくても、大抵のお薬は揃っています。

    もしもお薬の在庫がない場合も当日か翌日までに取り寄せ可能な場合が多いです。

     

    急性の症状ですぐにお薬を使いたいけれど「お薬あるかな?」と心配なときには、

    来局前にかかりつけの薬局に電話して、お薬の在庫を確認してみるとよいですよ。

    定期的に通院して決まったお薬をもらっている場合には、

    来局日にあわせてお薬を在庫しておいてくれますので相談してみましょう。

     

    ★かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師を持てば、お薬手帳はいらない!?★

    お薬手帳は患者さんの体質やお薬の情報(お薬の名前、飲み方、効き目など)を記録しておく“薬の日記帳”です。

    患者さんご自身が手元においておける重要なお薬情報になりますので、

    かかりつけ薬局をお持ちでも、お薬手帳は家族ひとり1冊ずつ必ず持ちましょう。

     

    お子さんの体調不良は急に起きますよね。

    休日や夜間にいつもと違う病院にかかってお薬をもらうことがあるかもしれません。

    そんなときには「お薬手帳」があれば安心です。

    病院や薬局で「お薬手帳」を見せることで、お子さんに合ったお薬をだしてもらえます。

     

    翌日以降にかかりつけの病院や薬局に行く場合にも、お薬手帳をみせれば、

    休日や夜間にもらったお薬との重複を避けたり、

    飲んだお薬と症状の経過をふまえてより適切なお薬をだしてもらえます。

    お薬手帳は災害時にお薬が必要になった際にも大変役立ちます。

     

    ★よいかかりつけ薬剤師のポイントは?★

    最後に、よいかかりつけ薬剤師のポイントを5つにまとめてみました。

    □あなたやお子さんの担当医と対等に話し合うことができる。

    □日々、お薬の勉強をしている。

    □あなたやお子さんの話にしっかりと耳を傾けてくれる。

    □あなたやお子さんの病気、体質や生活習慣、お薬の服用歴などを把握し、

    あなたやお子さんに合ったお薬やお薬の飲み方などの相談にのってくれる。

    □いつでも連絡がとれる

     

     

    <東大薬・育薬学講座ほか、みんなの薬剤師・みんなの薬(2015年)http://www.ikuyaku-ut.jp/monka/2011/report/minnanoyakuzaisi.html より引用改変>

     

    こんな薬剤師を見つけておくと、お子さんが病気のときも、健康管理の面でも、

    とても頼りになります。

    日々、お薬の勉強をしている薬剤師であれば、皆さんの困っていることや疑問に思っていることを、

    最新のお薬の知識をふまえて解決してくれると思います。

    ずは、気軽に相談して薬剤師と会話をしてみること、それが、かかりつけ薬剤師を見つける第一歩です。

     

     

     

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    ☆参考情報:「かかりつけ薬剤師」制度って何?子どもも利用できるの?

    20164月に開始された国の制度です。この制度は子どもでも利用でき、

    保護者の同意のもとで「かかりつけ薬剤師」を一人もつことができます。

    薬局でかかりつけ薬剤師を決めて、同意書に署名します。

     

    この制度では「かかりつけ薬剤師」の質を担保するために一定の条件(薬局での経験3年以上、

    その薬局に週32時間以上勤務・半年以上在籍、薬剤師研修認定等の取得、

    医療に関わる地域活動に参画)を設けています。

     

    この制度を利用すると、同意を交わした「かかりつけ薬剤師」に処方薬以外にも

    市販のお薬や健康食品などについてのアドバイスを受けたり、

    相談にのってもらうことができ、時間外でも対応してもらえます。

     

    この制度を利用する場合、薬局利用時に通常より費用がかかります(3割負担の方で約 100 円程度高くなります)。

    ただし、自治体によっては乳幼児などの医療費の自己負担を無料としており、

    その場合には「かかりつけ薬剤師」制度を利用した場合も自己負担はありません。

     

     

    ☆著者の自己紹介:

    医薬品適正使用・育薬と医療安全の推進を目指し、医薬品情報の収集、解析・評価、創製、提供に関する研究を行う。

    研究成果を社会に還元するNPO 活動(NPO 法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター http://www.dlmc.jp )や、

    市民向けの活動「みんくす」にも取り組む。

     

    ☆みんくす( https://minkusu.ikuyaku-ut.jp とは?

    患者がお薬と上手に付き合うための情報や、お薬にまつわるエピソード(悩みや工夫等)を共有したり、

    定期的にエピソード記事を配信しているコミュニティサイト(登録無料)です。

    同サイトでは小冊子「みんなの薬剤師・みんなの薬〜薬剤師と上手に付き合う心得 9 箇条、

    薬への理解を深める 4 箇条〜」、「自分でできる薬の情報管理」もダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

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    みんくすのサイトでは以下のような記事を過去に紹介しています。

    よろしければ、みんくすサイトに登録して、お読みください。

     

    〜【赤ちゃん・子ども】タグのついた記事〜

    82回:牛乳を飲むと下痢をしてしまう子が飲んでも大丈夫?

    54回:なぜうちの娘にはリレンザではなく、漢方薬が処方されたの?

    33回:ママの薬を使ってみたい

    23回:一番服用しやすいのはどの剤形?

    22回:親子でもお薬手帳を共有してはいけません

    7回:クラスメイトの目が気になってきちんと服薬できず

    (絞り込み検索:くすりを使うひと・扱うひと>赤ちゃん・子ども で検索)

     

    みんくすでは、みなさんのお薬にまつわるエピソードにもとづき、記事を作成しています。

    みなさんのエピソード投稿もお待ちしています!

     

     

    【当ブログ記事の無断転載は、一切禁じております。
    情報の掲載をご希望の場合は、当会までお問い合わせください。
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    | shirouiryo | 薬について | 07:00 | - | - | - | - |
    保護者と子どもの『安心』のため、日本にもっとホームケアの知識を
    0
      小児救急医・井上信明先生
      「保護者と子どもの『安心』のため、日本にもっとホームケアの知識を」
      編集 玉木 美企子

       

       

       

      【適切な処置に「不可欠」な存在とは・・・】

       

       

       

       

      国立国際医療研究センター 国際医療協力局 人材開発部研修課 

       

      小児救急医・井上信明先生

       

       

       

      アメリカで小児救急医療を学び、いわゆるER型救急と呼ばれる、
      重症度や原因に関わらず「すべての子どもをまず受け入れる」救急を、
      ここ日本でも、以前の職場である都立小児医療センター救命救急科で実践されていました。

       

       「私達は内科や外科などの専門診療科や臓器にこだわらず、
      急を要する医学的問題を抱えた子ども達全員をまず診察していました。
      その上で、本当に専門医が必要な子だけ専門医に診てもらうようにし、
      それ以外は自分達で継続して診療することもあります」。
      井上先生がそう話す通り、
      「小児救急」とひとくちに言っても内科、外科、外傷、
      ときに精神疾患の分野の問題まで、どんな症状でも診察するのがER型救急の基本。
      このような現場で、一人ひとりの患者を適切な治療へと導くためには、
      膨大な知識と経験、そして「保護者との丁寧なコミュニケーションが欠かせない」と言います。

      【まずは子どもの「ふだん」を知ること】

       「診療でまず確認するのは、心拍数や呼吸数といったバイタルサイン。
      生理学的な兆候は、症状の重さをみる上で大切なデータとなります。
      これと同じくらい大切なのが、保護者の方からの『ふだんと比べて状態はどうか』
      という情報提供です。熱が高くても、ふだんと変わらず元気ならば、何か処置をしなくても
      よくなることがほとんどです」と、井上先生。
      加えて、予防接種歴についても、
      「保護者の方に把握しておいていただくか、母子手帳をお持ちいただくとよいですね」
      と話します。
       また、家庭で保護者が病気や怪我をした子どもと向き合い、
      家庭でできるケアを行うことを、「ホームケア」と言いますが、
      小児医療の分野では重要視しています。

      そして井上先生も日々診察室で、ホームケアの知識を広める実践を行っていると話します。
      「例えば、嘔吐という症状なら、薬剤や点滴に頼らないで済むように、
      どのような水分をどのように摂るとよいのか、具体的にしっかりと伝えることにしています」
       一分一秒を争う、というイメージのある救急の現場ですが、
      それでも井上先生が密なコミュニケーションを心がける理由は
      「次に子どもが同じような状態になったとき、保護者の方が
      薬や点滴を求めて慌てて病院を受診するのを予防することにつながるから」。
      「安易に薬を投与して診療を済ませ、再受診のポイントを伝えるだけでは、
      『予防』という観点からは不十分だと考えています。子どもの状態をしっかりと見極め、
      自宅でできる限りのケアができるようにすること。
      このホームケアの基本さえわかっていれば、冷静に子どもの体調と向き合うことが
      できるはずなんです」(井上先生)

      【親の不安は誰のせい?】

       私達の「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」が設立した当時、
      小児救急に訪れる患者の約9割が入院を必要としない軽症者だといわれていました。
      専門医不足の問題も依然解決していません。
      それでも井上先生は「軽症の患者さんがたくさん受診しているという発想ではなく、
      一人一人が重症患者ではないということを確認する、そのためにしっかりとお話を聞き診察を行う。
      そういった発想で診療に取り組むことが、見逃しを減らすためには必要だと考えています」と話します。
      「むしろ、親の不安をあおっているのは、実は(不勉強な)小児科医じゃないかと感じる時さえあります。
      例えば、熱で受診したとき、『じゃあお薬だしときますね』で終わったとする。
      そうするとご家族は、これくらの熱が出ると薬を飲まないといけないと
      思ってしまうのではないでしょうか。
      あるいは吐いて、しんどそうだと『点滴しましょう』と言われる。
      この経験で、ご家族は『嘔吐したら点滴しなければならない』と思い込んでしまう。
      そういう意味では、どうしてこんな軽い症状で受診したんだ、
      と保護者にいうだけじゃなく、自分達も勉強しなきゃいけない、と思うわけです。
      しっかりと判断ができれば、小児救急に訪れる患者さんには薬はおろか検査さえも不必要なことが多いんです。
       しかし、これも小児科医が悪いのではなく、子どもの救急医療を専門にする人が少ないことが問題。
      また限られた時間で多くの患者さんを診なければならないという問題もあります。
      小児科を専門にする人が育ち、ホームケアの知識が普及し、
      正しい医療が提供できるようになれば、世の中は変わっていくと思うんです。
      そして子どもの病気をきっかけに、その家族が子どもを中心に向かい合い、
      共に育っていく機会にしてくことができればと思います。」

      【お母さん、熱に気づいてくれてありがとう】

       どんな激務の中にあっても、大切なのはまず、受診された方の不安をまず受け止めること。
      そして「これからも不安なことがあったらいつでも来ていいよ」、
      とメッセージを伝えること。そんな井上先生の患者への姿勢は変わりません。
       「子どもを大切に思う気持ちは、私達も保護者も同じなんですよね。
      多くの保護者が、子どもを思う気持ちのあまり受診されていることに気づいたとき、
      夜中の2時、3時に来てくれる患者さんに対して、むしろ感謝の気持ちで接することができるようになったんです。
      お母さん、お父さん、こんな時間にお子さんの熱に気づいてくれてありがとう。
      明日も仕事なのに、お母さん、お父さん、付き添ってくれてありがとう。
      タクシーの運転手さんも、ここまでこの子を運んでくれてありがとう。
      受付の方も、迅速に対応してくれてありがとう、って」
       

       
      そんな井上先生をはじめとする医師から、よりよい医療の提供を受けるためにも、
      私たちがホームケアを学ぶことには大きな意味がありそうです。
      「子ども達は日本の未来です。ならば子どものホームケアも救急も、
      未来に命をつなぐ仕事と言えるでしょう。私は小児救急医として、
      この嬉しさや楽しさを、小児医療を目指す若い医師や看護師達に伝えていきたいと考えています」

       「現在、私は開発途上国における人材育成に関する仕事をさせていただいています。
      前職の都立小児総合医療センターには、有能な人達が集まってきてくださり、
      同じ方向を向いて理想を実現していく体制が整った。
      それで、昔からの夢だった、現在の仕事を始めました。
      でも、実はその先に日本の地方の小児救急医療のことも考えたいと思っています。
      途上国が抱える課題と日本の地方が抱える課題に共通点があることに気づきましたし、
      何よりも『東京だからできるけど地方ではできない』と言われないように、
      すべての子ども達が最善の小児救急医療を受けることができるように、
      自分がさせていただけることを全力で取り組みたい、そう考えています」

      内容につきまして、メディカルノート
      より許可を得て、一部転載しております。
      尚、メディカルノートには、井上先生による、
      親が知っていて役立つ嘔吐の見極めや対処も掲載されておりますので、
      ぜひご一読ください。

       

       

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