しろうジャーナル 掲載記事ブログ

水ぼうそう (水痘)についてのQ&A
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    新潟市・さとう小児科医院 佐藤雅久

     

    Q1 :生後5か月で水ぼうそう(水痘)になりましたが、また罹ってしまいました。

    水痘は一回なったら免疫ができて、もう二度と罹らないと聞いていたのに、なぜでしょうか?

     

    A1 : 5か月で水痘に罹ったが、抗体がつかなかったというお子さんについてですが、

    これは、年齢を考えると、免疫力が未熟であると言うことが問題のようです。

     

    免疫には大きく分けて、 「獲得免疫」と「自然免疫」の2種類があります。

     

    「獲得免疫」とは、体外から入ってきたウイルスなどにピンポイントで攻撃する免疫です。

    いわゆる「抗体がある」と言うのは、獲得免疫があるということです。

     

    「自然免疫」というのは、細菌やウイルスのような、本来、体内にない物質(異物と言います)

    が入って来たときに反応して攻撃する免疫です。

    これは、ピンポイントで攻撃するのではなく、体に入ってきた「異物」をいち早く認識して、

    それを排除しようと働きます。

     

    この2種類の免疫の働きで、体を守っているのです。

     

    新生児・乳児は、自然免疫が未熟です。

    また、麻しん、水痘などのウイルス疾患に接する事 は少ないので、

    獲得免疫は少ないはずですが、母親から胎盤や母乳を通して移行した

    免疫物質(獲得免疫である移行抗体)等があり、感染を防いでいます。

     

    この移行抗体は、生後直後から徐々に少なくなり、生後6か月位までしか残っていません。

    このお子さんは5か月で水痘にかかったとのことですが、これは、自然免疫は未熟で、

    移行抗体も少なくなっている時期に当たります。

     

    また、麻疹(ましん)、風疹(ふうしん)等、多くのウイルス疾患は、

    1回感染すると、「抗体」という免疫物質(これも獲得免疫)ができて、

    その後は感染しても発病しないと考えられています。

    1. もちろんRSウイルスのように、感染しても免疫が出来なくて、

    何回も罹るウイルス疾患もありますが、多くは抗体ができます。

    その効果は一生続くと考えられています。

     

    しかし、残念ながら水痘を2度発病する方はいます。このほとんどは、

    生後6か月以内に発症した乳児です。

    その理由は「免疫が未熟だ」と言ってしまえば簡単ですが、正確には分かっていません。

     

    現在分かっていることは…

    1.お母さんからの移行抗体が減少してきた時期である。

    2.水痘に対する防御には、獲得免疫(抗体)も大切ですが、
    自然免疫も重要であり、このケースのように5か月の乳児では、まだその自然免疫も未熟だった。

     

    水痘を発症した乳幼児に、抗体がないからといって、

    その後ワクチン接種をする必要があるかどうかは、議論のあることころですが、

    接種しておけば、水痘や水痘発症後に生じる帯状庖疹の発症防止に役立つと思います。

     

    親御さんはびっくりしたでしょうが、乳幼児は免疫機構が完璧ではないため、

    再感染ということも起こり得るのです。

     

     

    Q2 :水痘の予防接種後、熱が出てしまいました。なぜこんなことが起こるのでしょうか?

     

    A2 :ワクチン接種で、発熱してしまったお子さんへのご心配はもっともなことです。

     

    ワクチンは病気を防ぐために必要なもので、大きく分けて2種類あります。

     

    弱毒化して発症能力を少なくした細菌やウイルスを接種する「生ワクチン」と、

    それらの構成成分のうち、感染防御に有効で、

    人体に安全な物を取り出して作った「不活化ワクチン」です。

     

    生体にとってはどちらも「異物」です。異物であれば、接種部位には自然免疫物質が攻撃して、

    注射部位の腫れや発赤(赤くなること)、痛みを生じます。

    また、全身の免疫反応として発熱などが生じることもあります。

     

    ワクチンは、種々の研究、実験、改良等を経て販売され、

    副反応ができるだけ少なくなるように作られていますが、「異物」ですので、

    正常な免疫反応が起こり、副反応が生じるのはある程度避けられません。

     

    「異物」と言うと、ワクチンは体に悪いと感じる方もいると思いますが、

    食物、薬等も「異物」です。我々が生きていくのに必要で、摂取する物はほとんどの物が

    免疫から考えれば「異物」なのです。ですから、「異物=悪い物」と考えるのは間違いです。

     

    ワクチンは、病気を防ぐのに重要な役割を果たしてきました。

    麻疹、天然痘、ポリオなど過去には重大な病気を発症させ、不幸な結果をもたらした病気が、

    現在少なくなっているのもワクチンのおかげです。

     

    また、副反応といわれている発熱などは、たまたま風邪を引いていて生じる「紛れ混み」もあれば、

    ワクチンに添加されている物質によることもあります。

    いずれも一時的なものですので、全身状態がよければ、解熱側などで経過観察するだけで良いと思います。

    ご心配は無用です。ワクチンはできるだけ接種されることをお勧めします。

     

     

    Q3 :そもそも、なぜ水痘のワクチン接種が必要なのですか?

     

    A3:水痘、風疹などのウイルス感染症の多くは、麻疹を除けば、概ね良好な経過をたどり治癒します。

    しかし、いろいろな合併症があり、決して軽い病気ではありません。

     

    水痘に限れば、 水疱部からの細菌感染で、とびひ、皮下組織に化膿叢(蜂窩

    ( ほうか ) 織炎 ( しきえん ) :皮膚の下における、細菌による化膿性炎症)、

    全身への細菌感染症(敗血症)、筋肉の激しい炎症(筋肉壊死)、肺炎などを生じることもあります。

     

    また、約4000人に1人が小脳の失調(体や言葉がうまく動かせない、話せないなど)、

    約33000人に1人が脳炎などの中枢神経の重篤な合併症を生じると言われています。

     

    さらに、青年期以後の水痘は、 合併症が無くとも、重症になり肺炎の合併が多くなります。

    また、水痘ウイルスは、体内の神経に生涯居残り、疲労や病気、高齢化などで、

    免疫力が低下したときに、帯状萢疹として再活性化することがあります。

    帯状疱疹は、苦痛を伴うことで有名です。

     

    このように、水痘は、脳炎や肺炎、皮膚の重い細菌感染症など多くの合併症が知られ、

    平成22年の国立感染症研究所の報告では、年間約70万人が罹患し、

    4,000名が合併症で入院、約20名が死亡しています。

     

    2014年10月の定期接種化によって、定期接種対象年齢を中心に患者数が減少し、

    現在、患者数は過去最低レベルで推移しています。

     

    下記のグラフは、国立感染症情報センターからの報告されたものです。

    全国で約3000の登録された、小児科診療所・病院小児科(定点と言います)からの水痘報告数を示しています。

     

     

     

    小さな図で、分かりにくいと思いますが、

    2015年以降の水痘の発生数が、それ以前より、著明に減少しているのが分かります。

     

    定点診療所・病院小児科から、2014年以前は、1週あたり、1〜3人の発生が報告されていましたが、

    2015年以降は0.5人になっています。

     

    実際の発生数は、この10倍位であろうと言われていますので、

    年間30万人から90万人が発生していた水痘の人が、ワクチンの2回定期接種が開始されてから、

    10万人以下になっていることを示しています。実際は、もっと減少していると思います。

     

    私の診療所でも、水痘の受診者は激減しています。

    また、この3年間の水痘罹患者は、ワクチン接種の機会がなかった成人に多くなっています。

     

    2014年9月〜2015年4月までの、水痘合併症による入院者も231人に減少しています。

    入院された人の多くは成人患者さんです。

     

    定期接種対象にならなかった年長児や大人の場合、感染で重症化する恐れがあります。

    水痘に罹っていない場合、自己負担になりますが、ワクチンの2回接種をお勧めします。

     

     

    201705

     

    ※原稿内のグラフは、国立感染症研究所HPより単位のみ追加。

    【当ブログ記事の無断転載は、一切禁じております。
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    お問い合わせ先はこちら 】
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    食物アレルギー 〜赤ちゃんの長引く湿疹、離乳食、最新の治療法について
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      河北総合病院 小児科科長 藤原摩耶先生(アレルギー専門医) 

       

       

       

      私たちの体には、ウイルスなどの病原体から体を守る「免疫」という力があります。

      食物アレルギーとは、この 「免疫」が本来無害なはずの食べ物に対して

      過敏に反応してしまう状態をいいます。 

       

       

       

      【赤ちゃんの長引く湿疹…食物アレルギーが原因!?】 

       

       

      生後間もなく顔からはじまる湿疹。乳児湿疹は自然に治癒しますが、

      長引く場合、心配で小児科や皮膚科を受診すると、最初は保湿剤を処方されます。

      改善が乏しい場合は、ステロイド外用薬(ぬり薬)もしくはステロイドと保湿剤を混ぜた外用薬が処方されます。

       

       

      食物アレルギーの原因物質は、口からだけではなく、皮膚から体内に入る場合もあります。

      つまり皮膚のバリア機能の低下が、食物アレルギー発症のリスクとなりうるのです。

      小さなわが子に赤ちゃんの時期からステロイド外用薬を使うことに

      ちゅうちょされる親御さんもいらっしゃるかと思いますが、湿疹の状態が悪いほど、

      アレルギーの原因物質が体内に入りやすくなります。

       

       

      乳児期早期に湿疹を十分治療すれば、皮膚から食物アレルギーの原因物質が入り込むことを防ぎ、

      その後の食物アレルギー発症を防ぐ事ができるかもしれません。

       

       

      治りづらい湿疹がすべて食物アレルギーに関係するとは限りませんが、

      外用薬を使用してもよくならない、もしくは薬をやめると悪化することを繰り返す場合は、

      食物アレルギーの可能性も視野に入れ、アレルギー専門の小児科医に相談するのも

      ひとつの選択肢かもしれません。

       

       

       

      【離乳食の進め方】

       

       

      離乳食を始めるときに一番心配なのは、わが子に食物アレルギーがあるかもしれない、

      ということではないでしょう か?

      第一に、発症を100%予防することは不可能と考えてください。

       

      乳児の食物アレルギーは三大アレルゲンである、鶏卵、牛乳、小麦が全体の90%を占めますが、

      豆腐、白身魚などあらゆるものでアレルギー症状が起きる可能性はあります。

       

      離乳食で新しいものを試す時は、何かあったときに医療機関に受診できるよう、

      平日の日中にされることをお勧めします。

       

      食物アレルギーの症状は原因の食物を食べた後、早ければ15分以内、

      遅くとも2時間以内に症状が現れます。

       

      最も現れやすいのは顔面紅潮やじんましんなどの皮膚症状ですが、

      少し遅れて呼吸が苦しくなったり(呼吸器症状)、吐いたり(消化器症状)と、

      多様な症状(アナフィラキシー)が現れることがあります。

       

      ただ、口周囲の発疹のみの場合はアレルギー症状だけでなく、

      塩分やアクなどによるかぶれの可能性もあります。

      特定の食べ物を食べた後、何らかの症状が出ることを繰り返す場合は、

      食物アレルギーと自己判断することは避け、医師に相談してみてください。

       

       

       

      【除去から「少しずつ食べる」へ?最近の治療法について】

       

       

      食物アレルギーを発症した子どもも、8割は成長に伴って原因の食物を食べられるようになります。

       

      しかし強いアレルギー症状が出る子どもは原因食物を含む加工品も制限するような生活を

      長期間強いられていることも少なくありません。

       

      最近、食物アレルギーの治療として話題になっているのが、「経口免疫療法」です。

      従来は原因食物を除去していましたが、経口免疫療法の場合、原因となっている食物を

      連日少しずつ食べて、食べられるようになることを目指します。

       

      例えば卵のアレルギーがあっても、食べても安全と判断できる量を見定めながら

      (時にはボーロなどの加工品を利用しながら)、

      摂取できる量を少しずつ増やして身体を慣らしていくことで、

      将来の目標量(卵であれば1個分)を食べられることを目指す治療です

       

      しかし、まだまだ研究段階の治療法であり、食べ始める時期や量については

      過去の症状の出方や血液検査所見をもとに慎重な判断が必要です。

       

      2歳を過ぎても制限を緩めるめどが立っていない場合は、アレルギー専門医に相談してみるのもよいでしょう。

       

       

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      【食物アレルギーについてのQ&A

       

       

      Q1.「毎日特定の食品を食べ続けると、からだに蓄積されて食物アレルギーになる」

      と聞いたことがあり、気になっています。

       

       

      A1. 花粉症や猫アレルギーなどは、原因となる物質(スギ花粉や猫の毛など)と、

      一定レベルをこえる接触をすると発症します。

       

      しかし、食物アレルギーに関しては、これとは少し異なると考えてください。

      例えば、小さい子にありがちな「納豆ばかり食べる子」が、納豆(大豆)アレルギーになる

      ということはほとんどありません。

       

      食物アレルギーを発症してない場合、こうした幼児期の偏食は、ある程度目をつぶってよいと思いますが、

      栄養のバランスを考えて食事を選びましょう。

       

      また、すでに何らかの食物アレルギーを発症している場合は、慎重な対応をしたほうがよいので、

      専門医と相談してください。

       

       

       

      Q2.「経口免疫療法」で原因の食べ物を毎日食べる治療は、からだに負担が

      かかるように思いますが大丈夫でしょうか?

       

       

      A2.乳幼児の即時型食物アレルギー患者の多くは、身体の発達とともに食べられるようになります。

      でも、それだけではなく【除去から「少しずつ食べる」へ?最近の治療法について】

      に書いたように、アレルギーの原因の食べ物に慣らしていく行程も大切です。

       

      最近話題になっている花粉症の治療で、スギ花粉成分を毎日口に含む「減感作療法」があります。

      これは微量のスギ花粉を含むエキスを毎日口に含み、からだを慣らしていく治療です。

      これと同じに考えるとよいかもしれません。

       

      ただし、どちらの治療も、専門医と相談してから行う治療であることをご理解ください。

       

       

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