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感染予防について
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    【感染予防について】

     

    佐久医療センター(長野県)小児科 坂本昌彦先生

     

     

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    冬になると、子どもの感染症が増えます。その多くは「ウイルス感染症」と言われているものです。最も多いのがインフルエンザ、次に感染性腸炎(ノロウイルスやロタウイルスなど)、そしてRSウイルス感染症です。

     

     

     

    これらの感染症は、咳やくしゃみなどのしぶきや、接触することで、鼻や喉の粘膜の細胞にウイルスが侵入したり、胃腸炎の場合は病原体が腸の粘膜に侵入したりして感染が始まります。

     

     

     

    ウイルス感染症のやっかいなところは、薬の効果があまり期待できないことです。

     

    インフルエンザの場合は抗インフルエンザ薬(タミフルやイナビルなど)がありますが、脳炎などの怖い合併症を予防できるわけでもなく、特効薬とはいえません。

     

    実はウイルス感染症の場合、かかってからでは、できることはあまり多くはないのです。

     

     

     

    そこでかからないための感染予防、また、かかってしまった場合には周りに広げないための工夫が大切です。

    大まかに言うと、次の3点になります。

     

     

    ーりのウイルスを減らし、体の中に侵入しないようにする

     

    1)マスクで口や鼻を覆う

     

    2)手洗い・手指消毒

     

    3)ウイルスを適切に処理

     

    4)室内を加湿・適温に保つ

     

    5)患者の隔離

     

     

     

    ¬髪嵶呂鮃發瓩

     

    栄養を摂る、適度に運動する、十分な睡眠

     

     

    M祝廟楴

     

    ロタウイルスワクチン、インフルエンザワクチンが、予防のポイントとなります。

     

     

     

    これら3点について、以下に詳しくご説明しましょう。

     

     

     

    ーりのウイルスを減らし、体の中に侵入しないようにする

     

    1)マスクで口や鼻を覆う

     

    飛沫感染するウイルス(RSやインフルエンザ)は、

     

    くしゃみなどで2〜3m離れたところまで飛散します。

     

    患者さんから2〜3m以内に近づく際や人の多い場所ではマスク着用を心がけましょう。

     

     

     

    2)手洗い・手指消毒

     

    RSウイルスは、タオルやおもちゃに付着した状態で、6時間弱に渡って感染を維持できます。

     

    インフルエンザウイルスも、服についた状態で、8時間感染力を維持できます。

     

    ノロウイルスに至っては、床に付着した状態で、なんと2週間も感染力を維持します。

     

     

     

    そのため、ウイルスの付着したおもちゃやドアノブなどを通じて感染が広がっていきます。これが、手指消毒や手洗いの徹底が大切な理由なのです。

     

     

     

    手洗いに加えて「消毒」についてもお話しします。

     

    RSウイルスやインフルエンザウイルスには、「アルコール消毒」が有効です。

     

     

     

    一方でノロウイルスをはじめとする胃腸炎の原因ウイルスの多くは、アルコール消毒は効果がありません。有効なのは「次亜塩素酸による消毒」ですが、手指消毒には手が荒れてしまうため使えません。そのため流水による手洗いを徹底してください。

     

     

     

    なお、石けんで手洗いをする場合には、ウイルスを媒介する可能性があるので、固形石けんより「液体石けん」がよいとされています。

     

     

     

    3)ウイルスの適切な処理

     

    ここでは特に胃腸炎の消毒について説明します。

     

    まず、消毒セットの準備です。

     

    消毒セット 手袋、エプロン、マスク、ぞうきん、ビニール袋、
    おむつ交換シート、消毒薬(次亜塩素酸)
    便 ,むつ交換は一定の場所でシートを敷いて。
    ⊇萢する際には手袋を着用し、処理後はしっかり手洗い。
    嘔吐物 ,泙困六劼匹發魃鵑兇韻                                      
    嘔吐物を吸収性の高いペーパータオルで覆う。  
    2板輙冑最鮑泙鮓怯佞播鰭曄10−15分浸す
    ぅ咼法璽訛泙覇盡きに包み込む
    タ,取ったものはビニール袋に入れて密閉し,破棄。
    ゾ欧覆豹,取った場所には200ppm以上の濃度の塩素系消毒剤を塗布。
     
    *1000ppm濃度の作り方:
    500mlペットボトル1本分の水にキャップ2杯分のハイター(10ml)。

    *200ppm濃度の作り方:
    500mlペットボトル5本分の水に
    キャップ2杯分のハイター(10ml)。
    200ppmでは5分、1000ppmでは1分以上放置してから拭き取る。
    霧吹きはウイルスをまき散らすことになるのでお勧めしません。
     
    絨毯などへの嘔吐物は拭き取った後に熱湯クリーナー(スチームクリーナー)で、1分以上処理(ノロウイルスは85度、1分以上の加熱で死滅)
    Д疋▲離屬箴欧覆匹良縮未200ppm程度の塩素系消毒薬で清拭する。
     
    布団などすぐに洗濯できない場合は、
    よく乾燥させた後にスチームアイロンや
    布団乾燥機が効果的
    処理後は手洗い。                                

     

     

     

    4)室内を加湿・適温に保つ

     

    インフルエンザウイルスは乾燥、低温を好みます。お部屋の適切な加湿と暖房は感染予防にも効果があります。

     

     

     

    なお、最近よく聞かれる空間除菌ですが、それによる感染予防に関する医学的根拠は乏しいです。特に首かけ除菌グッズは、むしろ、使用による化学やけどの事故が報告されており、小児科医としてはお勧めしません。

     

     

     

    5)患者の隔離

     

    インフルエンザや胃腸炎などに感染しやすい場所は言うまでもなく保育園や幼稚園、学校や、交通機関です。このような場所から感染は家庭内に持ち込まれ、広がっていきます。

     

    インフルエンザの場合、子どもは大人よりも高濃度のウイルスを長期間排出すると言われていて、家族に感染を広げるリスクは高く、家庭内にインフルエンザが持ち込まれた場合、家庭内感染率は、学校等での感染の2〜3倍とされています。

     

     

     

    そして最も多いのは、看護に当たる保護者から、より低年齢の兄弟にうつすパターンです。

    家庭内感染を防ぐためには、このサイクルを断ち切ることが必要です。

     

    できる限り患児は他の児と隔離することや、先に述べた手洗いなどの感染予防策が大事です。

     

     

     

    また、家庭内の感染を学校に広げないことも大事で、そのためには十分な隔離期間(出席停止期間)を守ることが大事です。

    もちろんインフルエンザに罹っている保護者の保育園の送迎は極力控えることも大切です。

     

     

     

    感染症 インフルエンザ RSウイルス 感染性胃腸炎
    登園許可の目安 発症後5日を経過し,かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで。 解熱し、咳のピークを過ぎてから。 嘔吐や下痢/発熱などの症状が治まり、全身状態がよければ可能

     

     

     

     

     

    ¬髪嵶呂鮃發瓩

     

    感染症は、体の免疫力が落ちて病原体の勢いに負けてしまうことで発症します。

     

    十分な睡眠、しっかり栄養をとることで免疫力を維持することができます。

     

    予防だけでなく、治療する上でも大切です。冬に流行するウイルス感染症に特効薬はないことを考えると、睡眠と栄養は最も有効な治療のひとつとも言えます。

     

     

     

    M祝廟楴

     

     

    ロタウイルスとインフルエンザにはワクチンがあり、感染予防には欠かせません。

     

    ロタウイルスワクチンは生後6週から接種し、ロタウイルス胃腸炎の発症を8割、重症化を9割予防してくれます。

    ロタウイルスワクチンが登場してから、欧米同様に日本でもロタウイルス胃腸炎は劇的に少なくなりました。

    早く定期接種になることを願っています。

     

    インフルエンザワクチンは生後6ヶ月以降に接種します。子どもには効果がない、と言う人もいますが、有効率は概ね70%前後と言われていて、これは、ワクチンを打たなければ10人がかかっていたところが3人で済むという意味です。

    十分に有効といえるでしょう。

     

     

     

    ただし、生後6ヶ月未満の赤ちゃんには接種できませんので、周りの大人が接種して予防することが必要です。ちなみに、妊婦さんへのインフルエンザワクチン接種は、妊婦だけでなく生まれてくる赤ちゃんのインフルエンザ予防にも効果があるという報告があり、強く推奨されています。

     

     

    最後に私達の活動<教えてドクター>の無料アプリについてご紹介します。

     

    急な病気や症状が出たとき、「救急車呼ぶべき?」「自家用車でいいの?」「翌日でいいの?」

    と迷うこと、ありますよね。そのような時に保護者の皆さんにお役に立てるようなアプリを医師会と市で制作しました。

     

    このような「病院受診の目安判断」以外にも「この症状はどの科を受診すればいいか」の案内や、

    いざというときの災害対策のページ、お子さんの生年月日を入れると予防接種の予定が表示される

    「予防接種スケジューラ」も搭載しています。ぜひお使いください。

     

     

          

     

    アプリは下記のプロジェクトHPからダウンロードください。

    https://oshiete-dr.net/apri/

    QRコードはこちらから♪

     

    iPhone

     

    Android:

     

     

     

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    冬の時期に役立つ情報総まとめ
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      『冬の時期に役立つ情報』の総まとめ


      【発熱・けいれん】

      ●お子さんが熱を出したら…

      (茨城県取手市・JAとりで総合医療センター 小児科 太田正康先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=1


      ●ひきつけ(けいれん)時の対応

      (新潟市・さとう小児科医院 佐藤雅久先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=124


      ●「発熱は冷やさない、高体温は冷やす」とは?

      (はらこどもクリニック 院長 原 朋邦先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?cid=1


      【下痢・嘔吐・脱水】

      ●ノロ・ロタなど冬に多い嘔吐下痢・ウィルス性胃腸炎について

      (東京都杉並区・杉並堀ノ内クリニック 小児科院長 粂川好男先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=46 


      ●下痢・脱水時に効果のある『経口補水療法』

      (鹿児島市・みなみクリニック院長 南武嗣先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=8


      ●経口補水液の作り方レシピ・家族への感染予防http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=47


      【咳】

      ●冬に感染が多い『RSウィルス』について

      (TMGあさか医療センター小児科部長 小林真澄先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=134


      ●長引く咳について

      (埼玉医科大学総合医療センター 小児科 森脇浩一先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=95


      ●咳との付き合い方(埼玉県所沢市・はらこどもクリニック 原朋邦先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=68


      【中耳炎】

      ●「耳が痛い!」と子どもが泣き出したら?中耳炎について

      (山口県岩国市 城戸信行先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?cid=15


      【肌】

      ●乾燥肌など『冬場の子どもの肌のケア』

      (東京・ユアクリニック御茶ノ水院長 杉原桂先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=55


      ●子どもの体の『洗い方』

      (東京・ユアクリニック御茶ノ水院長 杉原桂先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=86


      【事故】

      ●誤飲や窒息などの事故防止と、万が一の事故の際の相談窓口情報。

      (「子どもの事故病気対策講座 入門編」座談会リポート 看護師・保健師 横内瑠里子さんのお話まとめ)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=160


      【感染予防】

      ●効果的な感染症予防

      (小児科医の早川依里子先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=161


      ●うがいができない乳児の感染症予防

      (小児科医 千葉智子先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=100


      【お役立ち情報】

      ●夜間・休日の急病・・・『小児救急』のかかり方について

      (山口県岩国市・ふじもと小児科 藤本誠先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=9


      ●量、タイミング、寝ているときは?子どもの投薬についてパパママの疑問に答えます!

      (埼玉県草加市・くりの木薬局 薬剤師 山崎あすか先生より)

      http://shiroujournal.jugem.jp/?eid=70



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