しろうジャーナル 掲載記事ブログ

妊娠と薬、授乳と薬
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    国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 妊娠と薬情報センター

    村島温子

     

    【妊娠と薬情報センターをご存知でしょうか?】

    妊娠中にお薬を使う、ないしは使ったことに悩んでいる女性の相談に応じるために

    12年前に開設され、これまで2万人くらいの相談にあたってきました。

     

    妊娠中に使用しても大丈夫なお薬のほうが多いのですが、中には「催奇形性」

    や「胎児毒性」と言って、赤ちゃんに害を及ぼす可能性のあるお薬もあります。

     

    このようなお薬は「専門的な知識を持った薬剤師や医師が対面でカウンセリングすべし

    との判断で、全国47都道府県にある拠点病院でカウンセリングが受けられるようになっています。

    http://www.ncchd.go.jp/kusuri/

     

    【妊娠中はお薬を飲んではいけないのでしょうか?】

     当然のことながら、赤ちゃんはお母さんのおなかの中で育って生まれてきます。

    「健やかな母性に健やかな児は育つ」というのが私の専門である母性内科の理念ですが、

    お母さんの体調が不良であれば赤ちゃんにとっても不適切な胎内環境となります。

     

    すなわち、お母さんの体調を整えるために必要なお薬であれば使用したほうが良いことになります。

    かといって、催奇形性や胎児毒性のあるお薬を使うわけにはいきませんので、

    赤ちゃんにも安全なお薬を選んで使うことが必要です。

     

     一方で、妊娠していると知らずにお薬を飲んでしまい、「添付文書」

    といって、お薬の使用説明書を読んだら「妊婦さんには使用してはいけない」と書いてあるお薬だった、

    ということで真っ青になって駆け込んでくる女性が時々いらっしゃいます。

    このような記載があっても大丈夫なお薬のほうが多いのですが、心配であればご相談ください。

     

    持病でお薬を飲んでいる方の中に、

    「妊活中だからお薬を飲むのを我慢しようかしら」

    「持病でお薬を飲んでいるから妊娠は先延ばしにするしかないわ」

     などと思っている方は多いのではないでしょうか。残念ながら妊娠適齢期は確実にあります。

    持病の薬物治療と妊活を両立させるお手伝いをするのも、我々の仕事です。

     

    【妊娠初期だけ気を付ければよいでしょうか?】

    胎盤が完成してくる妊娠中期以降はお母さんが使用したお薬が

    おなかの赤ちゃんに移行して害を及ぼすことがあります。これを「胎児毒性」

    といいますが、妊娠後期の非ステロイド性抗炎症剤(イブプロフェンやロキソプロフェンなど)が身近な例です。

    妊娠中の痛み止めや解熱剤はこれらの薬剤ではなく「アセトアミノフェン」を使用します。

     

    【授乳中にお薬を飲むと母乳をあげられないのでしょうか?】

     母乳栄養は赤ちゃんのみならず、お母さんにとっても多くのメリットがあります。

    しかし、前述した添付文書ではほとんどのお薬が

    「お薬を使用するときは母乳をあげないこと」となっています。

    そのため「添付文書」が赤ちゃんの母乳を飲む権利を奪っている、

    という表現をされる小児科の先生も少なくありません。

     

    お母さんが使用したお薬が母乳中に分泌され、赤ちゃんに作用するまでは、

    多くの「バリア」があります。

    一部のお薬を除くと、母乳に分泌されてお薬が赤ちゃんに影響することはまずありません。

     

    このようなことから、授乳中の服薬については、母乳栄養のメリットと、

    母乳を介して赤ちゃんが受けるお薬の影響のバランスで判断することになります。

     

    【妊娠と薬情報センターに相談するためには?】

    当センターのホームページからダウンロードした問診票に(できない場合にはセンターから郵送も可)、

    必要事項を記入し郵送することから始まります。

    詳細はホームページをご覧ください。

    不明な点は、妊娠と薬情報センターホームページにご覧になるか、事務局にお電話ください。

    http://www.ncchd.go.jp/kusuri/process/index.html

     

    電話番号 03-5494-7845 

    受付時間 平日10:0012:0013:0016:00

    *授乳中のお薬の安全性については、指定時間内であれば電話相談を受け付けています。

     

     

     

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    知って活かそう! かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師
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           東京大学 大学院薬学系研究科 育薬学講座  里子(薬剤師)

       

      お薬をもらいに薬局に行く機会はあるけれど、

      「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」って「正直なところあまりピンとこない・・」

      と感じていらっしゃる方もおられると思います。

      今回は、お子さんの「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」を作って活かすヒントをお伝えできればと思います。

       

      ★「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」ってなんだろう★

      お子さんが使っているお薬や病気のこと、お子さんの体質とお薬との相性などをよく知っていて、

      日頃の健康管理のことも相談にのってくれる存在、それが「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」です。

       

      ★薬局のかかり方、どうしたらいいの?★

      では、どのように薬局にかかるとよいのでしょう。

      薬局では、来局した患者さんごとに「薬歴」とよばれるお薬の情報

      (お薬の服用歴やお薬の調製方法、服薬インタビューの内容などを記録したもの)

      が保存されています。

       

      ですので、かかりつけの薬局を決めておくと、

      お子さんの体質(アレルギーなど)やお薬の好み(粉薬は苦手など)、

      生活習慣や環境(保育園に通っているので1日3回の薬は服薬しづらい)

      といったお薬の情報をひとつの薬局で管理してもらうことができます。

      お薬の専門家である薬剤師はこれらの情報をふまえて、

      処方されたお薬とお子さんとの相性をチェックしたり、飲み方の工夫を提案したりできるのです。

       

      例えば、以前に「うちの子、粉薬が苦手なんです・・」と相談したことがあれば、

      「今回、粉薬が出ていますが飲めそうですか?今回のお薬は同じ効き目成分でシロップのタイプもあります。

      お医者さんにお電話してシロップのお薬に変えてもらいましょうか。」

      ・・と言った具合に、ベター・ベストなお薬の提案につなげることができます。

       

      複数の病院やクリニックにかかっている場合には、

      お薬の重複や飲み合わせのチェックが漏れなく行えますので、安心です。

      親御さんとしても、かかりつけの薬局で顔見知りの薬剤師ができれば、

      わからないこと、気になっていることが相談しやすくなりますよね。

       

      「お薬を上手く飲んでくれない」「熱冷ましの坐薬がすぐに出てきてしまった」

      「食事をたべてくれないけど、食後のお薬はどうすればよいの」などなど・・

      お子さんのお薬の「困った!どうしよう」は、自宅に戻ってから起きることが多いと思います。

      そんなときもかかりつけ薬剤師は心強い見方です。

      薬局に電話をかければいつでも相談にのってもらえます。

      かかりつけ薬局であれば、お子さんの「薬歴」を確認しながら、

      よりお子さんに合ったアドバイスをしてもらえるでしょう。

       

      ★かかりつけ薬局をもつその前に★

      〜いつもと違う医療機関からもらった処方箋でも、持って行っていいのかな?〜

      大丈夫です。薬局では、どこの医療機関で発行された処方箋でも受け付けることができます。

      かかっている病院(小児科、皮膚科、耳鼻科などなど)ごとに違う薬局で

      お薬をもらっているという方も多いかもしれません。

       

      けれど、どの医療機関でお薬をもらっても、お住まいの近く等で、

      頼れる薬剤師さんがいる薬局ひとつに決めて、お薬をもらったり、相談にのってもらったりするのがおススメです。

       

      〜病院の最寄りの薬局の方が、薬が揃っているのかな?〜

      かぜ薬など一般的なお薬であれば、病院の最寄りの薬局でなくても、大抵のお薬は揃っています。

      もしもお薬の在庫がない場合も当日か翌日までに取り寄せ可能な場合が多いです。

       

      急性の症状ですぐにお薬を使いたいけれど「お薬あるかな?」と心配なときには、

      来局前にかかりつけの薬局に電話して、お薬の在庫を確認してみるとよいですよ。

      定期的に通院して決まったお薬をもらっている場合には、

      来局日にあわせてお薬を在庫しておいてくれますので相談してみましょう。

       

      ★かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師を持てば、お薬手帳はいらない!?★

      お薬手帳は患者さんの体質やお薬の情報(お薬の名前、飲み方、効き目など)を記録しておく“薬の日記帳”です。

      患者さんご自身が手元においておける重要なお薬情報になりますので、

      かかりつけ薬局をお持ちでも、お薬手帳は家族ひとり1冊ずつ必ず持ちましょう。

       

      お子さんの体調不良は急に起きますよね。

      休日や夜間にいつもと違う病院にかかってお薬をもらうことがあるかもしれません。

      そんなときには「お薬手帳」があれば安心です。

      病院や薬局で「お薬手帳」を見せることで、お子さんに合ったお薬をだしてもらえます。

       

      翌日以降にかかりつけの病院や薬局に行く場合にも、お薬手帳をみせれば、

      休日や夜間にもらったお薬との重複を避けたり、

      飲んだお薬と症状の経過をふまえてより適切なお薬をだしてもらえます。

      お薬手帳は災害時にお薬が必要になった際にも大変役立ちます。

       

      ★よいかかりつけ薬剤師のポイントは?★

      最後に、よいかかりつけ薬剤師のポイントを5つにまとめてみました。

      □あなたやお子さんの担当医と対等に話し合うことができる。

      □日々、お薬の勉強をしている。

      □あなたやお子さんの話にしっかりと耳を傾けてくれる。

      □あなたやお子さんの病気、体質や生活習慣、お薬の服用歴などを把握し、

      あなたやお子さんに合ったお薬やお薬の飲み方などの相談にのってくれる。

      □いつでも連絡がとれる

       

       

      <東大薬・育薬学講座ほか、みんなの薬剤師・みんなの薬(2015年)http://www.ikuyaku-ut.jp/monka/2011/report/minnanoyakuzaisi.html より引用改変>

       

      こんな薬剤師を見つけておくと、お子さんが病気のときも、健康管理の面でも、

      とても頼りになります。

      日々、お薬の勉強をしている薬剤師であれば、皆さんの困っていることや疑問に思っていることを、

      最新のお薬の知識をふまえて解決してくれると思います。

      ずは、気軽に相談して薬剤師と会話をしてみること、それが、かかりつけ薬剤師を見つける第一歩です。

       

       

       

      0714

       

       

      ☆参考情報:「かかりつけ薬剤師」制度って何?子どもも利用できるの?

      20164月に開始された国の制度です。この制度は子どもでも利用でき、

      保護者の同意のもとで「かかりつけ薬剤師」を一人もつことができます。

      薬局でかかりつけ薬剤師を決めて、同意書に署名します。

       

      この制度では「かかりつけ薬剤師」の質を担保するために一定の条件(薬局での経験3年以上、

      その薬局に週32時間以上勤務・半年以上在籍、薬剤師研修認定等の取得、

      医療に関わる地域活動に参画)を設けています。

       

      この制度を利用すると、同意を交わした「かかりつけ薬剤師」に処方薬以外にも

      市販のお薬や健康食品などについてのアドバイスを受けたり、

      相談にのってもらうことができ、時間外でも対応してもらえます。

       

      この制度を利用する場合、薬局利用時に通常より費用がかかります(3割負担の方で約 100 円程度高くなります)。

      ただし、自治体によっては乳幼児などの医療費の自己負担を無料としており、

      その場合には「かかりつけ薬剤師」制度を利用した場合も自己負担はありません。

       

       

      ☆著者の自己紹介:

      医薬品適正使用・育薬と医療安全の推進を目指し、医薬品情報の収集、解析・評価、創製、提供に関する研究を行う。

      研究成果を社会に還元するNPO 活動(NPO 法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター http://www.dlmc.jp )や、

      市民向けの活動「みんくす」にも取り組む。

       

      ☆みんくす( https://minkusu.ikuyaku-ut.jp とは?

      患者がお薬と上手に付き合うための情報や、お薬にまつわるエピソード(悩みや工夫等)を共有したり、

      定期的にエピソード記事を配信しているコミュニティサイト(登録無料)です。

      同サイトでは小冊子「みんなの薬剤師・みんなの薬〜薬剤師と上手に付き合う心得 9 箇条、

      薬への理解を深める 4 箇条〜」、「自分でできる薬の情報管理」もダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

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      みんくすのサイトでは以下のような記事を過去に紹介しています。

      よろしければ、みんくすサイトに登録して、お読みください。

       

      〜【赤ちゃん・子ども】タグのついた記事〜

      82回:牛乳を飲むと下痢をしてしまう子が飲んでも大丈夫?

      54回:なぜうちの娘にはリレンザではなく、漢方薬が処方されたの?

      33回:ママの薬を使ってみたい

      23回:一番服用しやすいのはどの剤形?

      22回:親子でもお薬手帳を共有してはいけません

      7回:クラスメイトの目が気になってきちんと服薬できず

      (絞り込み検索:くすりを使うひと・扱うひと>赤ちゃん・子ども で検索)

       

      みんくすでは、みなさんのお薬にまつわるエピソードにもとづき、記事を作成しています。

      みなさんのエピソード投稿もお待ちしています!

       

       

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